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太陽が戻ってきた朝

    ゴールデンウイーク明けの週末。
    告知済みのシリーズ最終回「実家本箱断捨離の記:別冊|持ち帰った太陽」を書き始めたところ、実家から、またもや下知が飛んできた。

    「梅の木が倒れた。すぐ来い。」

    太陽どころではなくなった。
    レシプロソーを持って、実家の畑に駆けつける。

    すさまじい突風に煽られ、姉たちの目の前で轟音と共に真っ二つに割れたという。たわわに実をつけたまま、無惨に半身を横たえた梅の大木。感傷に浸る間もなく、自分たちの手に負える大きさに解体する。

    明けて、翌朝。朝っぱらから地区の共同作業「川払い」である。
    手に手に鎌やらスコップやらを持って集まる。おもいおもいの作業着に長靴、帽子、手袋。川沿いにずらりと並んださまは、圧巻であるし、異様でもある。担当区間の草を刈り、溜まった土を片付けて、用水の流れを整える。

    梅の木の顛末も、川払いも、それぞれ一本書けるくらい濃かった。
    けれど、今日はそこではない。

    その翌日、わたしは旅に出た。半年前に押さえた、なかなか予約の取れない温泉宿へ向かう。二泊三日の旅だ。この三日間だけは、なにがなんでも他の予定を入れないと決めていた。

    もちろん素晴らしかった。けれど、今日はそこでもない。

    旅先からの帰りがけ、そのまま実家へ向かった。猫を預かってもらっている。実家に到着して、目を見張った。庭が、すっきりと整っている。

    わたしが旅に出ている間に、植木屋さんが入ったという。おかげで、ビビリの猫は、ずっと一番奥の部屋のソファーの後ろで固まっていたらしい……。

    夜、猫と一緒にうちへ帰る。


    今朝、三日ぶりに猫に起こされた。
    ベッドに飛び乗って、わたしの上に着地する。「ぎえっ」となって目覚める。今朝は横向きの脛の上だった。それでも布団の中で粘る。しばらくして布団をよけ、足元を見る。猫と目が合う。腕を伸ばすと、猫も腕を伸ばす。指先と肉球を重ねたまましばしまどろむ。

    起き上がり、いつものルーティーン。猫を先頭にカーテンを開けて回る。

    掃き出し窓のカーテンを開けると……

    庭が、陽を浴びてキラキラと輝いていた。

    巨木になった白雲木が鬱蒼と茂り、小さな庭は、すっかり日陰になっていたはずだ。

    そうだ、植木屋さんに、うちの白雲木もお願いしていたのだった。
    ただ小さくするのではなく、光が入るように仕立ててくれていた。

    白雲木の根元の下草さえ、光をはらんでいる。
    見上げると、陽を透かした葉が涼しげに揺れている。生い茂る葉に隠されていた白い花が、しっかり見える。


    太陽が戻ってきた。





    #なんのはなしですか
    #たぶん太陽の話
    #持ち帰った太陽とは別の話




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    身のまわりに落ちているものを、頭の中で煮込む癖がある。 ネコと今日の庭と遠い記憶も含めて、スケッチするように書いていきたい。 (百良 歩余子/ゆら・ほよこ) 🌬 風の記憶|呼吸の転写 🐈 猫ロジ ☕️ 物語エッセイ|オールデイズ編/やっとこどっこい編

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