
60歳の再起動 「10Give&1take」に 救われた
50代半ば。
会社の業績が傾き、役職定年という現実が突きつけられた。
かつて高いプライドを持って第一線で活躍していた仲間たちが、一線から外された途端に気力を失い、集まっては愚痴をこぼすだけの「腐りよる暇人」になっていく。
冷え切った空気の中に、私も引きずり込まれそうになっていた。
「もう会社も辞めたいな……」そんな思いがよぎる中、私はある機関へ行くチャンスを掴んだ。
これまでの会社人生に一度区切りをつけ、
その先の人生を正しく再起動するための挑戦だった。
そこは民間企業とは全く空気が違っていた。ある意味、仕事は楽になり、このまま波風立てずに過ごすこともできた。
けれど、16歳の夏に「くさるな」と教わり、30代に量産化の修羅場を戦った私の魂は
楽な環境はかりでは楽しくなかった。
「このまま終わってはきっと後悔する」と
新しい職場でひとり一生懸命に走り回った。
その頃、私がいた職場と緊密に連携していた「別の組織」があった。
そこで、ひとりのマネージャーさんが
新しいプロジェクトを立ち上げるために
必死で苦労されていたのだ。
私は自分の無愛想な性格も忘れて、
ただひたすらに、一生懸命に彼のサポートをし続けた。
そんなある日、彼がこう声をかけてくれた。
「そちらの切りがついたら、うちに来てみない? 次は戦略とかを考えてもらう人が必要なんだ。」
当時、私は60歳を目前に控えていた。
提示された仕事は、給料こそ下がるが、
ある程度継続して経験を活かせる。
私の胸を激しく揺さぶった。
「もう、一番は給料じゃない。
わたしを必要としてくれるモチベーションだよな」。
私は彼の組織へと移る決意をした。
自分から10個の「Give(全力の支援)」を積み重ねたからこそ、彼がたった1個の、けれど最高に重い「Take(お声掛け)」をくれたのだと思う。
孤立無援になりかけた私を見つけ、
その不器用な努力を拾い上げてくれた彼には、本当に感謝だ。
それから、引き続き、お世話になっている。
仕事は楽しい。
今でも彼は私への信頼を込めて、
「こんな技術の状況を調べられるかな?」と笑顔で頼んできてくれる。
私はどんな仕事よりも先に、彼の課題を解決すると決めている。
振り返れば、16歳の夏に「環境に甘えない覚悟」をくれた いとこ。
30代の逆境で「技術を社会に役立てる強さ」をくれた上司。
そして60歳。
「これまでの全経験を武器に変え、居場所をくれた」今の恩人。
現在、私の仕事において、提供している事業戦略のベースは、すべてこの3人の男たちと
駆け抜けた泥臭い現場にある。
この素晴らしい期間も、そろそろ終わりが見えてきたかもしれない。
けれど、私の心には、彼らのおかげで
築き上げた心強い実績と自信が残っている。
人生、いつどこでどんな逆境が来るかは分からない。
けれど、腐らずに一生懸命走り回っていれば、人生を再起動させてくれる出会いが待っている。
そう思う。
あの家畜小屋から始まった私の仕事人生を
支えてくれた彼らには、今も、感謝だ。
みなさんにも 忘れられない出会いが
きっと あるでしよう。
よろしければ 聞かせて下さい。
では