
NOTA|CPOを降りて現場に戻った半年、PdMとしてやったこと
この記事は、NOTAのテクノロジー連載「Tech Behind the Scenes」です。
https://note.com/notahotel_inc/n/n1a80e1a5cff4
こんにちは。NOTA(NOT A HOTEL)でプロダクトマネージャーをしている @hisao_00 です。
前職では執行役員CPOとして複数プロダクトを統括していましたが、2026年4月にNOTAへ入社し、「いちPdM」として現場に戻りました。担当はコンシェルジュ領域。オーナーさまが滞在中に使うAIコンシェルジュ「Kevin」と、それを支えるカスタマーサクセス(以下CS)向けのツールです。
まず、この動画を見てください
オーナーさまが「今週末、4人で旅行に行きたい」と話しかけると、Kevinが滞在先と移動手段を提案する。到着後は部屋のiPadに声で頼むだけで、サウナの温度が整い、バスタオルが届く。
これが、私たちの目指す滞在体験の一部です。
最終面接で、代表の濱渦さんに「なぜ辞めるの?何がやりたいの?」と聞かれ、この動画の体験を実現したいと答えました。「一緒にやろう」と言ってもらえたのが、私の入社の決め手です。
この半年で、理想の体験に向けた「足場」を作ってきました。何をやったのかを、動画の場面に沿ってまとめます。
半年でやったこと

1. 会話を、信頼できるものにする
動画では声で話しかけていますが、最初に取り組んだのは音声ではなく、チャットの回答精度です。声で聞かれても、答えの中身は同じ。まず「聞かれたことに正しく答えられる」状態にしないと、入口を広げても意味がありません。
手始めにやったのは、「なんとなくイケてない」を数字にすることでした。品質改善のために会話ログを確認すると、気になる箇所はいくらでも見つかります。ただ、何を「イケてない」と感じるかは人によって違い、そのままでは優先順位が決まりません。
そこで、適切さ、簡潔さ、NOT A HOTELが求める品質の高さ、という観点を定義し、会話を一つずつスコアリングしました。スコアにすると、どこから直すべきかがはっきりします。
一般的なAIチャットボットは、人につなぐまでの受付で終わりがちです。でも私たちにとって、チャットは滞在中のオーナーさまとの大事な接点です。ハウスの体験がどれだけ良くても、ここがイマイチだと全体の印象まで下がります。
見つけた課題はCSチームとのdaily syncで共有し、エンジニアと一緒に修正を入れ、LLMテストで回答が崩れていないことを確認してリリースする。最短でその日のうちに出せる流れを作りました。
やったこと自体は、AIチャットボットのベストプラクティスを爆速でやりきっただけ、と言えばそうです。ただ、改善のたびにスコアが確実に上がるので、チームは自信を持って速く進めました。
2. 返事を、待たせない
精度が上がると、次に気になるのは「返事が遅い」ことでした。会話として自然に感じるには、速さがとにかく大事。どこに時間がかかっているかをエンジニアと一緒に計測し、不要な処理を減らし、判定を軽い処理に分けて、回答までの時間を約40%短縮しました。
なんでも重たいLLMに任せず、判定は小さなモデル(Jev)に分担し、会話の流れから次に必要な情報を先回りして取りに行く。この設計には、前職までのデータサイエンスの経験が活きました。
3. 依頼を、会話の中でそのまま受ける
動画では、提案された内容をそのまま依頼として送っています。その第一歩として、タクシーやワイン、アメニティの依頼を、会話の流れの中で選んで送れるフォームにしました。
こだわったのは、PRDだけで議論しないことです。AIで自分で動くプロトタイプを作り、CSとエンジニアに毎日触ってもらい、承認のサイクルを速く回しました。
4. 裏側の人が、おもてなしに集中できるようにする
動画には出てきませんが、裏側には依頼を確定して手配するCSチームがいます。オーナーさまから見えないこの部分が、実は一番手がかかります。CSチームが日々使う外部ツールを、自社のアプリに置き換えるプロジェクトを始めました。
もともとは広く使われているSaaSでした。ただ、私たちの運営に合わせた細かな使い勝手、CSメンバーが覚えるまでのコスト、AIを前提にした業務の組み立て。この3点を解決する、超クリエイティブなAI Nativeツールを自分たちで作ろう。そう決めて、いま集中して開発しています。
5. 部屋のiPadに、声で頼めるように
動画の最後、部屋のiPadに話しかける場面は、すでにハウスで稼働しています。ただ、聞き取りの精度や返事までの間など、「会話」と呼ぶにはまだ伸びしろがありました。
そこで、GPT-Live APIを使ったアップデートを進めています。9月に試作版を社内に配り、10月には北軽井沢のハウスに泊まり込んで実機で確認しました。
聞き取りと返答の速さが大きく変わり、そのときのシーンに合わせて、声ひとつでハウスの状態を整えられる。これまで答えられなかった質問にも、高い精度で答えられる。
そこまで劇的に良くなる見込みが立ち、本番への切り替えに向けて詰めているところです。
どうやってやっているのか
振り返ると、こだわってきたのは5つです。
1. まず、コードを読んで「同じ地図」を持つ
2. 文章ではなく、動くもので会話する
3. できる限り自分で理解してから、エンジニアに渡す
4. 自分がボトルネックにならない
5. 誰よりも高い解像度を持ち続ける、だから、毎月現地に泊まる
1つ1つ書くと長くなるので、ここでは見出しだけにします。詳しくは、12月11日に大阪で開催されるpmconf 2026で、「CPOの椅子を降りて、いちPdMになった──AI時代、『現場に戻る』は最強のキャリア戦略かもしれない」というタイトルでお話しします。ぜひ現地でお会いしましょう!
おわりに
CPOという肩書きを降りて現場に戻ることに、迷いがなかったと言えば嘘になります。でも半年やってみて、経営で鍛えた「課題を定義する力」や「組織を動かす力」は、現場でこそ一番使えると感じています。
NOTAには「超ワクワク」「超クリエイティブ」「超自律」という3つのバリューがあります。動画のような体験をつくるために、超ワクワクしながら、超クリエイティブなアプローチをこれからもどんどんやり切っていく。それを、自分で決めて自分で動く、超自律な仲間と一緒にやりたい。NOTAでは、そういう仲間を探しています。気になった方は、ぜひ採用ページものぞいてみてください。
テクノロジー関係中途採用はこちら
採用全般はこちら
カジュアル面談からでもお気軽にどうぞ!