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噂話製粉所、毎週ショートショートnote、裏お題、410字


    青木一郎は、未来のことを語り出した。

    天気、事故、喧嘩、別れ、誰かの妊娠―彼が言ったそばから、世界がそのように変わってゆく。

    人々は、彼のことを予知能力者と呼んだ。

    彼は人間には見えないはずの製粉所の近くで深呼吸をしてしまい、製造中の未来の粉を吸ってしまったのだ。

    世界中に点在する神々の施設「噂話製粉所」で噂話は作られていた。粉にされた噂話は風に乗り、その粉を人々が吸い込む。すると、吸い込んだ人間は、「誰かが言ってたけど…」「詳しくは知らないんだけど…」と語りだす。

    彼は、予知が枯渇するとまた製粉所にやってきて未来の噂の粉をまた吸った。

    自分が刺される未来を見た。彼は、それも噂として流した。しかし、いつまで経っても、そんなことは起きなかった。

    誰もが、彼をバカにした。予知能力者から嘘つきへと呼び名が変わった。

    「自分が刺される」という噂が街中に拡散されたおかげで、誰も彼を刺せなくなったという事実に気づく者はいなかった。

    (410文字)

     
     
    ・ソニー・ミュージックエンタテインメントのドラマ原案コンテストにてグランプリ受賞。ドラマ化。 ・第20回Yomeba!で優秀作 ・エブリスタ超・妄想コンテスト年間選出数11位(2021年) ・島根県文芸公募 金賞 その他はプロフィールページで

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