メインコンテンツへスキップ
見出し画像

連続執事試験、毎週ショートショートnote、裏お題、473文字


    試験が始まって、もう30日。毎日毎日、執事採用試験の連続だ。
    候補者は、黒崎ただひとり。それに対して試験官は花澤家の執事が毎日日替わりで担当している。執事長の私の命令だ。

    黒崎は有能だ。完璧だ。
    どんなに難解な課題を出しても、黒崎は平然とこなした。
    それどころか、試験官の「ミス」まで察知して修正してしまう。

    ――だが、問題はそこではない。

    執事の誰もが知っている事実。黒崎はお嬢様のストーカーなのだ。

    盗聴や盗撮など非合法な方法で、お嬢様の好みや生活習慣を知りつくしていた。
    しかも、取り入ろうとして、旦那様や奥様のことまで研究し尽くしている。

    だから、彼の知識を執事たちに叩き込んでもらうために、試験という名目で、毎日ペアを組ませて指導してもらっているのだ。すべて、花澤家のためだ。

    だが、絶対に採用はできない。問題は、どういう理由で落とすかだった。

    旦那様に呼ばれた。
    「なぜ、黒崎を採用しない」
    「黒崎はお嬢様のストーカーです。採用するわけにはいきません」
    「嘘だ。お前は彼の能力に嫉妬しているんだ。お前を執事に格下げして、黒崎を執事長にする」
    私は膝から崩れ落ちた。
    (476文字)

     
     
    ・ソニー・ミュージックエンタテインメントのドラマ原案コンテストにてグランプリ受賞。ドラマ化。 ・第20回Yomeba!で優秀作 ・エブリスタ超・妄想コンテスト年間選出数11位(2021年) ・島根県文芸公募 金賞 その他はプロフィールページで

    あなたへのおすすめ