
マッチョ華道、毎週ショートショートnote、452文字
「この枝を切れば、よろしいでしょうか?」
弟子が華道の師匠に聞いた。
「お前はいつも質問ばかり。体でも鍛えて来い」
弟子は、なぜ体?と思いつつ、筋肉修行に出て、立派なマッチョになり帰ってきた。
早速、師匠を訪ねるが展示会に出かけているという。
弟子が展示会場に着くと、師匠が展示台の下敷きになっていた。弟子が持ち上げて救出する。
「先生、このために?」
「違う。そんな未来は分からん。だがな、お前は私を助けるとき、『持ち上げてもいいでしょうか』と聞かなかった」
「質問ばかりするのは、自分に自信がなかったから…体を作って自信ができた今は…」
「そういうことじゃ」
翌日、師匠は期待の眼差しを弟子に向けた。
「では、いけてみよ。迷うな。お前ならできる」
「はい!」
弟子は花器の前へ進んだ。
以前なら、花の位置や高さを聞いていた。でも、もう迷わない。
畳の上で膝を折ったが、途中で止まった。
盛り上がった太ももとふくらはぎがぶつかり、尻が踵まで下りない。
「先生、筋肉が邪魔して正座ができません」
「なんじゃと?」
「どうすればいいでしょうか」
「わしに聞くな」
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久しぶりにショートショート(ちょっと不思議な話)ではなく、小噺を書いてしまいました。