
境界線:彼と彼女の超えられない距離
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ありがとうございます!
知り合い同士が話していました。
聞くとはなしに、自然と耳に入ってきました。
恋愛相談のようです。
彼女は、メンタル疾患持ち。
どうも、PTSDがあるようで、いじめられた記憶がフラッシュバックすると涙が出て、辛くなってしまうようです。
いつもやさしい彼氏は、彼女が、フラッシュバックして、辛くなり、泣き出す度に、背中を撫でてくれるそうです。
『大丈夫?』
『辛いね』
そういって、やさしく声をかけ、彼女が泣き止むのを待ってくれるのだとか。
ところが、先日、彼女がやっぱり、フラッシュバックで辛くなり、泣き出したところ、虫の居所が悪かったのか、彼の態度はいつもと違いました。
『なんで、そんな昔のことで、今更、泣くの?』
イライラした様子で、彼は、そう言ったそうです。
彼女は、フラッシュバックの辛さと、彼に否定された悲しさとで、二重に苦しかったでしょう。
そして、やがて、ふたりはケンカをし、次の日には、彼女が、しんどいのを押して、無理に手料理をふるまったりして、一応の仲直りができたようです。
・・・・・
ここまで聞いていてですね。
やっぱり、健常者とメンタル疾患もちとの、超えられない一線を感じてしまったわけなんです。
恋人なりたてほやほやのころは、ある程度、自分を作れます。
いい人を演じることができます。
好きな女の子が、メンタル疾患持ちだった場合、同情してくれます。
大丈夫?ってやさしい声もかけてくれます。
でもね。
段々、しんどくなるんだよね。
だって、わからないから。
本心から言えば、『なんで昔のことで、いつまでも泣くの?』と思っている。
PTSDを患ったことがなければ、多分、普通、そう思う。
PTSDは、記憶の病気だから。
つらい過去が、いつまでも、過去にならずに、ずっと今である病気だから。
普通の人にとっては、どんなにつらくても、過去は過去。
もう終わったことにすぎない。
今更、とりあげることでもないし、臨場感あふれる記憶でもない。
でも、PTSDのフラッシュバックは、もう一度、過去が、ありありとよみがえっていて、その時に感じた恐怖や怒りは、現実のものとして、そこにあるんだよね。
今更ではないの。
今、まさに、今、この瞬間に、もう一度、感じて、体験しているのです。
現実、そのものなんですよね。
・・・・・
まあ、でも、彼を責めることもできない。
だって、彼だって、しんどいことがあるでしょうから。
いつもいつも、メンタル疾患の彼女を、いたわる余裕もないでしょう。
たまには、自分が、なぐさめられる側にも回りたいよね。
仕事で理不尽なことがあった時にも、彼女に会ったとたん、すぐに菩薩の笑みを浮かべられる男は、そう多くはないでしょう。
彼だって、愚痴りたい。
『なんで、今更、泣くの』
『君の悲しみは、過去のことでしょう』
『俺は、今、苦しいんだよ』
『たまには、俺のことをいたわってよ』
と、思うことでしょう。
わからなくもないんだなー。
このすれ違い。
・・・・・
もうひとつ、思ったこと。
仲直りをするために、彼女が無理をしたというくだり。
これは、彼女の無理が、彼には伝わっていないと思う。
これから、二人の仲が深まっていくにつれ、彼も本音が出しやすくなり、つい、いつものように、メンタル疾患の彼女をいたわれないシーンが出てくることでしょう。
その時に、彼女が、いつも、いつも、無理をして、明るくふるまうことで、仲を回復することが続けば、彼女が壊れてしまう。
彼は、そこに気が付くことが、今のところ、できていない。
あ、この子も、やればできるんだ?としか、多分、思っていない。
彼が無理して、彼女をいたわり続けることもできないし。
彼女が無理して、明るくし続けることもできないし。
この、すれ違い。
バランスが難しい。
・・・・・
もし、二人の愛が本物ならば、どこかで大げんかでもして、ぶつかって、どちらもが無理をしない、ふたりだけの微妙な関係を作り出すことができるかもしれないね。
その時には、もっと、お互いに、相手への理解が深まると思う。
そう、応援はしているのだけれど。
若い二人の、すれ違いが、今後、大きくなりそうな、いやな予感はしました。
無事を祈ります。
今日はこの辺で。
おしまい。