
筋肉侍、いざ!
監督は俺だ。今回の主演は、腕も胸も分厚くて、あつくるしい。脚本家はバラエティ番組専門のライターで、剣術のことなど何も知らない。矛盾の帳尻を合わせるのは、全部こっちの仕事だ。
撮影初日。幕府の役人が忍者に囲まれている。
「助けてくれ!」
そこへ侍が現れ、次々と忍者を倒していく。技はほとんど関係ない。ただ力任せに振り回すだけで、忍者が吹っ飛んでいく。
右から四人、左から六人、上から降ってきた三人。全部倒したと思ったら、二人がむくりと起き上がる。
「カット! 全部で何人倒した?」
侍は台本を睨んだまま黙り込み、両手の指を折って数えているが、指が足りない。
「十人くらい?」
「検算しろ!」
次のシーン。忍者が容赦なく手裏剣を投げてくる。侍はとっさに小道具箱をつかみ、顔の前にかざした。
パスッ、パスッ、パスッ。
手裏剣は、見事に、全部――剣山に突き刺さっていた。
「生け花か!」
俺は『筋肉侍、見参!』の台本を地面に叩きつけた。
(了)
おもしろそうな映画ですね。いつ封切りなんでしょうか。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
田原にかさんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#毎週ショートショートnote #マッチョ華道
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。