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Photo byhakoyuki

早くこいこい冷やし中華

    ある日の昼休み、
    わたしはすごく焦っていた。

    さっき注文した冷やし中華がなかなかこないのだ。猛暑日が続いたこともあり今日のお昼は冷やし中華と朝から決めていた。

    わたしの職場の昼休みは12時から13時までと決まっている。12時ちょうどに事務所を飛び出して中華料理店までは約10分。「冷やし中華始めました」ののぼりに釣られてやってきた。

    店内に入ってまずひとつ目の難関があった。

    そのお店は券売機で食券を購入する。1台しかない券売機に5、6人が並んでいる。そして何を注文するか迷っている。「夏は冷やし中華だろ」という気持ちを抑えつつ平静を装いながら順番を待つ。

    食券を買うまでに10分はかかった。カウンターのおばちゃんに食券を渡して席に着きスマホをいじって冷やし中華を待つ。

    だがなかなかこない

    時計の針は12時30分を過ぎていた。頭の中で計算してみる。ここから職場までは約10分。食べるのに10分かかるとして12時40分がタイムリミットだ。もう少しゆっくり食べたい気持ちもあるが致し方ない。

    さらに時間は過ぎ、待ちに待った冷やし中華はやってきた。時間は12時40分を少し過ぎている。食べずに店を出るという最悪の事態も脳裏をよぎったがまだ間に合う。

    きゅうりも錦糸卵も麺もまとめてかき込む。口の中へ胃の中へ。途中ちょっとむせったけどとにかく箸を止めてはいけない。兎にも角にも時間がないのだ。

    あんなに楽しみにしていた冷やし中華なのになかなか減らない麺にイラつきながらがむしゃらに食べた。もう何を食べているのかわからない。もう皿を持って食べながら店を出たい。

    その後、ダッシュで職場まで戻り「冷やし中華で遅刻しました」という情けない報告をせずに済んだ。

    涼を求めての冷やし中華だったのに汗だく。この汗はきっと冷や汗に違いない。

    ということがありました。


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