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ショートショート 惑星総転居

     目を覚ました太陽は驚いた。惑星たちがひとりもいない。土星や天王星はおろか、その周りの小惑星すらもだ。「まさかな」と目を閉じて、もう一度あけてみる。どこまでも続く暗闇。惑星たちはどこにもいなかった。

     ことの始まりは木星だ。いつも太陽にくってかかった。小さな喧嘩でカッとなり売り言葉に買い言葉「僕がいないと輝けもしないくせに」と太陽が叫び、木星がむっつり黙り込んだ。その日のうちに惑星たちに転居届が回覧される。木星の威圧的な微笑みに、惑星みんなが署名した。

     太陽は慌てて荷物をまとめる。まだそう遠くには行っていないはずだ。走り出すと息切れがした。いつも輪の真ん中で運動不足なのだ。過去の自分を傲慢さを恥じた。

    「太陽だ!」
     水星が追いかけてくる太陽をさした。
    「本当だ」
     金星が手を振る。他の惑星たちも安堵の声を上げる。なんだかんだ、みな太陽が好きなのだ。木星が不満そうに言った。
    「なんのようだ、太陽」
    「太陽? なんのこと?」気まずさに太陽がさらに赤くなった。しどろもどろに続けた。「初対面だよ。なんていうか、てんこうせい」
     あははは、と火星が笑った。はははとつられて地球も笑う。みんな一緒に笑って、太陽系がいつもより輝いた。


    ショートショート No.762

    たらはかにさんの毎週ショートショートnoteに参加しています。
    今週のお題は「惑星総転居」です。


     
     
    小説(ショートショート)を書いています。オンライン文芸コミュニティhoshiboshi運営スタッフ(星々ラジオ担当)。

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