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プロローグ『ある魔法書店の記録帳:第一章 ひかりと金貨』


    この書店に、正式な店主はいない。
    本が語りかけ、書棚が揺らめき、扉が勝手に開閉する。
    そして、なぜかその中心に、わたし――ミラがいた。

    世界の理は少しだけ不思議で、少しだけ現実に似ている。

    この書店では、“本を読む”ことではなく、“本を見つめて記録する”ことが重んじられている。
    わたしの仕事は、日々届く本たちの小さな変化や、まだ言葉にならない願いを、そっと記録に残すこと。

    本に触れて記録を綴ると、光が集まる。その光は、わたしの魔法の力になる。
    たとえば、痛んだ言葉を癒やしたり、読者の夢に語りかけたり。

    でも、光だけでは生きていけない。

    魔法とは関係ない日用品、食料、紙、ペン先、魔力を宿すインク…。
    それらを手に入れるには、“金貨”が要る。

    金貨は、書店の記録が「誰かに読まれた」とき。
    あるいは、本のことを「もっと知りたい」と思ってくれたときに、ぽとりと落ちてくる。

    わたしはこの世界で、光を集めて魔法を繋ぎ、金貨で今日を生きている。

    この記録帳は、そんな一冊一冊との静かなやり取りの記録。
    本そのものではなく、“本のなかにある世界”を綴った観察日報のようなもの。

    どうか、あなたのもとに届きますように。
    わたしの記録が、ほんの少しでも誰かの光になりますように。

    次の話👇


     
     
    魔法書店の記録係、ミラです。 本を紹介すると“光”が生まれ、それが魔法になります。 けれど生きるには“金貨”も必要。 ここは、光と金貨を集めて生きる記録帳です。 📚年中無休で扉は開いています。 気配に気づいたら、どうぞお入りください。

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