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Photo bykei02

人生は、本当にドラマティックだ

    アクシデントで仕事を休んだ。
    ああ、人生って本当に何があるのかわからない。

    昨日まで「明日はこれをして、次にあれをして」と、未来は細かく区切られていたのに、今日になって突然、それが全部白紙になった。
    誰かが悪いわけでも、私が怠けたわけでもない。ただ、予定外の出来事が起きただけ。それだけで、人生は簡単に方向を変える。

    休む理由を説明しながら、どこかで申し訳なさを探している自分がいた。日本で生きていると、休むことにはいつも理由が必要だ。しかも、その理由は「仕方なかったですね」と他人に許可される必要がある。

    電話を切ったあと、部屋に残ったのは、静けさだった。
    通勤の音も、仕事の通知もない。代わりに聞こえるのは、冷蔵庫の低い唸り声と、外を走る車の気配だけ。

    ぽっかり空いた時間は、最初は不安を連れてくる。
    「今日の遅れを、私は取り戻せるんだろうか」
    そんな考えが、勝手に増殖する。

    でも、しばらくすると、その不安は別の顔を見せる。
    時間が、私を急かさない。誰にも追われない。今日だけは、成果も効率も無視で良い。

    ベッドに腰掛けて、窓の外を見る。
    雲は、私の都合なんて一切気にせず、ゆっくり流れていた。
    ああ、世界は今日も普通に回っている。
    私が止まっても、世界は止まらない。

    私は雲のように漂う。
    働いていない。生産性もない。誰かに褒められることもない。
    なのに、生きてる感じがした。
    呼吸をして、痛みを感じて、時間の流れを意識する。
    普段は見過ごしているものが、輪郭を持って戻ってくる。

    人生は、思ったよりもコントロールできない。
    それは怖いことでもあるけれど、同時に救いでもある。
    全部を自分の責任にしなくていい。
    時には、流れに押し流される日があってもいい。

    アクシデントで仕事を休んだ。
    それだけの一日だった。
    だけど、こうして振り返ると、確かに今日もドラマの一話だったと思う。

    明日、また日常に戻る。
    予定は埋まり、私はまた忙しくなるだろう。
    それでも、今日の空白を、少しだけ覚えていたい。

    人生は、何があるかわからない。
    だからこそ、毎日はドラマティックだ。
    派手じゃなくても、静かでも、確かにここに、物語はある。

     
     
    36歳プロ社畜。腰痛と四十肩。欲しいもの余白。 ダークファンタジーと恋愛、時々ホラー。 第三期サンクチュアリ出版正直レビュアー♡ 創作大賞2025中間選考通過/エブリスタRising Star選出/カクヨムコン11中間選考通過

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