
バックレ・トゥ・ザ・フューチャー 第11話「嵐」

復路は北回りでユタとアリゾナの州境を出たり入ったり。この辺の音楽の記憶がないので、プレイリストに入れてた「昔からずっと荒野で聞きたかった曲」と、旅前半のどっかで流れて良かったのをいくつか。
Can't Get You Off My Mind - Lenny Kravitz (1995)
(荒野感のある曲ってだいたいコードがGだよな)
Do I Have to Cry for You - Nick Carter (2002)
(これは完全にMVのせい、見ればわかる)
Helpless - Neil Young (1976, live)
(The Bandラストワルツのコカイン鼻刺さりニキ)
Winterlong - Neil Young (1973)
(冬が明けるぐらい長く君を待っていたというコカイン切望ソング)
第3話に書いたWillin'もそうやけど、このWinterlongの演奏とハーモニーの美しさがまあやばいぜ。春が待ち遠しい熊みたいな気持ちになってきた。



カエンタのちょっと先、トナリーのディノ・マートで運転交代。トイレを借りて、クランベリーかなんかの缶ソーダを買った。砂漠の乾いた喉にぶち込む。


ペイジの町までぶっ飛ばして、みんな大好き絶景スポットのホースシュー・ベンド(Horseshoe Bend)へ。駐車料金10ドル。駐車場の片隅にずらっと並んだ仮設トイレに入るとこの世のものとは思えない汚さで、(彼女が入った奥の方のは奇跡的にキレイだったらしい)ブローティガンの屋外便所の話を思い出す。
掘立小屋からちょっとのぼったところに屋外便所があった。扉がもぎとられそうな格好で開いていた。便所の内部が人間の顔のように露わになっていた。便所はこういってるようだった──「おれを建ててくれたやつはここで九千七百四十五回糞をしたが、もう死んでしまった。おれとしては、いまはもうだれにも使ってほしくないよ。いいやつだったぜ。ずいぶんと気を使って、おれを建ててくれたんだ。おれはいまは亡きおケツの記念碑さ。この便所には匿さなくちゃならんような秘密などないよ。だからこそ扉があいてるんじゃないか。糞をしたけりゃ、鹿みたいに、そこいらの茂みでやってくれよな」
「くたばりやがれ」と、わたしは便所にいってやった。「おれは川下まで車に乗せてって貰いたいだけなんだぜ」




うーん、写真で見たのよりかなり凄いけど、グランドキャニオンとモニュメントバレーの後だからかいまいち感動が足りない。そして何回目かわからんけど、恐るべし、コロラド川。時間があったら近くのアンテロープキャニオン(今こそAll my true love~♪とIs this love? Is this love? Is this love?のロケ地でおなじみ)にも行ってみたかったけど、またそのうちいつか。




それから2時間ぐらい走ってカナーブ(Kanab)の町へ。ガソリンスタンドに入ったら事務所が開いてなかったので併設のサブウェイへ。ティーン男子店員に聞いたら「スタンドはもうやってないんですよ」とアメリカドラマの陽キャみたいなトーンで教えてくれた。こういう人が現実に存在しているのがいちいち嬉しくなる。とりあえずお腹が空いたので向かい側のピザ屋Lotsa Motsa Pizzaに入ってみる。
雰囲気的に家族経営っぽいこの店、レジカウンターでおばちゃんがまあ大儀そうに対応してくれる。漱石に書かせたら名場面になりそうだな。壁には地元の高校だか大学だかのアメフトチームの張り紙だらけ。この町で青春していた時代が懐かしい。もちろんおれはクォーターバックで、彼女はチアリーダー。実際は2人とも音楽好きのウォールフラワー(=パーティーで壁際にぽつんとしている陰キャラ)だっただろうから1軍のたまり場のこの店にはまったく近寄らなかったかもしれん。そんな運動神経ゼロのおれたち。



さっきからユタとは何となくバイブスが合わないな~と思ってたらダメゼッタイ州だった。もしこの辺で生まれたら絶対にネバダアリゾナカリフォルニアに移住するだろうね。州ごとに法律が違うのが心からうらやましすぎる。日本も北海道と関西と北部九州はカジノとかもOKで緩くして、東日本はダメゼッタイって言っといてほしい。そんで南部九州なんかは年功序列・男尊女卑の家父長制支持者と、それでもいいから専業主婦になりたい人が住むところにしたりしてさ。すべてはマッチングとコミュニケーションの問題なんだ。Do you understand?






ハリケーン(Hurricane)の町のエクソンで小休止。ここはセブンとマック併設だー。セブンの店員と客のおじいちゃんが話しているのが何かとてもよかった。ガソリン1ガロン4.76ドルで満タン44ドル弱(クレカ明細7220円)。出発しつつ、よし、この町に来たからにはあの曲を聞くしかない!
ハリケーン - シャネルズ (1981, live)
Hurricane - Bob Dylan (1975, live)
まずはシャネルズでいちばん好きな曲。ハリウッドのウイスキー・ア・ゴーゴーに飛び入りしたときのライブアルバムで、他の曲で桑マンがリードボーカルのやつがあるんやけど、歌もトランペットもうますぎ。鈴木も田代もみんな最高。アメリカ伝道師(ドゥワップ部門)、認定!
ディランの方もライブのやつが気合入ってて良い。この曲はとにかく歌詞がすごくて、初めて聞いたときはどえらい衝撃を受けた。冤罪で逮捕された黒人ボクサーについて韻を踏みながら巧みにストーリーテリング(ヴァースがなんと11番まである)していく。最後の方に「正義がゲームでしかない国に生きるのが恥ずかしくてたまらなかった」という一節があるんだけど、この20年ぐらい(ずっと昔からそうな気もするが)で我が国はもはや「正義はゲームですらない」世の中になってきてるような。
過去数話で椎名林檎とベンジーの曲も登場させたけどさ、最近の彼らの情報が流れてくると悲しくなるときがある。リスナーも含め、「その音楽やバンドが好きでその思想になるの?」ってサプライズさせられることが多くて辟易する。英米のロックの表面やサウンドだけ消費・利用しているやつ全員、ファッションパンク認定!音楽に政治を持ち込むな?一生ほざいてろよ。
ラスベガスが近づいてくるにつれて、本州から九州に帰ってくるときのような安心を感じてきた。山口長いなー、あーもう少しで壇之浦PAだーってときのあれと同じような気持ち。I-15のヴァージン川らへんはかなりの絶景で、マリオカートみたいだった。
テスラのサイバートラックを初めて見て目がバグりそうになる。日没前にラスベガスに着くミッションも無事完了しそうだ。

