
俺だって行きたかった名店「Tiara」
「あのTiaraが閉店?嘘だろ?」
俺は驚いて、つい声を出しちまった。
池袋は俺の庭だ。
西口から東口まで、裏ルートを使えば1分。
いや、さすがに俺でも1分は盛りすぎか?
そう、俺は池袋を知り尽くした男。
「不思議な不思議な池袋〜、東が西武で西東武〜♪」
いつものように鼻歌まじりで飛んでいたら、どこからか声が聞こえてきた。
「Tiaraが、ついに閉店だよ!」
ドブネズミたちが噂をしている。
「どこにでも入り込める俺たちでさえ、あの店の輝きは眩しすぎて近づけなかったもんな」
「俺もシャインパフェ、一度でいいからつついてみたかったよ」
Tiara。
池袋の片隅にひっそりと佇む、あの店。
キラキラとした空間に、宝石みたいなパフェ。
俺たちが普段うろついている場所とは、まるで世界が違う。
「どこでも入れる?」
俺は鼻で笑った。
「笑わせるなよ。そのデカい図体で」
どこでもっていうのはな。
俺たちみたいな存在を指すんだぜ?
人間の目をかいくぐり、ほんのわずかな隙間からでも入り込む。
縦横無尽。
神出鬼没。
俺たちに不可能はない。
……まあ、そんな俺たちでさえ、Tiaraには入れなかった。
あの店には、俺たちを寄せつけない何かがあった。
一度でいい。
あの素敵な空間を思う存分飛び回って、シャインパフェを腹いっぱい食ってみたかった。
けれど、もう閉店か。
そうか。あの店がね。
俺は少しだけ感傷に浸った。
そのとき、ふと背中の艶が気になった。
サッと綿棒を取り出し、自慢の背中を磨く。
まったく、綿棒ってやつは無限の可能性を秘めた棒だぜ。
身だしなみを整えたところで、俺は羽を広げた。
「さて、暗くなってきたし」
そろそろ行きますか。
お気に入りの、いつものあの店へ。
俺はどこにでも侵入できる。
人間たちは、俺たちの姿を見ると叫び声を上げる。
俺たちが近づけば逃げる。
俺たちが現れれば、すぐに仲間を呼ぶ。
時には名前を呼ぶことすら嫌がる。
そこまでされると、さすがの俺たちも恐縮しちまう。
これほどまでに恐れられ、敬われる存在が、ほかにいるだろうか。
そう。
俺たちは、特別な存在なのだ。
人間たちが、その名を口にすることすらおこがましいと言うほど高貴な存在。
だから人間たちは、俺たちをこう呼ぶ。
敬意を込めて。
「G」と。
あとがき
皆さんの継ぎ妄に刺激され、私も参戦です!
「おい、クソ猿とんでもないものの擬人化するなよ!」との声が聞こえてきそうですね。フフフ🐵
部長、みちよさんの元記事
夢ぺんぎんさんの継ぎ妄
マロさんの継ぎ妄