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スマイル。

    仕事帰りだった。

    シャッフル再生していたカーステレオから、森七菜の「スマイル」が流れてきた。

    迂闊だった。

    ただのポップな応援ソングだと思っていたのに。

    彼女の歌う歌詞は、無防備になった中年の心を殴ってきた。

    まず、

    「子供じゃないなら笑え」

    と歌う。

    そうだよ。

    大人になると責任があるから笑うんだよ。

    子供が心配しないように。

    職場の空気を悪くしないように。

    辛くても笑うんだよ。

    だけどさ。

    それでも笑えない時だってあるんだよなぁ。

    なんて思っていたら、

    今度は

    「上手に笑うには努力が必要」

    と歌う。

    そうなんだよ。

    もうさ、条件反射なんだよ。

    腹が立っても。

    不満に思っても。

    言葉より先に笑顔が出るようになっちゃったよ。

    本当に楽しくて笑ったのっていつなんだろう。

    そんなことを考えていた。

    そして最後。

    彼女は否定を置いていく。

    人間は綺麗だ。

    とは歌わない。

    人間なんて綺麗じゃない。

    だけど、それでも笑え。

    と歌う。

    全部回収していく。

    そうなんだよ。

    わかってるんだよ。

    人間なんてそんなに立派じゃない。

    卑怯な時もある。

    格好悪い時もある。

    それでも笑顔の効力を知っているから笑うんだよ。

    あぁ、笑顔じゃなくて涙が溢れちまうよ。

    明日も楽しくないのに笑ってやるよ。

     
     
    投資とエセ進化心理学で「人間ってこういうもんかも」を静かに解体する40代サラリーマン。 非線形・群衆心理・地方暮らし・家族。 日常の中にある“構造”を拾って語るnote。

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