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​純ジャパなのに「ハーフですか?」と1000回聞かれた男の告白

    「鼻が高くて羨ましい!」

    「彫りが深くてハーフみたい!」

    ……昔からよく言われる言葉だ。

    言ってもらえるのはありがたい。ありがたいのだが、言われるたびに僕の心の中のもう一人の僕が、小さくため息をついている。

    世間の皆様、どうか知ってほしい。

    高い鼻というのは、決して「得ばかりのオシャレパーツ」ではない。どちらかというと、顔面の中心に居座る『主張の激しい障害物』だ。

    今回は、鼻が高い人間が日常でひっそり抱えている、くだらなくも切実な苦しみを聞いてほしい。

    水分補給のたびに「お前じゃない」と思う

    冷たい飲み物を飲もうとコップを傾ける。

    すると、中の氷が唇に届くよりも早く、鼻先にカツンと当たる。

    「お前が飲むんじゃないねん」と思いつつ、毎回鼻先だけがべちゃべちゃに濡れる。

    これが熱いスープやホットコーヒーになると、もっと厄介だ。気を抜いてカップを深く傾けると、湯気どころかスープの表面に鼻先がタッチして「アチッ!」となる。水分補給のたびに火傷の危険と隣り合わせ。僕の鼻先は、いつだって一番前線で体を張っている。

    ちょっと今、自分の鼻を見ようとしてみてほしい

    唐突だが、ここでひとつ実験をしてみてほしい。

    今すぐ、スマホを見たまま目線だけを極限まで下に下げてみる。で、なんとかして自分の鼻を見ようと頑張ってみる。

    ……どうだろう?

    僕はバッチリ見えている。視界の下方に、常に自分の鼻先が居座っているのだ。慣れとは恐ろしいもので普段は気にならないが、ふと意識すると「あ、今日もそこにいるな……」と、ちょっと鬱陶しくなる。目と鼻の距離が近すぎる。

    うつぶせで寝られない絶望と、夏のトナカイ化

    高い鼻は、夜の安らぎすら奪っていく。

    たまに「うつぶせで寝るのが一番落ち着く」という人がいるが、僕がそれをやると「鼻が潰れる拷問」になる。枕に顔をうずめた瞬間、高い鼻がグニャッと曲がって痛みが走るのだ。首を真横に向けたら寝られないこともないが、今度は首をやられる。結局、僕は「仰向け一択」を強制されている。

    夏場も切ない。顔の中で一番前に飛び出しているせいで、太陽光線をもろに受け止めてしまう。夏が始まって真っ先に赤くなるのは鼻先。「鼻先だけが真っ赤な男」の完成である。クリスマスでもないのに、1人だけ季節外れのトナカイみたいになっていて、正直かなり格好悪い。

    物理的な事故と、高校時代の血の記憶

    当然、いろんな物と鼻が衝突する。狭い場所を通るときも、ふとした拍子も、真っ先に犠牲になるのはいつも鼻だ。

    幸い、これまで「折れた」ことはない。ただ、高校時代にラグビーをやっていた頃は大変だった。タックルをするたび、ボールを受け止めるたび、鼻は相手の体や硬いボールと激突した。そして始まる、鮮やかな血の祭り。高校3年間で流した鼻血の量は、ペットボトル数本分にはなっていたと思う。

    「ハーフですか?」という、永遠の回答作業

    これだけ苦労しているのだから、せめて「ハーフっぽくてカッコいい」で得をしたいところだ。

    確かに、鼻が高いせいで顔が濃く見られ、「ハーフですか?」と聞かれた回数は数え切れない。最初のうちは「いや〜、純日本人なんですよ(笑)」なんて愛想よく返していたが、あまりに聞かれすぎて、最近は返答のバリエーションも尽きてしまった。

    純国産である。生粋の日本人だ。

    ただ、この「無駄に立派な鼻」の犯人は分かっている。父親だ。うちの父親も鼻が高い。実家で父親の横顔を見るたびに、「ああ、親子だな」と察する。顔面の中央だけが、血筋によってサラブレッド化してしまったらしい。

    高い鼻を持って生まれたこと。

    周りからは「羨ましい」と言われるけれど、その裏には氷との衝突、うつぶせ寝の諦め、謎のハーフ疑惑、そういう地味な苦労が詰まっている。

    今日もグラスを傾ける。氷が唇に届くより先に、鼻先がまず仕事を始める。

     
     
    沖縄の離島で読書・釣り・酒・料理を楽しみ、日々の幸福を綴る。理想だけではない島暮らしの「戦い」を本にまとめました。一人でも多くの方に思いが届きますように。 📕著書『離島のスローライフは、戦いだ。』 https://www.amazon.co.jp/dp/B0GRYKHLS9/

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