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Photo bysuzumuraxxxjun

【#シロクマ文芸部4月②】遥、パパを待つ

    シロクマ文芸部の1カ月の全お題を使って一つの物語を作っています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。第1回目は20字小説、2回目以降は文字数制限のないお話というスタイルで毎月挑戦中です。

    上記プラス、おばあさんが読み聞かせをするというスタイルを今年は取ることにしました。そのため、シロクマ文芸部のお題から始まる部分が読み聞かせとなり、その後に会話が続く形で物語が展開します。2025年、12個のお話を上手く完成させられるか、お付き合いいただければ幸いです。

    4月の物語1回目はこちら👇

    バス停で遥はるかはパパを待っています。さっきまで曇り空だった空は青々とした色を浮かべ、桜のピンクがより一層、美しく輝いているように見えました。

    「早く来ないかなぁ。こんなにきれいなのに」

    桜並木の途中にあるバス停のそばを何人もの親子が通り過ぎます。みんなニコニコと笑っているのを見て遥はるかはキュッと心が縮こまるような痛みを覚えました。

    「大丈夫。もうすぐ会えるもん」

    遥はるかのパパは遠い国でお仕事をしています。今よりも小さい時に、ママから仕事のことを教えてもらったのですが。難しくてよくわからず、お友達のおうちのように毎日帰ってきて欲しいと泣いてしまいました。今も、まだよくわからないのですが、パパが大切なお仕事をしていることだけはわかっています。だからもう泣きません。

    「だって私、もうお姉さんなんだもん」

    ただ、よそのうちの子がパパと手をつないだり、肩車をしてもらったりしているのを見るとちょっとだけ、心がキュッとなるのです。

    「私もパパとママの間でブラ~ンってしたかったな……」

    遥はるかより小さな子が父親と母親の間で手をつないでブラ~ンとぶら下がりキャッキャと笑っている様子を見て、ポロリと言葉を落としてしまいました。パパとママの間でぶら下がるには遥はるかはもう大きすぎるのです。

    「う……うらやましくなんかないもん!」

    ブンブンと頭を振り、遥はるかはもうすぐ到着するであろうバスに意識を戻します。

    「まだ来ないかなぁ」

    バス停のベンチに座り足をブラブラさせる遥はるかが呟いた時、頭に桜の花びらが1枚、ふうわりとのりました。

    📚📚📚

    「はるかちゃんのおうちはパパいないの?」
    「遠いところでお仕事をしているみたいね」
    「ぼくんちと同じだね……パパ……」
    「パパァ……」

    2人がシクシク泣き出したので、おばあさんは慌てて本を閉じます。

    「ごめんごめん」

    2人の孫をきゅっと両手で抱きしめ、しばらく背中をポンポンとしながら、おばあさんは話しかけます。

    「でも、明日帰ってくるじゃない」
    「そうだね!」

    さっきまで泣いていた男の子の顔がぱぁっと明るく輝きました。

    「うふふ。今泣いたカァラス♪歯ぁ生えて笑った♪」

    微笑みながらおばあさんが歌います。

    「それなあに?」

    まだ少し涙を浮かべた女の子がおばあさんにたずねます。

    「さっきまで泣いていたのに、もう笑ってるねってこと」
    「ホントだ!今泣いたカラァス♪歯生えて笑った!」

    おばあさんの真似をして女の子も歌いました。すっかり笑顔となっています。

    「お姉ちゃんだって、今泣いたカラス……あれ?次なんだっけ?」

    そうたずねる男の子の様子に、おばあさんと女の子は思わず笑ってしまいました。カラス、カラスと、しばらく笑い続けていましたが、2人の声はだんだんと小さくなり愛らしい寝息に変わります。

    「おやすみなさい」

    おばあさんは、そっと部屋の電気を消しました。

    (つづく)


     
     
    第12回ブックショートアワード9月期優秀作品選出!カクヨムコン11ではホラー「きれいなものだけ」が中間選考突破!創作大賞2023~25年連続ベストレビュアー賞受賞!心に寄り添う文章を心がけるライターです。優しい文章ご入用ではありませんか?文章の依頼お待ちしております。

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