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おとぎ話診療所、毎週ショートショートnote、647文字


    今日は、おとぎ話診療所に取材に来た。医師に聞けば、
    ここは、おとぎ話の登場人物の末裔が、先祖の呪いや因縁のために病んでいるのを治すところだという。

    「何部屋もあって、同時に治療されているんですね。こちらは鏡の部屋ですね」
    「他者との比較によって自己価値を測り続け、病んでいるんです。あなたはあなたでいいんです─そのままでいいんですよと暗示をかける部屋です」

    そこに看護師が医者を呼びに来た。
    「先生、お願いします」

    私は医師と共に採血室に駆け込んだ。女性が気を失っている?医師は、落ち着いてその患者にキスをした。患者が目を覚ます。
    「すみません。毎年」

    その患者は、針を刺されると長い眠りにつくらしい。毎年の定期検診はここで受けているそうだ。

    キスをすれば目が覚めると言っても色々と問題では?
    そんなことを考えていると音楽が聞こえてきた。医師と部屋に行くとそこは音楽療法室だった。

    ルンペルシュティルツヒ〜という歌声。演奏は、ロバ、犬、猫、鶏。それを聞いているのは小さな男。男は自分の名を皆に知られるのに慣れる訓練をしている。動物たちは、この診療所の従業員。

    採用しなければ、強盗団になると脅されたらしい。

    「あなたは、なぜ、こんな診療所を?」

    「おとぎ話は、他者の人生を滑稽な形式に変換する作業。美と醜、善と悪、知恵と愚かさ。
    道徳的演出を加え、過剰に劇化し、残酷さを挿入し、誰かの人生を「寓話」に変えたもの。
    だから、私は、面白おかしくされた者たちの末裔の診療をしなければならないのです」

    そう、ヨハネス・グリム院長は語った。

    (647文字)

    ーーーー
    答え合わせ
    順に
    白雪姫の義母の末裔
    いばら姫(眠れる森の美女)の末裔
    ブレーメンの音楽隊の末裔
    ルンペルシュティルツヒの末裔
    グリムの末裔
    ーーーーーー
    家を見ると食べずにはいられない子どもも出そうとしましたが、字数オーバー。

     
     
    ・ソニー・ミュージックエンタテインメントのドラマ原案コンテストにてグランプリ受賞。ドラマ化。 ・第20回Yomeba!で優秀作 ・エブリスタ超・妄想コンテスト年間選出数11位(2021年) ・島根県文芸公募 金賞 その他はプロフィールページで

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