
読書記録|『西洋美術史 世界のビジネスエリートが身につける教養』──教養は、あとから線になる
NHKの『3ヶ月でマスターする西洋美術』を見始めてから、西洋美術史について書かれた本を図書館で数冊借りてみました。
1冊目はこちら。
『西洋美術史 世界のビジネスエリートが身につける教養』木村 泰司/著 ダイヤモンド社
https://www.diamond.co.jp/book/9784478103944.html
西洋美術史の膨大な歴史を広く網羅した、まるで教科書のような一冊でした。
感想を簡潔にまとめるのはなかなか難しいのですが、NHK「3ヶ月でマスターする西洋美術」でざっくり学んだ部分の解像度がぐっと上がる感覚がありました。
番組では時間の都合で触れられなかった背景や流れについても新しく知ることができ、「あの時代の美術ってどうだったかな」と振り返りたい時に手元に置いておきたい本だと感じました。
特に印象に残ったのは、ゴシック美術で確立された「神は光である」という思想が、バロック美術にも受け継がれているという点です。
番組でも光の表現には触れられていましたが、本書を読んだことで、バロックの光は技法的な演出には留まらず、美術史の流れの中で受け継がれてきた思想なのだと理解できました。
教会のステンドグラスを満たす光。
バロック絵画で人物を照らす劇的な光。
表現は違っていても、その根底には同じ思想が流れている。
美術史は、人々のものの見方と表現の歴史でもあるのだと改めて感じました。
私はビジネスエリートでも何でもありませんが、
教養として西洋美術史に触れる機会を持ててよかったと思います。
この本を読んでいて、数年前の出来事をひとつ思い出しました。
都内のある大学で開催された社会人向けセミナーに参加した際、終了後に隣の席に座っていたデザイナーの方と話をする機会がありました。
どういう流れだったのかはもう覚えていないのですが、「"まるさんかくしかくの絵"は知っている?」と尋ねられたのです。
当時の私は、美術への興味こそあったもののまだ入口に立ったばかりで、社会人経験も浅く、「知りません」と答えました。
するとその方は、「見てみるといいよ。きっと気に入るから」と勧めてくださいました。
それから3か月もしないうちに、興味本位で、美術館の学芸員の方が講師を務めるカジュアルなセミナーに参加しました。
そこで配られたお茶菓子が、丸いクッキー、三角形の生八ツ橋、四角いおせんべい。
「あれ? 面白い組み合わせだな」と思った、その直後のことでした。
江戸時代の禅僧・仙厓義梵の禅画、〇△□(まるさんかくしかく)が紹介されたのです。

「あの時、教えてもらった絵だ!」
そう気づいた瞬間の驚きは、今でもよく覚えています。
その後、美術館の仙厓展にも足を運びました。
日本画、禅画というと難しい印象を持っていましたが、
仙厓さんの作品にはユーモアと温かさがあり、
「余白」や「遊び」を楽しみながら美術と向き合う時間の豊かさを知りました。

こちらもお気に入りの絵のひとつです。
あの頃に少しずつ蒔かれた種が、こうして西洋美術史を学び、興味を持ったことを自分の言葉で書く今につながっているのかもしれません。
教養というのは、
一冊の本で身につくものではなく、
誰かとの何気ない会話や、
美術館での出会い、
一冊一冊の読書が少しずつ積み重なって形になっていくものなのだと、
この本を読んで改めて感じました。
西洋美術史を学ぶ本を読んで、日本美術との出会いまで思い出した。
それもまた、学びの点が線でつながっていく面白さなのかもしれません。