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パリに2年住んで、初めて「いつものデモと違う」と感じた話。それでも私が来年のJapan Expoをすすめる理由

    こんにちは、株式会社Feux代表の松尾です。普段はパリと東京を行き来しながら、日本のアニメや漫画をフランスに届ける仕事をしています。

    数時間前に、Xにこんな投稿をしました。

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    思っていたよりたくさんの方に読んでいただいて、DMも何通かいただきました。「松尾さん大丈夫ですか」「年末のパリ旅行、キャンセルした方がいいですか」。ありがとうございます、私は無事です。

    で、その中に意外と多かったのがこの相談でした。

    「来年のJapan Expoに出ようと社内で話していたけど、このニュースを見て止まっています。やめた方がいいですか?」

    今日はこれにちゃんと答えたくて、noteを書いています。

    先に結論を言うと、「やめる必要はない。ただし、現地を知っている人と組んでください」です。出展代行をやっている会社の代表が言うので、半分ポジショントークなのは分かっています。それでも、なぜそう言えるのかを、住んでいる人間の目線で書いてみます。

    10月17日、パリで何が起きたのか

    まずは事実関係から。日本のニュースだと断片的にしか入ってこないと思うので、ざっくり整理します。

    10月17日の土曜日、フランス全土で大規模なデモがありました。きっかけは物価高と、公立学校の環境悪化への抗議です。9月から高校生たちが学校の前でデモをしていて、それが一気に全国規模に広がった形です。参加者は全国で約55万人、パリだけで11万人と報じられています。

    デモ自体は、大半が平和的でした。問題はそこに便乗する人たちです。フランスでは大きなデモがあるたびに「カスール(casseurs=壊し屋)」と呼ばれる集団が紛れ込みます。今回は彼らの規模が明らかに大きかった。

    レピュブリック広場では車が燃やされ、シャンゼリゼ通りに向かおうとした数百人の集団を警察が食い止めました。マドレーヌ周辺やサントノレ通りでは、ブランド店のショーウィンドーが割られて商品が持ち去られています。全国で襲撃を受けた小売店は当初1,500店舗と言われていましたが、19日には大臣が3,000店舗という数字を出しました。

    その後、19日の夜から一部の地域で夜間外出禁止が出ています。ただ、非常事態宣言までは出ていません。

    住んでいる人間として、何が「いつもと違う」のか

    フランスに住んでいると、デモやグレーヴ(ストライキ)は本当に日常です。地下鉄が止まる、学校が休みになる、駅前に人が集まっている。最初は驚きましたが、2年もいると「ああ、今日もか」くらいの感覚になります。

    私の家があるのは、レピュブリックからグラン・ブルヴァールに抜けていく大通り沿いです。デモの行進ルートになりやすいエリアなので、慣れているつもりでした。

    でも今回は違いました。


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    Xでバズっていた本画像

    こちらはStrasbourg - Saint-Denisにある歴史ある門です。自宅からWe Workへ行く特によく使っていた通勤路でもあったのでびっくりです。

    下記画像は、知り合いの日本人が撮影した画像ですが全て私の家から徒歩5分圏内で引いています。

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    弊社が協業しているジュンク堂パリの方も今回の略奪は、10年前の黄色いベスト運動以来の被害規模であることを言っていました。現地に住んでいる人にとってもとても大きな事件だとわかります。

    ジュンク堂パリは大丈夫でしたが、下記3つの他販路先は甚大な被害を受けていました。

    ①ALL GEEKS

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    ②MOMIE MANGAS

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    ③MANGA STORY

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    「抗議」ではなく「略奪」が、すぐ隣で起きている。この感覚は、今までのデモとは異なるものに感じます。

    だからXでは「住んでいるからといって矮小化するのは危険」と書きました。現地に長くいる人ほど「いつものことだよ」と言いがちなんですが、今回はそれを言っちゃいけない気がしています。

    一方で、日本の報道だけを見ていると、パリ全体が燃えているように見えるかもしれません。実際は、翌18日にはギャラリー・ラファイエットもプランタンも普通に営業していました。被害を受けたお店も、片付けをして少しずつ再開しています。

    大事なのは「危ない」でも「大丈夫」でもなく、その間の解像度なんだと思います。どのエリアの、どの時間帯が、どれくらい危ないのか。これは現地にいないと、なかなか分かりません。

    それでもJapan Expoは、来年7月にやってくる

    ここから本題です。

    次のJapan Expoは、2027年7月8日〜11日。会場はパリ市内ではなく、郊外のパリ・ノール・ヴィルパント展示会場です。毎年20万人以上が来場する、ヨーロッパ最大級の日本文化イベントです。

    そして、ここが一番伝えたいことなんですが、大型の展示会に出るなら、準備は開催の8〜12ヶ月前から始めるのが普通です。ブースの申込、版元さんとの権利調整、グッズの製造、輸出と通関。逆算すると、まさに今がスタートラインです。

    「デモが落ち着いてから考えよう」と様子を見ていると、年が明けて、気づいたらもう製造が間に合わない。これが一番もったいないパターンです。

    デモで出展そのものが危なくなるかというと、私はそうは思っていません。会場は郊外の大きな展示会場で、主催側もこの手の事態には慣れています。怖いのはデモそのものより、日本から判断しようとして、判断が遅れることの方です。

    「情勢が読めない国」で出展するときに、本当に怖いこと

    日本からフランスの出展を進めると、どうしても時差が壁になります。

    ニュースが日本に届くのは半日遅れ。現地の業者にメールを送っても、返事が来るのは翌朝。こちらの夜に向こうで何かが起きて、こちらが気づいたときにはもう手遅れ、ということが普通に起きます。

    そこにグレーヴが重なると、もっと厄介です。物流が止まって荷物が届かない。通関が遅れる。搬入日に会場へ向かうRER(郊外線)が止まる。結果、在庫を抱えたまま日本に送り返すことになって、送料で利益が全部消える。これは実際によく聞く話です。

    私たちFeuxも、きれいな成功だけをしてきたわけではありません。2024年にJapan Expoの現地調査から始めて、2025年には小学館さんのライセンス協力のもとで、複製原画展・限定グッズ販売・作家さんのサイン会を企画運営しました。今年9月には『パプリカ』20周年の企画で、ギメ東洋美術館での上映イベントと、ジュンク堂書店パリ店でのPOP-UP STOREを12日間やらせていただきました。

    正直に言うと、どの案件も何かしらのトラブルはありました。ただ、パリにメンバーがいるので、日本の翌朝を待たずにその場で動けた。これが一番大きかったと思っています。

    Feuxの出展代行で、具体的に何をしているか

    宣伝っぽくなるのは承知の上で、少しだけ書かせてください。

    Feuxのフランス出展代行は、企画から撤収、その後のレポートまでを一括で引き受けています。出展目的の整理や出展先の選定、版元さんとの許諾調整、グッズ製造の手配と販促物のフランス語化、輸出入と通関、会場との交渉、当日の販売スタッフ手配、現地SNSでの集客まで。必要な工程だけの部分委託もできます。

    現地スタッフを手配するので、日本からの渡航は0名でも運営できます。作家さんのサイン会のように、日本側の同行が必要な企画は個別にご相談ください。

    個人的にこだわっているのは2つです。

    ひとつは、見積もりの中身を全部見せること。現地でかかる実費と、Feuxの作業費を分けて出しています。商社さんに見積もりを取ったら中間マージンの内訳が読めなかった、という声を何度も聞いてきたので、そこは透明にしたいと思っています。

    もうひとつは、「出ない方がいい」とちゃんと言うこと。来場者の層や出展料、競合の顔ぶれを見て、目的に対してJapan Expoが合っていないなら、別のイベントやPOP-UPを提案しますし、そもそも今年は出ないという結論も出します。売れ残った在庫をどうするか(現地の小売に卸すのか、ECに回すのか、日本に戻すのか)も、契約前の段階で決めておきます。

    あと、今回のような情勢のときに、現地のリアルな温度感をそのままお伝えできるのは、パリに住んでいる人間がいる会社の強みだと思っています。ニュースより少し早く、少し細かく。

    最後に

    自分の住んでいる街が荒れていくのを見るのは、正直しんどいです。今週の土曜日も、来月も、またデモがあります。どうなるかは私にも分かりません。

    それでも、フランスの人たちが日本の漫画やアニメを本気で好きでいてくれることは、何も変わっていません。去年のデモでは、若い子たちが『ONE PIECE』の麦わらの一味の旗を掲げて行進していました。それくらい、日本の作品はこの国の日常に入り込んでいます。

    だからこそ、ニュースを見て止まってしまうのはもったいない。不安なら、不安なまま相談してもらえれば大丈夫です。

    企画書がなくても、出展先が決まっていなくても構いません。「この作品をフランスで出したい」の一行から、気軽に連絡ください。初回の相談は無料です。

    ▼ Japan Expo出展代行・フランス展示会サポート|株式会社Feux

    パリの状況も、引き続きXで発信していきます。

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