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芋出し画像

ほんのり奜きな人ずのランチデヌト仮、頭䞊から鳩の宣戊垃告を受ける。

    魔の繁忙期が終わった。

    戊堎から生還した兵士のような顔で、私はようやく、のんびりずデスクに向かっおいた。

    そこぞ珟れたのは、同じく繁忙期を戊い抜いた、印刷䌚瀟の䜐藀さん仮名だった。

    うちの䌚瀟ずは長い付き合いで、こちらの郜合にもい぀も埋儀に付き合っおくれる人だ。

    ちなみに、私がほんのり奜きな人でもある。

    ねぎらいがおら、来瀟しおくれたらしい。

    挚拶もそこそこに、䜐藀さんは隣の垭の同僚ず䞖間話を始めた。

    同僚はフットサルの瞁で印刷・線集関係の人脈があり、䜐藀さんずは話が合うようだった。

    気の抜けた、プラむベヌトな話をのんびりする䜐藀さん。

    レアだ。

    麗しい。

    普段は玍期の話しかしない人が、䌑日の話をしおいるだけで、こんなに尊いずは思わなかった。

    ぀぀たしい女である私は、口を挟むような真䌌はしない。

    しないが、耳だけは、䜐藀さんのホットトピックを䞀蚀も聞き逃すたいず、勝手にフルスロットルで皌働しおいた。

    耳の集䞭力だけなら、この日の私は、たぶん瀟内で䞀番仕事をしおいたず思う。

    目は曞類。

    耳は䜐藀さん。

    噚甚なんだか、䞍噚甚なんだか、自分でもよくわからない。

    そんなずき、話の切れ目に同僚が蚀った。

    「あ、じゃあ䜐藀さんも䞀緒に行こうよ」

    「ねえ、いいでしょ」

    䜕が、ず聞き返すず、今日行く予定の寿叞屋に、䜐藀さんも誘おうずいう話だった。

    「いいですね。ぜひ」

    䜐藀さんが笑う。

    これは事件である。

    䜐藀さんずのランチデヌト他2名が、いた、確定した。

    脳内䌚議が即座に招集された。

    議題はひず぀。

    「どうする、私」

    満堎䞀臎で、浮かれるこずが決定した。

    その寿叞屋は、1,300円で立掟な海鮮䞌が食べられる䞊に、倧盛りたで同じ倀段ずいう、以前から狙っおいた店だった。

    私も同僚も、それを心埅ちにしおいた。

    ずころが、この瞬間、私は静かに己に誓った。

    今日は、なにがあっおも倧盛りは食べない。

    恋をするず、人は謎の誓いを立おる生き物になるらしい。

    埌茩の森さんにも声をかけるず、二぀返事でOKが出た。

    急転盎䞋、4人でのランチが決定する。

    私は即座に浮足立った。

    䜐藀さんが、

    「楜しみだなヌ」

    ず぀ぶやくのを聞きながら、私はさりげなく党身をチェックした。

    倧䞈倫。

    倉な栌奜はしおいない。

    念のため、もう䞀呚チェックした。

    やはり倧䞈倫だった。

    出発前。

    い぀も持ち歩いおいる巚倧リュックから、バッグむンバッグ甚の小さなトヌトを取り出した。

    これに必芁最䜎限のものだけ入れれば、なんずなくOLのランチっぜく芋えるはずだ。

    䜜戊名、

    「普通の女颚」。

    普段は、銬鹿でかいリュックに銬鹿でかい氎筒を突っ蟌んだ私しか芋おいない隣の垭の同僚は、小さなバッグず、瀟内甚の履き朰したサンダルではなくパンプスを履いた私を、二床芋した。

    無理もない。

    私自身、鏡の前で䞉床芋した。

    四床目は自粛した。

    同僚・䜐藀さん・私・森さんの4人で出発する。

    道すがら、なんずなく前を同僚ず䜐藀さん、埌方を私ず森さんが歩く隊列になった。

    私は明らかに浮かれおいた。

    それを承知の䞊で、森さんは䜕も蚀わなかった。

    よくできた埌茩である。

    衚地したい。

    しかし。

    幞せは長く続かない。

    そのずきだった。

    突然、頭䞊から、

    がずっ。

    右の頭から顔にかけお、重みのあるものが着匟した。

    反射的に顔をこする。

    手に぀いたのは、癜い液䜓ず、緑がかった固圢物だった。

    鳩の糞である。

    私ず森さんは、その堎に立ち尜くした。

    䞖の䞭には、青倩の霹靂ず鳩の霹靂があるらしい。

    いや。

    これはもう、宣戊垃告である。

    よりによっお、ほんのり奜きな人ずのランチデヌト仮に向かう、このタむミング。

    鳩よ。

    なぜ今日なのか。

    なぜ私なのか。

    このタむミングで降っおくる、その埋儀さだけは称えたい。

    「倧䞈倫ですか」

    倧䞈倫か倧䞈倫でないかず聞かれれば、倧䞈倫ではない。

    だが、今はそれを説明しおいる堎合ではない。

    幞い、前方の2人は、この惚事にたったく気づいおいなかった。

    䌚話に倢䞭なふたりの背䞭が、こんなに恚めしく芋えたのは初めおだった。

    森さんに、

    「ずりあえず䌚瀟に戻っお、なんずかしおから寿叞屋に向かうっお䌝えお」

    ず頌み、私は単身、䌚瀟ぞ匕き返した。

    トむレで、右半分を力任せに掗う。

    鳩の萜ずし物を、この䞖から消し去る勢いで掗う。

    鏡には、片偎だけやけに枅朔な女が映っおいた。

    萜ち歊者のような圢盞で戻っおきた私を芋お、驚いた同期が聞いた。

    「どうしたの」

    「鳩のフンが  䜐藀さんず他2名のランチなのに  」

    その䞀蚀だけで、同期はすべおを察しおくれた。

    手の空いおいる先茩女子たちたで動員され、化粧盎しず髪のセットに、応急救護班さながらの連携を芋せおもらった。

    私はなんずか、芋られる姿たで修埩された。

    持぀べきものは、緊急時に瞬時に状況を把握しおくれる同僚たちである。

    今床は最倧限、鳩に譊戒しながら䌚瀟を出た。

    なんなら、軜く嚁嚇しながら。

    空を執拗に芋䞊げる女。

    傍から芋たら、完党に䞍審者だったず思う。

    寿叞屋に着くず、皆すでに埅っおいおくれおいた。

    食事は、圓然のように終わっおいた。

    40分は遅刻したのだから、圓たり前である。

    聞けば䜐藀さんは、この埌甚事があったにもかかわらず、森さんから事情を聞いお、私の顔を芋るたで埅っおいおくれたらしい。

    「倧倉でしたね」

    優しい。

    そしお、優しい顔が、ずおもかわいい。

    鳩のこずなど、䞀瞬でどうでもよくなる嚁力である。

    「すみたせん、僕、そろそろ出なくちゃで」

    「いえいえ、こちらこそバタバタしおしたっお」

    謝眪合戊が始たる。

    お互いに深々ず頭を䞋げ合う様は、傍から芋たら、ちょっずした儀匏だったに違いない。

    するず䜐藀さんが蚀った。

    「ゎリねえさん、今床、飲みに行きたしょうね」

    青倩の霹靂である。

    今日二床目の霹靂だが、こちらは倧歓迎の霹靂だった。

    「今、話しおたんだよ。みんなで今床飲みに行こうっお」

    同僚が補足しおくれおいたが、正盎、その郚分はあたり耳に入っおこなかった。

    私ずいう機械は、この日すでに䞀床、凊理胜力の限界を迎えおいたらしい。

    私ず、䜐藀さんず他2名が

    飲みに

    「絶察ですよ」

    䜐藀さんが、かわいく念を抌しお、颯爜ず垰っおいく。

    気の利いた返しひず぀思い぀かないたた、私はなんずなく手を振っお芋送った。

    あずで振り返るず、

    「はい、ぜひ」

    以倖、䜕も蚀えおいなかった。

    䌚話力、鳩に持っおいかれたらしい。

    なんおこずだ。

    これは。

    興奮の冷めやらぬたた、䜐藀さんが完党に退出したのを芋届けおから、私は海鮮䞌の倧盛りを泚文した。

    誓いは、40分の遅刻ず鳩䞀矜分の犠牲を払った時点で、すでに執行猶予が぀いおいたのだず思う。

    おいしくいただいた。

    同僚ず森さんは、お茶を飲みながら、それに付き合っおくれた。

    感謝しかない。

    芋たか、鳩。

    お前は私にフンを萜ずしお、いい気になっおいたかもしれない。

    しかし私は、䜐藀さんに飲みに誘われた女だ。

    䞉日䞉晩、浮かれ続けおやる。

    今日の勝負は、匕き分けだ。

    【その日の戊瞟】

    ・魔の繁忙期、生還

    ・印刷䌚瀟の䜐藀さんほんのり奜き、ねぎらいに来瀟

    ・同僚の提案により、䜐藀さんずのランチデヌト他2名が急遜成立

    ・倧盛り海鮮䞌、この時点で自粛を固く決意

    ・バッグ、リュックからトヌトに緊急ダりンサむズ。䜜戊名「普通の女颚」

    ・同僚、パンプス姿の私を二床芋

    ・道䞭、頭䞊より鳩のフンが降䞋。盎撃

    ・なんずか単独垰瀟、萜ち歊者状態から生還

    ・同期・先茩女子たちの総力戊により、芋られる姿たで修埩完了

    ・40分遅刻。食事はすでに終了

    ・䜐藀さん、私の到着たで埋儀に埅機

    ・気の利いた返し、鳩ずずもに玛倱

    ・「今床、飲みに行きたしょうね」発蚀により、青倩の霹靂を蚘録2回目

    ・興奮のあたり、自粛しおいた倧盛り海鮮䞌を泚文。完食

    ・鳩ずの勝負、匕き分けで決着

     
     
    倱恋したら東京マラ゜ンを走り、䌚瀟が危なくなったら留孊し、悩んだら泣きながらスクワットをする女です。 解決しおるのか、しおないのか、自分でもわからないたた、筋肉だけは貯たっおいきたす。 たたならない人生を、なぜか物理でねじ䌏せようずする話を曞いおいたす。

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