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⚜ゎヌルド第0話① 境界の囜の勇者

    ⚜ゎヌルド第0話①   境界の囜の勇者


    倩衡舘の曞庫には、長い幎月を越えお残された曞物が、数えきれないほど䞊んでいたした。

    歎史曞。
    囜の蚘録。
    倱われた蚀葉。
    誰にも読たれなくなった物語。

    「ノア様。こちらにある曞物を、䞀冊でも倚く読むように、アトラス様がおっしゃっおおりたした」

    家老䜿甚人が、静かに頭を䞋げたす。

    「ずおも、読み切れる量ではございたせんが  ゎヌルドの䞖界を孊ぶには、実際の珟状ず歎史に向き合わなければなりたせん」

    ノアは、本棚を芋䞊げたした。

    「二十の儀匏の暁には、ノア様をゎヌルドにしお差し䞊げたいのです」

    「五幎で、この曞物を読めず」

    「暗黙のゎヌルドの掟でございたす。それだけ、遞別された者の受け取る責任は倧きいのです」

    「遞ばれなかった者は、どうなるのか疑問がある」

    ノアが尋ねるず、家老䜿甚人は少しだけ笑いたした。

    「ノア様。䞍安がらずずも倧䞈倫ではございたすが  。それは、雲泥の差でございたす」

    「雲泥の差」

    「はい」

    「どういうこずだ」

    ノアが尋ねるず、家老䜿甚人は続けたした。

    「アトラス様ず、䜕かお話されたしたか」

    「五幎埌の二十の儀匏たでに、君は芳枬され続けるず」

    「案ずるより産むが易しでございたす」

    「先ずは、こちらから孊ばれお䞋さい。郜床、曞物の遞択に迷われた時は、お声掛け䞋さい」

    ノアの目の前に、䞉冊の曞物が積み重ねられたした。


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    玅茶の銙りが挂いたす。

    「お奜きな時間にお飲み䞋さいたせ」

    「では、お倕食の時間に、参りたす。昌食は、他の者が軜食をお持ち臎したす」

    「ノア様、䞍安がらず、前進のみでございたす」

    ドアの前で、軜い䌚釈ず共に埮笑みたした。

    「答えは近くにあるものです」

    パタンず、音が響きたした。

    「    」


    倢䞭になっお読んだ。

    い぀の間にか、軜食が届けられおいたした。

    「もう、昌か」

    声くらいかけおくれおも良いだろうに  。

    パンず、サラダ。
    スヌプ。

    偎には、手曞きのメモがありたした。

    「ノア様。䞀床お声掛け臎したしたが、集䞭されおいるようです。孊習の劚げになりたせぬよう、そっず眮いおゆきたす」

    その日の午埌。

    ノアは、本棚の奥にあった䞀冊の叀びた曞物を手に取りたした。

    衚玙には、月のような王章。

    題名は、かすれお読めたせん。

    ペヌゞを開くず、月の囜に぀いお曞かれおいたした。

    そしお  。

    雫石䞀族。

    その先のペヌゞに、ひず぀の名前がありたした。

    カレナ。

    ノアは、その名前を指でなぞりたす。

    ほんのひず時の読曞時間でした。

    静かな曞庫。

    遠くで時蚈の音がしたす。

    カツン。
    カツン。

    ペヌゞの䞊に、淡い光が萜ちたした。

    ペヌゞをめくるうちに、ノアは䞍思議な感芚に包たれおいきたした。

    たるで、叀い曞物の䞭ぞ自分自身が入り蟌んでいくような感芚。

    けれど、それは倢ではありたせんでした。

    䜕癟幎も前に蚘された、ゎヌルドの歎史。

    そこには、ただ五぀の囜に分かれる前の倧地ず、䞀人の少女の姿が残されおいたした。

    叀い曞物の文字が、淡く揺らいだように芋えたした。

    月の光が、ノアを包みたす。

    そしお  。

    ノアは  。


    金で圩られた境界の倧地、ゎヌルド。

    その頃、境界の倧地には、䞀人の少女がいたした。

    矎しい皲穂。
    矎しい麊穂。
    矎しいゎヌルドの䞖界。


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    金色こそが、最高の気品であるず䌝えられおいたした。

    宮殿には、金の王章の旗が掲げられ、颚に靡いおいたした。

    ただ、五぀の囜に分かれるよりも前の、遠い昔。

    その囜では、争いが絶えたせんでした。

    土地を巡り、暩利を巡り、そしお人々の暮らしを巡っお、人々の間には深い溝が生たれおいたした。

    その頃、この囜には䞀人の少女がいたした。

    圌女の名は、カレナ。

    幌い頃から剣を持ち、囜を守るために戊っおきた少女です。

    けれど、カレナが剣を手にしおいた理由は、戊いを奜んでいたからではありたせん。

    人々の暮らしを守るためでした。

    「カレナ様」

    息を切らした家臣が駆け蟌んできたす。その手には、西からの曞状が握られおいたした。

    「西が隒がしくなっおおりたす」

    「どうした」

    「䜜物の䞍䜜に䌎い、食料の䟡栌が跳ね䞊がり、民の間で小競り合いが  」

    カレナは静かに立ち䞊がり、窓の倖ぞ歩み寄りたした。

    遠くには、倪陜に照らされた町。

    その向こうには、食料を埅぀人々の姿がありたす。

    「境界の囜の均衡は、我が䞀族の手にある」

    「向かうぞ」

    「かしこたりたした」

    「剣を持お」


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    カレナは、宮殿の倖ぞ歩き出したした。

    けれど、その剣は、誰かを倒すためだけのものではありたせんでした。

    人々の暮らしを守るため。

    倱われようずしおいるものを取り戻すため。

    そしお  。

    い぀か、争いそのものを終わらせるため。

    その背䞭を、ノアは曞物の䞭から芋぀めおいたした。

    それは、月の囜に叀くから䌝わる、䞀人の少女の物語。

    䌝説の「光を繋ぐ者」。

    カレナ。

    この少女が、埌に「光を繋ぐ者」ず呌ばれるこずも。

    雫石䞀族ず出䌚うこずも。

    争いを終わらせるために、ひず぀の倧きな決断をするこずも。

    やがおゎヌルドの未来を倉えるこずになるこずも。

    ノアは、ただ知らない。


    この䞖界が、自分の未来を倉えるこずを。


    月の光が、もう䞀床匷く茝きたした。

    叀い曞物のペヌゞが、静かにめくれたす。

    そこには、ただノアの知らない物語が続いおいたした。



    物語は、ここから始たりたす。





    第0話 ①  終



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