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【身体機能編①】授業中に頬づえをつく・椅子からずり落ちる子の原因と対応|学校・園・家でできる関わり方【作業療法士】

    授業中に頬づえをつく。お尻が前にずれて、背もたれにもたれかかる。椅子からずり落ちそうになる。

    「ちゃんと座りなさい」と言いたくなる場面は、先生にも保護者の方にもあると思います。

    頬づえやずり落ちは、怠けているのではなく、机や椅子が体に合っていないサインかもしれません。 本人の力の問題と決めつける前に、まず環境を見直してみてください。

    ① 学校・園・家での「困りごと」の背景
    ② 今日からできるアプローチ(学校での事例つき)
    ③ おすすめグッズ

    ① 困りごとの背景


    「いい姿勢」を、45分続けるのは大変です。

    「いい姿勢」で授業の45分間座り続けることは、大人でも難しいです。子どもたちは、何度も「ひと休み」しては「座り直す」を繰り返しながら、頑張って座っています。崩れた姿勢が見えると「怠けている」ように感じますが、その子なりの理由があることが少なくありません。

    座りやすい姿勢の目安
    体に合った机と椅子は、次の状態です。
    ・足の裏が、床にしっかりつく
    ・椅子の高さは、膝を90度に曲げたときに、足の裏が床につく高さ
    ・机の高さは、おへそのあたり。肘を90度に曲げて、手を少し前に出したときに、肘が机にのる高さ
    ・机と体の距離は、こぶし1〜1.5個分
    ・背中と背もたれの間に、少しだけすき間がある

    頬づえ・ずり落ちの背景にある、環境の要因
    机の高さが合っていない:高すぎると肩が上がる、低すぎると前かがみになり、頬づえをつく
    椅子の高さが合っていない:足が浮いて、ぶらぶらする。お尻が前にずれ落ちる
    座面の奥行きが深い:背中が背もたれに届かず、お尻を前に出してもたれる
    机と椅子が離れている:体を前に乗り出し、頬づえをつく
    座面が硬い:お尻が痛くなり、座り直しや姿勢の崩れが増える
    座面がつるつる :お尻が前に滑る

    こんな様子はありませんか?
    ・お尻が前にずれて、背もたれによりかかっている
    ・頬づえをつく
    ・足がぶらぶらしている
    ・机にもたれかかり、顔が机に近い
    ・椅子の上で、何度も座り直す

    場面ごとの困りごと
    学校:「姿勢が悪い」と注意される、板書を写すのが遅い、疲れやすい
    園:椅子に座る時間(製作、食事)に、姿勢が崩れる、立ち歩く
    家:宿題の姿勢が崩れる、食事中にずり落ちる、学習机が合わなくなっている

    子どもは、毎日のように大きくなっています。 半年前に合っていた机と椅子が、今は合わなくなっていることも、よくあります。

    ② 今日からできるアプローチ


    基本の考え方
    1.子どもを直す前に、机と椅子を見る
    2.足の裏を、床(または足台)につける
    3.お尻の位置を安定させる
    4.定期的に見直す(成長に合わせて)


    【学校の事例】「姿勢が悪い」と言われ続けていた子

    小学3年生のFさんは、授業が始まって15分ほどすると、頬づえをつき、お尻が前にずれて、椅子からずり落ちそうになります。担任の先生は、毎日、「背中を伸ばして」と声をかけていました。Fさんも、そのたびに座り直すのですが、数分でまた崩れてしまいます。

    Fさんに対して椅子が少し高く、足の裏が床についていないことがわかりました。足がぶらぶらすると、足の重みで、お尻が前にずれ落ちます。さらに、机と椅子の間が遠く、前に乗り出すように座っていました。

    そこで、次の3つを試しました。
    ・足元に、足台(木の箱)を置いて、両足の裏をつける
    ・座面に、滑り止めシートを敷く
    ・机を少し近づけて、肘が机にのる位置にする

    数週間で、頬づえをつく回数が減り、自分から座り直せる場面が増えました。Fさんも、「前より楽」と話していました。姿勢を直そうと声をかけるより、座りやすい環境を整えたことが、一番の変化でした。

    【学校】先生ができること
    まず、座っている姿を横から見る
    ・足の裏が床についているか
    ・肘が机にのっているか
    ・机と体の間に、こぶし1〜1.5個分の距離があるか
    ・お尻が、椅子の奥まで入っているか

    机と椅子の調整
    ・高さ調整のできる机と椅子を使う
    ・足が浮く場合は、足台を置く
    ・クラス全員の机と椅子を、定期的にチェックして、調整する(学期ごとに見直す学校もあります)
    ・椅子や座面を、本人が選べるようにする(全員が選べると、特別扱いにならない)

    座面と背もたれの工夫
    ・座面が滑る子には、滑り止めシートを敷く
    ・座面が硬い子には、クッションを置く
    ・座面の奥行きが深すぎる子には、腰から背中を支える背もたれ(ランバーサポート)を使うと、奥行きを合わせやすくなる

    【園】保育者ができること
    ・椅子と机の高さを、年齢や身長に合わせて、見直す
    ・足が浮く子には、足台や、箱で足元を支える
    ・座る時間が長くなるときは、途中で立つ・動く場面をはさむ
    ・食事や製作では、足がつく椅子を選ぶ

    【家】保護者ができること
    ・学習机:足の裏が床につくか、肘が机にのるかを確認する
    ・足台:足が浮くときは、箱や専用の足台を置く
    ・食事:ダイニングの椅子でも、足がぶらぶらしないよう、足台を使う
    ・定期的な見直し:成長に合わせて、数か月ごとに確認する

    声かけのポイント
    ×「ちゃんと座りなさい」「背中を伸ばして」

    ○「足がつかなくて、座りにくそうだね。足台を置いてみようか」
    ○「座ってみて、どこが楽か教えてね」

    声かけだけで姿勢を直すのではなく、座りやすい環境を一緒に探すというスタンスで関わってみてください。

    ③ おすすめグッズ


    足が浮く、ぶらぶらする:足台(箱、すのこ、専用の足台)
    お尻が前にずれる:滑り止めシート、お尻を包む形のクッション
    背もたれに届かない:ランバーサポート(腰から背中を支える背もたれ)
    座面が硬くて痛い:座面クッション
    机が合わない:高さ調整付きの机、傾斜台(書見台)

    グッズ一覧
    足台:両足の裏をつけて、体を安定させる
    滑り止めシート:お尻の前ずれを防ぐ
    座面クッション:お尻の痛みをやわらげ、姿勢を保ちやすくする
    ランバーサポート:座面の奥行きを合わせ、腰から背中を支える
    傾斜台(書見台) :目線が上がり、背中が伸びやすくなる

    選ぶときの3つのポイント
    ・足の裏がつくことを、最優先にする
    ・まずは1つから試す(合う・合わないには個人差があります)
    ・特別扱いにならないよう、クラス全員が選べる形にする

    まとめ


    ・頬づえやずり落ちは、机や椅子が合っていないサインかもしれません
    ・足の裏が床(または足台)につくこと、肘が机にのることを、確認しましょう
    ・子どもを直すより、座りやすい環境を整えましょう
    ・成長に合わせて、定期的に見直しましょう

    次回【身体機能編②】は、「姿勢を保つのが苦手な子」(前のめり、椅子の上で正座、足を椅子に乗せる)について書きます。

    分かりにくいところもあったと思いますが、読んでいただいてありがとうございます😊
    この記事がこれからの生活や支援の参考になれば幸いです🙇‍♂️
    おすすめのグッズも載せておきます。ぜひ見てみてください!

     
     
    児童発達支援・放課後等デイサービスで働く作業療法士。発達障害・グレーゾーンの子どもと保護者・支援者の方へ、「できない」の本当の理由と具体的な関わり方を発信しています。

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