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やってみなければ「やりたかったこと」かはわからない

    個人事業主として、フリーランスのベビーシッターになって3年目になりました。

    独立と聞くと、一見リスクを背負っているように思われがちですが、実際にはそれほど危ういものではありません。多少の自己資金があれば始められますし、融資も低金利で受けられます。

    第三者から見ると、「好きなことを仕事にしたんだね」「やりたいことを実現してるんだね」と思われることがあります。
    けれど、私自身の感覚としては、そうとも言い切れません。

    誤解のないように言っておくと、子どもと接する時間や、保護者の悩みに寄り添うことには、確かなやりがいがあります。楽しいと感じる瞬間も多いです。

    でも、「これは本当にやりたかったことなのか?」と聞かれると、正直「うーん、そうでもないかも」というのが本音です。

    一時期、「本当にやりたいこと探し」にのめり込んでいた時期がありました。講座の受講や自己分析を1年半以上続け、関連書籍も読み漁りました。「向いていること」「得意なこと」「好きなこと」……。いくつも掛け合わせては仮説を立ててみたものの、どれもしっくり来ない。出てきたものは、いまいち世の中の需要と噛み合わず、徒労感ばかりが残りました。

    「本当にやりたいこと」を探し回るのは、実は現代社会が作り出した幻想かもしれません。無数の選択肢があると信じ込まされた私たちは、決断することの重さを忘れがちです。

    そんなとき、出会ったのがストア派哲学でした。

    端的に言えば、「コントロールできることとできないことを見極め、できることに集中する」という考え方です。古代の哲学者たちが追求した、自分の内面を整え、自然な流れに身を任せる知恵でもあります。これは、エッセンシャル思考にも通じるものがあります。

    最終的にたどり着いたのは、「やりたいこと」ではなく「できることをやる」という姿勢。そしてそれは、「昨日より善い自分になる」ことの積み重ねです。

    私たちは、感情や結果を完全にコントロールすることはできません。
    「やりたい」という気持ちが湧いても、現状維持バイアスや変化に対する心理的抵抗がそれに水を差すことが多々あります。思ったほど上手くいかず、飽きてやめてしまう。そんな自分に失望し、「自分は何も向いていない」と自己嫌悪に陥る。

    だからこそ、スタンスを変えることにしました。

    「やりたいこと」は、最初からは見つからない。
    代わりに「ちょっとやってみたいこと」に小さく手を出してみる。ハードルは最小に設定し、徐々に高くして習慣化する。そのうち、成果や楽しさ、強みを感じられたら、「これは“今の自分にとって”やりたいことかもしれない」と一時認定して続けてみる。そうでなければ、潔くやめて次へ進む。

    この繰り返しでいい。むしろ、これしかないのだと気づきました。

    もちろん、これも一つの仮説にすぎません。

    今の仕事が「私の人生で最も意味があり、最高で、夢中になれるものか?」と聞かれたら、そんな風にはまったく思いません。

    でも、そう思える“何か”がどこかにあると信じる方が、今はむしろ不自然に思えます。それは多くの場合、コントロールの外側にある幻想だからです。

    期待をかけすぎると、それは足元を不安定にする。

    だから私は、今日できることを、恥じないレベルでやりきる。
    それが人生の中で、最も確実で誠実な方法だと考えています。

    この文章を読まれているということは、あなたも「やりたいこと」を探している途中かもしれませんね。あなたが求める理想は、きっといつか形になりると思います。

    大切なのは、最初のハードルを低くし、少しずつ高めていくこと。1ミリずつでも前に進めば、やがて輪郭が見えてきます。もしかしたら、当初と全く違ったものかもしれませんが、その道筋を楽しむのが人生かもしれません。

    向く方向さえ大きく間違っていなければ、いつか「自分なりの形」にたどり着ける可能性は高いです。

    だからこそ、「ちょっとやってみたい」から始めてください。「ちょっとやってみたい」と思うその瞬間に、実はすでに「自分の価値観にとって大切な何か」を選んでいるのかもしれません。それが何なのかを、行動しながら確かめていくのです。

    そしていずれ、「これがいいかもしれない」にたどり着ける。そのためには、試行回数を増やすことが何より重要です。

    もしかしたら、私が本当に求めているのは「やりたいこと」ではなく、「自分が生きている実感」かもしれません。あなたはどう思いますか?

    最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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    株式会社おんぶにだっこ 代表取締役 ・ベビーシッター、動画配信などさまざまな媒体で活動 ・子育てや子ども理解に役立つ情報や知識を配信 ・面白いと思った海外の論文記事も和訳投稿しています

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