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時間をかける少女

    ( #ショートショート  本文:806字)

     原作は読んだ。アニメも見た。でも一番心に残っているのは、実写版の映画だ。だから私もやってみたい。条件さえそろえれば、きっと跳べる。

     まず、掃除当番。うちの学校には理科室がないので、場所は多目的室。男子は、完全に私の好みで選んだ。同じ当番に入れてもらうまでに三週間かかった。

     掃除が終わる。「カバン取ってきて」と二人に行かせる。「なんで俺が」「めんどくさ」とグダグダ言うのを、10分以上、お願いしたり、脅かしたりして、なんとか教室へ追い出した。

     隣の物置で、ごとん、と音がした。来た。胸が鳴る。扉を開けて、息を吸う。ここで、ラベンダーの香りが……しない。床に倒れていたのは、文化祭で使ったインベーダーの模型だった。内臓がはみ出している。そして埃っぽい。ものすごく埃っぽい。

    「げほっ、げほっ……」
     むせた拍子に、視界が白くなった。

     気づくと、自宅のベッドの上だった。天井の染みを見ながら考える。昨日は何をしたんだっけ。思い出せない。ま、いっか。今日こそ、実写版と同じシチュエーションを作って、跳ぶんだ。

     放課後、「昨日、やったじゃんか」「またやるのかよ」と文句を言う好みの男子生徒二人を、「つべこべ言わすに、やって!」と適当にあしらって、多目的室に行く。掃除が終わって、二人にカバンを教室まで取りに行かせる。

     既視感。同じことがあった気がする。もしかして、跳べた?

     隣の物置から、物音がする。ダースベイダーの着ぐるみが転がっていた。埃っぽい。ものすごく埃っぽい。ここ、ちゃんと掃除した方がいい……誰か、ハタキくらいかけておいてよ……私がやるしかないのかも……意識が次第に遠ざかる。私、埃アレルギーなのに……。

     そのとき、机の上のCDプレーヤーが勝手に回り出した。ノイズのあと、スピーカーから少女の歌声が流れる。音程がひどく危うい。どこかで聞いた声だ。

    「ハターキーを、かーけーる、しょーじょ」
     それは、私の声だった。

    (了)

     掃除はマメにやらないといけませんね~(自戒)。


    はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
    甘野充さんの企画に参加します。
    よろしくお願いします。
    #アマノ文筆クラブ #時間をかける少女


    TALESにて、アマノ文筆クラブ作品を連載中。毎週木曜、朝、公開中!

    では、今日はこのへんで。
    はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

    #掃除当番 #理科室 #多目的室 #物置 #ラベンダー #インベーダー #既視感 #ダイスベイダー #ハタキ

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