
詩: ゴジラとウルトラマンの末裔たち
海沿いの小さな町に
ミニラZがひとりで立っていました
夕暮れの波はやさしく
彼女の足もとを撫でては引いていきます
ミニラZは海を見つめていました
おじいさんゴジラの背中が
最近少しだけ小さく見えることを
誰にも言えずにいたから
*
おじいさんゴジラは
東京タワーを倒し
スカイツリーまで壊そうとしていました
それが監督からの指示だったからです
そこへ初代ウルトラマンが降りてきました
空からよろよろと
猫背になりながらも
精一杯胸を張って着地します
胸のランプは
不整脈のためか
ちらちらと不規則に瞬いています
ふたりは組み合いましたが
ぜいぜい息が続かず
座り込んでしまいました
遠くで監督は頭を抱えていました
「ゴジラ対ウルトラマン 正義の戦い」
公開延期の声だけが
夕空にむなしく響きました
*
沈みゆくオレンジの太陽
その中の黒い点が
ゆっくりと大きくなっていきます
波を見つめるミニラZ のもとに
ウルトラマンZが飛んできたのです
両手にカップ麺を持っています
胸のカラータイマーが活動限界を告げると
省エネモードに切り替え
カップ麺をひとつ ミニラZに渡しました
ふたりは ふたを開け
湯気が夕日に溶けていくのを眺めながら
カップ麺を食べました
この地が平和でありますように
老いた者たちがもう少し楽に生きられますように
祈りを込めながら
(Rqy 2026.8.16)