
時間をかける少女
原作は読んだ。アニメも見た。でも一番心に残っているのは、実写版の映画だ。だから私もやってみたい。条件さえそろえれば、きっと跳べる。
まず、掃除当番。うちの学校には理科室がないので、場所は多目的室。男子は、完全に私の好みで選んだ。同じ当番に入れてもらうまでに三週間かかった。
掃除が終わる。「カバン取ってきて」と二人に行かせる。「なんで俺が」「めんどくさ」とグダグダ言うのを、10分以上、お願いしたり、脅かしたりして、なんとか教室へ追い出した。
隣の物置で、ごとん、と音がした。来た。胸が鳴る。扉を開けて、息を吸う。ここで、ラベンダーの香りが……しない。床に倒れていたのは、文化祭で使ったインベーダーの模型だった。内臓がはみ出している。そして埃っぽい。ものすごく埃っぽい。
「げほっ、げほっ……」
むせた拍子に、視界が白くなった。
気づくと、自宅のベッドの上だった。天井の染みを見ながら考える。昨日は何をしたんだっけ。思い出せない。ま、いっか。今日こそ、実写版と同じシチュエーションを作って、跳ぶんだ。
放課後、「昨日、やったじゃんか」「またやるのかよ」と文句を言う好みの男子生徒二人を、「つべこべ言わすに、やって!」と適当にあしらって、多目的室に行く。掃除が終わって、二人にカバンを教室まで取りに行かせる。
既視感。同じことがあった気がする。もしかして、跳べた?
隣の物置から、物音がする。ダースベイダーの着ぐるみが転がっていた。埃っぽい。ものすごく埃っぽい。ここ、ちゃんと掃除した方がいい……誰か、ハタキくらいかけておいてよ……私がやるしかないのかも……意識が次第に遠ざかる。私、埃アレルギーなのに……。
そのとき、机の上のCDプレーヤーが勝手に回り出した。ノイズのあと、スピーカーから少女の歌声が流れる。音程がひどく危うい。どこかで聞いた声だ。
「ハターキーを、かーけーる、しょーじょ」
それは、私の声だった。
(了)
掃除はマメにやらないといけませんね~(自戒)。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
甘野充さんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#アマノ文筆クラブ #時間をかける少女
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では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。