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Photo bykoba_tora15

宮崎一泊二日のひとり旅①

     2026年2月23日に時を戻そう…。

     数知れぬ苦難を乗り越え、わたしは鹿児島中央駅にやって来た。

     …。

     すみません、おおげさで。

     わたしの大好きな映画『ラビリンス/魔王の迷宮』に、ヒロインが「数知れぬ苦難を乗り越え、わたしはゴブリンシティにやって来た」と言う印象的なシーンがあるので、それをパロってみたかっただけです。

     いや、でもほんと、出掛けにも色々あって、鹿児島中央駅への到着が遅れたんですよ。

     この時、既に9時30分。

     (急げ、急げ。鹿児島中央駅9時59分発 宮崎駅12時12分着の特急に乗るぞ。これを逃したら、鹿児島中央駅11時50分発 宮崎駅14時02分着の特急まで待つことになってしまうぞ)

     と、わたしは心の中で繰り返しながら、きっぷ売り場へと歩いていました。

     鹿児島中央駅から宮崎駅までの区間は、無人駅を挟むため、鹿児島中央駅の改札でモバイルSuicaをピッ✨とやって通っても、宮崎駅の改札でエラーになってしまい、結局は駅員さんにモバイルSuicaの取り消し操作をしていただいた上に運賃を現金払いすることになるからです。

     だったらちゃんと初めからきっぷを買った方が駅員さんのお手を煩わせずに済むので、わたしはきっぷ売り場へと急いでいたわけです。

     すると…、困り果てた声が聴こえました。

     「あの…、すみません。〇〇行きのバス乗り場へは、どう行ったらいいんでしょう?」

     と。

     見ると、それはキャリーケースをひいている年配の女性で、隣には同じく年配の男性がいて、こちらもキャリーケースをひいていました。

     その女性は、当初、わたしとは違う人に声をかけていましたが、無視されたようです。

     女性は明らかにガックリして、困っている様子。

     わたしは聖人君子ではないので、普段なら「わたしは急いでいるんだし、きっとそのうち他の誰かが助けるさ」とか、「きっぷ売り場の近くに居るんだから、あの人たちが通りすがりの人に尋ねるのを諦めて駅員さんに道を聞けばいいのさ」などと思い、ちょっとだけ通り過ぎたのですが…、この時、わたしの頭には、

     「義を見てせざるは勇無きなり」

     という言葉や、先日読んだばかりの、



     ↑この本に出てきた『マッチ売りの少女、その後』という詩の、

     一度だけでも振り返っていたら
     結末は違ったかもしれないのに

    (著…三角みづ紀『錯覚しなければ』単行本版P12から引用)


     という一節がよぎりました。

     そして、

     (もしこのまま誰も足を止めず、この方たちが鹿児島に冷たい印象を持ってしまったら嫌だな…。遠くから来てくれたのかもしれないのに…)

     とモヤモヤモヤモヤしたので、わたしは振り返ることにしました。

     そして、お二人に「お困りですか?」と声をかけました。

     聞いてみると、お二人の目的地は、鹿児島の観光スポットにあるメジャーなバス停ではなく、ザ・住宅街のバス停でした。

     そのバス停に行くためのバス乗り場は、口頭で説明するには分かりにくい位置にあります。

     だから、わたしもバス乗り場まで一緒に歩いて行って、道案内をしました。

     …後になってハッとしたのですが、実は鹿児島中央駅構内には観光案内所があるのです。

     うっかりしていました。

     なんてこった!

     きっぷ売り場と観光案内所って、ものすごく近いのに!

     あのお二人に、「バス乗り場については、そこの観光案内所で教えてもらうと良いですよ」とお伝えして、わたしはさっさときっぷを買って特急に乗る、という手もあったのに!

     しかし、わたしは鹿児島生まれ鹿児島育ち。

     鹿児島の観光案内所を利用したことが全く無いので、近くに観光案内所があるということを思い出しませんでした。

     なんてこった!

     盲点でした。

     とはいえ、お二人を無事にバス乗り場へお送りすることが出来たので、わたしはひとまずホッとしました。

     笑顔を見られて、清々しい気持ち。

     さて、道案内を終えて、鹿児島中央駅に戻ってきてみると、時刻は9時55分になっていました。

     この時、わたしの頭の中には、「今からきっぷを慌てて買って、9時59分発の特急に駆け込み乗車をしようとして、転倒して足を折って色んな人に多大なご迷惑をかけた挙句にキズのライブに行けなくなる自分のイメージ図」が浮かび上がりました。

     ダメ〜〜〜!

     絶対ダメ!!

     …というわけで、わたしはそれからほぼ2時間後に特急が来るのを待つことになりました。

     果たして、わたしは宮崎駅へ辿り着き、キズのライブに行くことが出来るのでしょうか…?



     宮崎一泊二日のひとり旅②に続きます。

     
     
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