メインコンテンツへスキップ
見出し画像

月夜の寝ぐせ、毎週ショートショートnote、410字


    疲れきったアンは、古い扉の前で、寝袋に潜り目を閉じた。

    楽園にたどり着けるという伝説の扉。
    街から何日も歩き続けて、ついにこの扉にたどり着いた。

    扉の隣には、無理やりこじ開けようとした形跡と、殴られたような凹凸があった。

    寒さに目を覚ました月夜、髪が妙な方向に引っ張られている感覚。アンは手で髪を撫でたが、髪は硬く、その奇妙な形がどうにも直らない。

    扉の横にある凸凹をぼんやりと眺めた後、彼女はまさかと思いながら、頭を凸凹に合わせてみた。

    扉がゆっくり開いた。目の前の文字板を読む。

    「君が今までいたのは核シェルター都市だ。太陽も月も星もすべて偽物。外の世界が放射能汚染から回復するまでの避難所だ。長い年月が経ち、環境が安定した時、この扉は開かれる。さあ、元の世界に戻るのだ」

    目の前には廃墟が広がっていて、荒れ果てた大地には、かつて文明が存在していた痕跡だけが残っていた。

    アンは踵を返した。偽りの月の下に戻る方がまだ救われる気がした。

    (410字)

    ーーーー
    月夜に目を覚ましたシーンで、月が美しいと思うシーンを作りたかったけど、410字にするために、泣く泣くカット。

    寝ぐせのイメージとしては、こんな感じですね。
               ↓

    画像
    集英社「週刊少年ジャンプ」公式サイトより引用
     
     
    ・ソニー・ミュージックエンタテインメントのドラマ原案コンテストにてグランプリ受賞。ドラマ化。 ・第20回Yomeba!で優秀作 ・エブリスタ超・妄想コンテスト年間選出数11位(2021年) ・島根県文芸公募 金賞 その他はプロフィールページで

    あなたへのおすすめ