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Photo byholiday16

【ショートショート】天から南瓜 未確認飛行パンプキン [毎週ショートショートnote]

    天から南瓜かぼちゃ 未確認飛行パンプキン

     ある山の上の庵いおりに、隠者が棲んでいた。自らも畑を耕しながら、麓ふもとの小さな村の人々が神殿に供そなえる物をこっそりと、ありがたく頂戴ちょうだいし、糊口ここうをしのぐ。村の人々は、供え物が無くなるのは、山の神が召し上がるからだと信じていた。

     ある年、隠者は、友人の魔法使いから贈られた作物を、斜面の畑に植えた。南瓜かぼちゃというその作物は、丸く大きな、ずしりとした実をつけた。
     これは、食べ応ごたえがありそうだ。嬉々として、隠者は、荷車に実を積み上げた。そして、庵へと運ぼうとする。
     途端、荷車の車輪の一つが軋きしみ、弾け飛んだ。傾かしいだ荷台から勢いよく投げ出され、南瓜は、斜面を転がっていく。そして、止める間もあらばこそ、斜面の先の断崖から、次々と、楽しげに飛び出していった。次いで、遥かな崖下から、恐ろしい叫び声が上がった。
     すわ一大事、村人に当たってしまったのだろうか。隠者は、急いで麓の様子を見に行った。

    「天の助けじゃ! 山の神が、天から礫つぶてを降らせて、我らを助けてくださった」
     麓には、南瓜の礫に打たれ、人を襲って喰らう魔物が、骸むくろとなって横たわっていた。

     それから、人々は、南瓜を神聖な作物として栽培するようになった。神殿にも、人々を救った山の神への感謝を込めて、懇ねんごろに、南瓜を供えた。


     南瓜は毎年、自分の畑で充分に採れるから、以前のように、他の物を供えてくれた方がありがたいのだが。ともあれ、日頃世話になっている村人の役に立てたならば、それもよし。

     今も、隠者は、山の神と間違われつつ、村人の供え物を糧かてに、暮らしている。

    了 632字


    #未確認飛行パンプキン
    #毎週ショートショートnote

     今回、こちらのお題に参加させていただきました。
     どうもありがとうございます。
     長くなってしまって、すみません。

     本作は、拙作長編ファンタジー小説〈隻翼の竜の書〉の世界の昔話です。

     前回の作品はこちらです。


     
     
    物語や神話、歴史が好きで、ファンタジー小説を書いています。光と闇の狭間、多様な人間関係により織り成される、緻密で重厚な物語を、丁寧に紡いでいきたいです。 憧れは『指輪物語』。好きな作家はJ.R.R.トールキン、R.サトクリフ。 猫たちと同居中。 ほぼ毎週水・日更新。短編は随時。

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