
5回泣いた本『子どもたちの光るこえ』
友人に勧められて1冊の本を読んだ。
『子どもたちの光るこえ』
著:香葉村 真由美
センジュ出版
2017年
読む前に「光るこえ」という言葉がいいなと思った。
「こえ」がひらがななのが特にいい。
P44 さっちゃんの「はい」に泣く
悲しい出来事から失語症になったさっちゃん。
先生としては友達と”話”をする経験をして卒業してほしい。
クラスメイトの工夫と優しさにより
たとえ音声でなくても
初めてコミュニケーションをとるさっちゃん。
日に日にさっちゃんの学校生活は変わっていく。
卒業式。
卒業証書で名前を呼ばれて
「はい」と返事をするさっちゃん。
P77 校長先生の行動と言葉に泣く
校長室でひとり
卒業アルバム152冊の1冊1冊に
”不適切な”言葉を消す校長先生。
「校長先生‥‥‥」とだけしか言えない著者に
「わかっていますよ。わかっています。
何も言わなくていい。ここはまかせておきなさい。
あなたは先生です。あなたが行くところは教室です。さあ。子どもたちが待っていますよ。教室に戻りなさい。」
校長先生のひとり作業と「あなたが行くところは教室です」が胸を打つ。
P79 シュウの「はい」に泣く
この本で最大の問題児、シュウ。
5年生のときは17秒しか体育館にいられなかった。
6年生で担任した著者と6年3組の子どもたちがシュウを救う。
シュウが壇上に登ってくると、情けないことに私は涙でこえが詰まって、シュウの名前をなかなか呼べませんでした。子どもたちは心配そうに私を見つめ、ざわざわしていました。
けれど、シュウは一度も私のほうを見ませんでした。ただ校長先生のほうをしっかり見て、背筋を伸ばして、名前を呼ばれるのを待っていたのです。
17秒しか体育館にいられなかったシュウ。
その体育館から、立派に卒業していこうとしている。
私はたまらない気持ちでシュウの名前を読み上げました。
「はい!」
P124 長女からの手紙とその後のメッセージに泣く
教師の仕事が忙しく
母親としては十分ではないと思っていた著者に
長女が手紙をくれる。
その手紙を紹介したあと、
著者からすべての母親たちにメッセージがある。
誰かの母でもなんでもないが、泣けた。
P147 たいよう君のおばあちゃんの言葉に泣く
「キラキラ朝礼」がメディアで話題となり、
思わぬ誹謗中傷を受ける。
生徒や保護者へのお詫びのために
一軒一軒、校長先生と家庭訪問をする著者。
たいよう君のおばあちゃんは
校長先生にこう言う。
「香葉村先生を守ったってください‥‥‥」
世間が何を言おうと
保護者はみな
子どもたちの成長が嬉しいのだ。
だから、いざというときも
子どもを伸ばしてくれた先生のことを守ってくれる。
気持ちがわかる祈り
ドキュメンタリー映画の最初のシーンに使われる
「いのちの授業」。
著者は
交通事故でお父さんを亡くしているヒビキ君のために
この授業を作った。
私は、撮影の前日まで、何度も何度も指導案や教材を作り替えました。けれど、どんなに準備を重ねても不安は消えません。最後は「どうか子どもたちに伝えることができますように」と、祈るしかありませんでした。
朝早くに教室へ行き、一人ひとりの机に手を置いて、祈りました。
「今日の1回の授業で、子どもたちに想いを伝えられますように」
一人ひとりの机に手を置いて祈る気持ちがよくわかる。
私も実際、教師時代にしていたからだ。
朝や放課後、生徒の机に手を置いて祈ったり話したりすることがあった。
誰もいない教室で。
これから教師になる方、
現在教師の方、
お子さんがいらっしゃる方は
きっと想像以上に
得られるものが多いと思う。
それでいて
元教師も5回泣いた事実。