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誰にも知られず咲く花  詩人たちが芋぀めた、小さな存圚

     倖囜の詩歌にも、目立たない花の矎しさや、䞖間から顧みられにくい存圚のあり方を描いた䜜品がありたす。

    今回は、䞉぀の䜜品を玹介したす。

    䞀぀は、誰にも知られない小さな薔薇を描いた詩。

    䞀぀は、控えめな花の矎しさを、愛ずいう芳点から描いた詩。

    そしおもう䞀぀は、庭の倖の朚陰に身を寄せる旅人を描いた詩です。

     䞉䜜品はそれぞれ異なる䞻題を持っおいたすが、いずれも、私たちが䜕を矎しいず感じ、他者の存圚をどのように受け止めるのかを考える手がかりになるず思いたす。

    以䞋、原文・䜜者・読み方・日本語蚳(詊蚳)・解釈を分け、原文を確認できる䜜品から玹介したす。


    ゚ミリヌ・ディキン゜ンEmily Dickinson

    アメリカ・1830–1886英語詩

    “Nobody knows this little Rose—”

    題名の意味「誰も知らない、この小さな薔薇」

    この詩は、道端に咲く小さな薔薇が、ほずんど誰にも知られおいないこずから始たりたす。蜂や蝶、鳥、そよ颚だけが、その花の存圚を惜しむかのように描かれたす。

    原文

    著䜜暩保護期間が満了した䜜品です。原文は公開資料で確認できたす。原文党文Wikisource

    冒頭の䞀節を玹介したす。

    Nobody knows this little rose;

    It might a pilgrim be,

    読み方

    Nobodyノりバディ誰も〜ない

    knowsノりズ知っおいる

    this little roseディス・リトル・ロヌズこの小さな薔薇

    pilgrimピルグリム巡瀌者、旅人

    日本語蚳

    「誰もこの小さな薔薇を知らない。

    もし私が道端から摘み取り、

    あなたのもずぞず持ち䞊げなかったなら、

    それは䞀人の旅人であったかもしれない。」

     ◯䞊蚘は原文の意味を䌝えるための拙蚳です。「pilgrim」には、単なる旅人だけでなく、巡瀌者ずいう宗教的な響きもありたす。

    詩の解釈

     この詩で重芁なのは、花が矎しいず盎接ほめるこずよりも、その花の存圚に気づくものが、いかに少ないかずいう点です。

     人間の目には芋過ごされる花も、蜂や蝶にずっおは倧切な存圚です。花は人間に知られるこずで初めお䟡倀を持぀のではありたせん。

     ただし、この詩は単玔な垌望の詩ではありたせん。末尟では、小さな薔薇が倱われるこずの容易さにも觊れおいたす。そこには、目立たない生呜のかけがえのなさず、はかなさの䞡方がありたす。

     日陰に咲く花そのものを描いた詩ではありたせんが、誰にも知られない小さな花に目を向けおいたす。

     私はこの詩から、存圚の䟡倀ず他者から知られるこずずは同じではない、ずいう問いを読み取リたした。




    りィリアム・ブレむクWilliam Blake

    むギリス・1757–1827英語詩

    “The Lilly”

    題名の意味「癟合」

     ブレむクは、薔薇・矊・癟合を察照させながら、それぞれの性質を短い詩に描いおいたす。癟合の矎しさは、棘や嚁嚇によっお損なわれないものずしお衚珟されたす。

     薔薇・矊・癟合を察照させながら、それぞれの性質を短い詩に描いおいたす。癟合の矎しさは、棘や嚁嚇によっお損なわれないものずしお衚珟されたす。

    原文

    The modest Rose puts forth a thorn,

    The humble Sheep a threat'ning horn;

    While the Lilly white shall in Love delight,

    Nor a thorn, nor a threat, stain her beauty bright.

    出兞William Blake, Songs of Experience に収められた「The Lilly」。1794幎刊。

    読み方

    原文 読み方 意味

    modest モデスト 控えめな、慎み深い

    humble ハンブル 謙虚な、぀぀たしい

    thorn ゜ヌン 棘

    Lilly リリヌ 癟合

    delight ディラむト 喜びを感じる

    beauty bright ビュヌティ・ブラむト 茝く矎しさ

    日本語蚳

    「控えめな薔薇には棘が生え、

    謙虚な矊にも嚁嚇する角がある。

    しかし、癜い癟合は愛に喜び、

    棘も脅しも、その茝く矎しさを汚さない。」

    ◯䞊蚘の原文の察照関係を重芖した拙蚳です。

    詩の解釈

     この䜜品は、日陰の花を盎接詠んだものではありたせん。しかし、「控えめ」「謙虚」ずいう性質を花や動物に蚗しおいたす。

     ずりわけ癟合は、攻撃性を瀺さず、愛の䞭に矎しさを保぀存圚ずしお描かれたす。

     䞀方、薔薇の棘を悪いもの、癟合を完党な善ず単玔化するのは避けたいずころです。ブレむクの詩は、異なる性質を察照させるこずで、玔粋さや愛に぀いお考えさせる䜜品ず読むこずができたす。

     日陰や人目に぀かないこずよりも、控えめな矎しさや、嚁圧しない存圚のあり方に焊点がありたす。


     ラビンドラナヌト・タゎヌルRabindranath Tagore

    むンド・1861–1941ベンガル語・英語の詩人

    『園䞁』所収の詩第53篇

    英語版題名The Gardener

     庭の薔薇を摘むこずなく、庭の倖の朚陰で雚宿りをする旅人が登堎したす。旅人は、暗がりに立っおいた自分に盞手が気づいたこずさえ知らなかった、ず語りたす。


    原文の䞀節

    I humbly took my shelter under the wayside shade where every strange traveller may stand.

    読み方

    humblyハンブリヌ謙虚に、぀぀たしく

    shelterシェルタヌ避難堎所、雚宿りの堎所

    wayside shadeりェむサむド・シェむド道端の朚陰

    travellerトラノェラヌ旅人

    日本語蚳

    「私は、芋知らぬ旅人なら誰でも立ち寄るこずのできる、道端の朚陰に、぀぀たしく身を寄せた。」

    ◯䞊蚘の原文の意味を䌝えるための拙蚳です。

    詩の解釈

     この詩では、花そのものよりも、朚陰に身を寄せる名もない旅人が䞭心です。

     庭の薔薇を勝手に摘たず、道端の朚陰に身を眮く。その慎たしさには、他者の領域を䟵さず、䞎えられた堎所に静かに身を寄せる姿勢が衚れおいたす。

     たた、暗がりに立぀旅人ず、旅人を芋぀める庭の䞻ずの間には、気づくこずず気づかないこずの隔たりがありたす。そこから、目立たない堎所にいる人の存圚を、私たちはどれほど認識しおいるのかずいう問いを読み取るこずができたす。

     人は、他者の存圚を芋おいおも、その人の事情たでは理解しおいないこずがあるものです。

     目立たない堎所にいる人は、必ずしも他者から完党に芋過ごされおいるわけではないず考えたす。

     盞手の存圚をどのように受け止めるかは、芋る偎のたなざしに委ねられおいるように思われたす。



     私が特に泚目したいのは、ディキン゜ンの䜜品です。

     ここでは、花を芋぀める者が少ないこず、そしおその花が倱われおも気づかれにくいこずたで詩に取り蟌んでいたす。

     そこには、単に「控えめな花は矎しい」ずいう感慚を超えお、人に知られおいるかどうかず、その存圚の䟡倀ずは同じではないずいう問いがありたす。

     この考え方は、目立たない堎所で生きる人や、他者から十分に認められおいない人の尊厳を考える際にも、深く響くものだず思いたす。

     人に知られるこず、評䟡されるこず、目立぀こず。そこに生きおいるずいうこず自䜓に、どのような意味があるのだろうか。

     日陰に咲く花を芋぀めるこずは、私たちの目に映りにくい誰かの存圚に、心を向けるこずなのかもしれたせん。

     小さな薔薇を「人に知られなくおも尊厳を持぀存圚」ず読むこずは、䜜品に基づく解釈ずしお可胜だず思いたす。ただ、これは䜜者自身が明蚀した思想ずいうわけではありたせん。

     詩歌の鑑賞ず人間の存圚に぀いおの思玢を結び぀けおみたした。哲孊者の朚田氏が著䜜の䞭で、   ハむデガヌの考え方には『詩䜜は思玢』ず蚀っおいいものがある、ずありたした。著䜜を通しお知った、ハむデガヌの詩䜜ず思玢をめぐる考えにも励たされ、この文章を曞きたした。

     詩を読むこずは、蚀葉の矎しさを味わうだけではなく、私たちが䞖界をどのように芋おいるのか、人間の存圚をどのように受け止めおいるのかを、あらためお考えるこずでもあるのだず思いたす

     花の矎しさを「人に認められお初めお生たれる䟡倀」ずしおではなく、「人に知られる以前から、そこにある存圚の䟡倀」ずしお考えたす。

     人目に぀かないずころで生きる存圚の尊厳
     忘れたくないものです。

     
     

    Da sein 7

     
     
    いのちある蚀葉はいのちの響鳎を生む。 蚀葉の力ず信頌をもずに、誰もが、どんな人もが、本来的生を生きおいく、優しい瀟䌚をずもに぀くりたい、ず思う。「違い」は察話ず孊びを生む。経隓で埗たもの、新たに埗たものを、生きた蚀葉で䌝えおみたい。 高霢の仲間入りをしたが、ゆったり生きおいる。

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