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扇風機の前で叫んだ「俺の小説がバズらねえええええ!」#第3回灯火杯

    私は今、扇風機の前で仁王立ちをしている。
    「あ゛あ゛あ゛〜」
    あれだ、あれ。子供の頃に扇風機の前でのワレワレは宇宙人だごっこ。
    大人になった今でもやってる。
    「あ゛あ゛あ゛〜〜〜」

    外にはアブラゼミが鳴いてる。
    ジリィーーーー!

    ミンミンゼミもいる。
    ミーンミンミンミーーーーン!!

    そして、時折ツクツクボウシ。
    ツクツクボーーシツクツクボォーーシィィィィィ!!!

    いやー、夏だ夏。この3種類のセミの鳴き声が一度に聞こえると、私はちょっと興奮する。レア召喚成功!って感じ。夏が本気出してる感じする。

    ……だから、私も本気出す。
    扇風機に向かって私は叫ぶ。

    「あ゛あ゛あ゛〜俺゛の゛小゛説゛も゛エ゛ッ゛セ゛イ゛全゛く゛読゛ま゛れ゛ね゛え゛え゛え゛え゛〜」

    宇宙人の襲来?世紀末の叫び?寝ぼけてたら、何かの啓示と勘違いするような声。恥も外聞もあるか、私は叫ぶ。

    「小説が読まれねえええええ」

    創作してる人なら、わかってくれると思う。
    内容は悪くない。だけど、読まれない。
    バズらない。誰にも見つけてもらえない。
    それってつまり、『存在してない』ってことなんじゃないか? 

    ……そう思った瞬間、背筋がゾッとした。

    心の奥から、黒い声が囁いてくる。

    「この声が届かないなら、いっそ全部、止めてしまえ」

    あ、やばい。来るぞ。
    詩的な闇モードじゃない。これはもう、創作に取り憑かれた者の業(カルマ)だ。

    私は深呼吸をして、思い出す。
    小学生の頃、夏休みの宿題で書いた読書感想文。
    誰にも読まれなかったけど、担任が「よく読んでるね」と一言くれた。それが嬉しかった。

    ひとりに届くだけで、あんなに嬉しかったのに。
    大人になった今、なぜ私はこんなにも欲張りなんだろう。

    わかってる。
    バズってる人は、みんな努力してる。才能も、運も、血のにじむような積み重ねも。
    それでも、どうしようもなく、苦しい夜がある。

    たとえば。
    バズってた文章の中に、こんな一文があった。

    ――私はただ、心をこめて書いてるだけです。

    ……それ、こちとら一番やっとるんよ!!!

    心なんてとっくに筆に込めて燃え尽きたわ!
    一文字ずつ、魂でこねくり回して、何度も読み直して、それでも0ビュー!即終了!!
    私なんて、AIにも人間にも負けてんだよ!!わかってんだよ!!!

    って、また扇風機の前で叫んでた。アホみたいに。真剣に。全力で。

    でも。

    それでも。

    私は書く。
    なぜなら、この扇風機の前での絶望を文章にできるのは、私だけ、だから。

    夏の空はやかましいほど青い。
    3種類のセミが同時に鳴いて、うんざりした頃。
    今度は静かにヒグラシが鳴き始める。
    カナナナナ……。

    今日もnoteは静かだ。
    君の画面の向こうも、同じように、しんと静まり返っているのだろうか?

    扇風機の前じゃなくても、
    カフェの片隅かもしれないし、スマホのメモ帳かもしれない。
    誰にも読まれないって思いながら、それでも言葉を積み上げてる、誰か。
    もしかしたら、これを読んでくれている君が、そうかもしれない。

    今日も書いた?いいじゃん。
    誰にも届かなくても、今日、たったひとことでも書いたなら。
    それだけで、君はこの世界で、静かに、確かに、存在している。

    見つけられなくても、
    noteのアルゴリズムに見捨てられても、
    君が書いたってことが、まず最強なんだよ。

    だから、私も書く。次の夜も、次の夏も、ずーっと。

    セミが鳴いて、扇風機が回って、世界が静かでも。
    この呪いみたいな創作を、笑いながら続ける。

    扇風機の前で、宇宙人ごっこしながら。
    叫びながら。
    今日も、明日も、書け、叫べ。

    どうせバズらないけど、それでもやる。
    それでも、書くんだろ。

    なぁ、同志よ?
    世界が黙ってるからって、自分まで黙るんじゃねーぞ。
    黙ったその瞬間に、私の、君の物語は消えるんだから。















    灯火さん、はじめまして。
    つい数週間前にお名前を知り、今回素敵な企画に参加させて頂きました。

    どうぞ宜しくお願いします!

    #第3回灯火杯


     
     
    36歳プロ社畜。腰痛と四十肩。欲しいもの余白。 ダークファンタジーと恋愛、時々ホラー。 第三期サンクチュアリ出版正直レビュアー♡ 創作大賞2025中間選考通過/エブリスタRising Star選出/カクヨムコン11中間選考通過

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