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Photo bysuzumuraxxxjun

【#シロクマ文芸部 9月②】お題:借りた本(#怪異LABO)

    シロクマ文芸部の1カ月の全お題を使って一つの物語を作っています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。今年で3年目の挑戦となります。

    1回目は20字小説、2回目以降は文字数制限のないお話というスタイルで毎月挑戦中です。

    第1話はこちら👇

    借りた本を図書館に返しに行こうとコスモス畑を通り抜けようとしたときのことです。チラリと出かけるときのことを思い出しました。

    「図書館って返しにいくの大変じゃない?」

    相棒は図書館にいそいそと向かう私にいつもそう言います。

    「大変じゃないよ!楽しいし!ウォーキングにもなるし!」

    私は図書館が大好きなのです。読みたいという気持ちを持った人々が集うあの空間が子どもの頃から好きでした。単なる休憩で入る人も一定数いますが、たいていは静かに時を過ごす人がほとんどです。

    中には心が荒み騒ぎを起こすことを目的としてくる来館者もいますが、そんなときは……
    ほら……
    あれですよ、あれ。
    みぞおちに意識を集中させて手のひらを向けて力をちょいっとすれば、ね?

    「ぎゃっ」

    っと叫んでひっくり返り慌てて図書館を後にする姿を思い浮かべ思わずクスリとしたときのことです。

    「怪異LABO以外で力は使っちゃダメだから!」

    と相棒が言いました。

    「し、してないわよ!」

    これ以上、追及させないために本を抱えて飛び出してきたのですが。

    (人助けで小出しで力を使っているの、気づいてる?)

    相棒は妙に勘がいいので気をつけなければ。

    傲慢なおじさんの足元につまずきやすい小石をポンと配置したり、坂道を急スピードで転がり落ちるベビーカーにトンと力を当ててお母さんがキャッチしやすくしたことなど、力を小出しで使ったこれまでのことを思い返してみました。

    (どの現場にも相棒はいなかった。フロフもね)

    フロフは、たまに私の行動を相棒に喋ってしまいます。

    「内緒だよ?」
    「わかったにゃ!」

    何度も約束をしますが、猫独特の気まぐれでスルッと口が軽くなってしまうことがあるのです。でもまあ、かわいいから怒れないんですけどね。

    「よし!大丈夫!」

    ここ最近の自分の行動を振り返り、相棒に弱みを握られる行動はなかったと確認したところで、私の心はふわりと軽くなりました。安心してコスモス畑に足を踏み入れます。

    怪異LABOから図書館に行く道の途中にコスモス畑はありました。コスモスが花開く季節の月夜に、図書館へ行くのが大好きなのです。今晩も程よい具合に暗くなり始めた空には、細い三日月が輝いています。

    「この季節に借りた本を返しに行くの、最高♪」

    月の下で見るコスモス畑の中で自然と心も弾んでいたとき、目の端にヒラヒラと動くものが映り込みました。

    「怪異?……っ!」

    いそいでみぞおちに力を集め一気に熱を上げます。すぐに立ち向かえるようポーズを取り見ると、コスモス畑からニュッと小さな手が突き出ていました。

    その手はぼんやりと白くはかなげに見えます。ただ、はかなげであればあるほど、この世のものとは思えない空気が手から流れ出していました。ポーズを解くことなく私はその手を観察し続けます。怪異相手に油断は禁物です。

    「おいでおいで」

    声が聞こえるわけではありません。ただ、コスモス畑でヒラヒラと動く小さな手から、私を呼ぶような雰囲気が伝わるのです。

    「……」

    ズリ……
    ズリリ……

    幻想的なコスモス畑に誘われるように私は少しずつ前に足を進めるのでした。

    (つづく)

    最終日に滑り込み部活動!
    小牧幸助部長、今週もよろしくお願いします。

     
     
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