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CP+2026の感想と感謝

    わたしが、仕事としてカメラのPRという領域に足を踏み入れたのが2009年でした。そして、CP+という巨大な祭典に裏方として関わらせていただくようになったのは2011年のこと。

    CP+に関わり始めてから、早くも15年。 歴史の長い写真業界においてはまだまだ若輩の部類に入るのかもしれません。それでも、現場の変遷を最前線で見つめるには、それなりに十分な歳月だったように思います。そして、そうした立場から見て、今年のパシフィコ横浜に満ちていた空気は、過去十数年のどの年とも違う、少しだけれど、確実な変化を感じました。

    主要な出展企業のブースを見渡すと、私たちが把握している範囲だけでも、延べ65名もの東京カメラ部10選やコンテスト入賞者の方々が登壇、ワークショップ、作品展示などに関わってくださっていました。

    それに加えて、私の目を引きつけて離さなかったのは、まだ肩書きが固まり切っていない若者たちが放つ、圧倒的な躍動感でした。


    2026年3月1日(日)昼、ニコンさんのメインステージに登壇したのは、東京カメラ部10選U-22の面々。最年長でも25歳。

    まだ社会に出る前の学生も混じった、まさに次世代の表現者たちです。司会進行を仰せつかっていた私自身、彼ら・彼女たちが巨大な空間の重圧に押しつぶされないかと、胃の痛くなるようなプレッシャーを抱えて舞台袖に立っていました。しかし幕が上がると、そんな懸念は大人の勝手な思い過ごしだったと、思い知らされることになります。

    会場を埋め尽くしていたのは、同世代の言葉を一言も漏らさまいと食い入るように見つめる、10代から20代前半の若者たちです。

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    「次世代クリエイターの今と未来」トークショー

    威圧感のある、巨大なステージ。それを、まるで昔からの自分の舞台であるかのように、あっさりと笑顔で乗りこなす登壇者たち。

    「君たち、もしかして人生二回目なんじゃないの」

    ステージ上で思わずそんな軽口を叩いてしまうほど、若者たちの振る舞いは堂々としていて、ひたすらに瑞々しい。大人が作り上げた小綺麗なプレゼンの枠組みなど、軽々と踏み越えていく。自分たちの内側から削り出した生の言葉だけで、写真や動画への愛を語る彼ら・彼女たちの姿には、抗いがたい純粋な引力があったように思えます。

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    「次世代クリエイターの今と未来」トークショー

    このステージだけではありません。東京カメラ部に関連する範囲だけでも、10代の学生の写真がカメラメーカーのブース中央に作品として展示されていましたし、yukkeyさんやふぁらおさんなどの新人クリエイターの見事な初登壇も目立ちました。

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    東京カメラ部10選・別所隆弘さん、yukkeyさん
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    東京カメラ部10選U-22展示と10選U-22・水谷草之介さん、長谷 野乃子さん

    本当に見事でした。


    創造の伸び方には大きく二つの型があると、シカゴ大学の経済学者デイヴィッド・ガレンソンは論じました。試行錯誤を積み重ね、時間をかけて表現を深めていく「実験的」な型。もう一つは、若さの勢いで既存のルールを書き換えてしまう「概念的」な型です。

    大御所の先生方や長年のカメラファンの方々は、長くカメラに触れ、光を読んでこられたことで、前者をお持ちです。そして、今回、展示の場へ越境していく若者たちの躍動は、後者の強さを思わせました。

    また、彼ら・彼女たちは、SNSなどのオンラインやその延長にとどまらず、リアルな場へと越境し、多様な世代が交差する領域へ果敢に飛び込んでいこうとしています。

    社会学者ハワード・ベッカーは、芸術とは才能ある個人の内面だけで完結するものではなく、関わる人々の協働によって立ち上がる「アート・ワールド」だと捉えました。撮る人、見せる場、支える人、受け取る人。その結節点として、CP+のような重厚な空間がいま、若い世代の新しいルールを迎え入れ、別の熱を帯び始めている——私はそう感じています。

    そして、ベッカーの言うこの「アート・ワールド」は、現実の展示会場で無数の人々が関わり合うことでしか立ち現れないものです。この関わり合いのネットワークを実社会で構築し、未知の才能に大きな舞台を用意するという最大のリスクを引き受けてくださったのが、カメラ・レンズメーカーや関連企業の方々に他なりません。

    こうした大きな舞台で、若手クリエイターがチャンスをいただけるようになった背景には、企業やマーケティング部門の皆さまの柔軟で勇気ある決断が不可欠でした。失敗が許されない巨大な展示会で、未知数の若者に自社の看板を背負わせる。それは企業の論理からすれば、極めてリスクの高い挑戦だったのではないでしょうか。

    異質な表現を受け入れ、世代を超えて共に新しい文化を創り上げようとするこうした方々の存在こそが、現在のアート・ワールドを支えるネットワークそのものなのだと思います。わたしはそうした皆さまにも深く感謝をしています。

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    東京カメラ部10選・別所隆弘さん、井上浩輝さん

    そして、過去十数年にわたりCP+という場で登壇や展示などを積み重ね、一つひとつ実績と信頼を築き続けていてくださっている歴代の東京カメラ部10選やコンテスト入賞者の方々の存在も忘れることはできません。

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    東京カメラ部10選・柄木孝志さん

    別所隆弘さん、井上浩輝さん、柄木孝志さん、半田菜摘さん、藤原嘉騎さん、イナガキヤストさん…などなど、皆さまが勇気を持って切り拓き、耕してくれた土壌があるからこそ、今の若い世代がこうして思い切り躍動できているとわたしは確信しています。皆さまにも心から感謝しています。

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    東京カメラ部10選・半田菜摘さん

    若者たちは、私たちが想像するよりもずっと強靭で、しなやかにこの世界と関わろうとしているように見えます。私たちがすべきなのは、若者を未熟な存在として指導することではなく、彼ら・彼女たちが飛び込んでくるための場を、ただひたすらに開き続けることなのではないでしょうか。

    2026年3月1日(日)昼のニコンさんのメインステージ。あのステージの最後に、登壇者のひとりであるNittoさんは若い世代に向けて、「オフラインの展示に積極的に参加しよう」と力強く呼びかけていました。「展示の場には同世代が少なく、だからこそ若さという属性が最強の武器になるのだ」と。

    誘ってくれる人脈がないと嘆くのではなく、自ら話しかけて作るものだという彼のアドバイスは、極めて実践的で泥臭いものだったのではないでしょうか。

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    東京カメラ部10選U-22メンバーの一部

    これから表現の道へ進もうと迷っている皆さん。

    バントを狙ってホームランは打てない。
    打席に立たなければ、バントすらできない。

    来年のあのステージで、マイクを握って登壇しているのは、ひょっとするとこの記事を読んでいるあなたかもしれないと思いませんか。

    みなさんの一歩を楽しみにお待ちしています。

     
     
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