
黒パグのAIショートショート 17 シロクマ文芸部 お題「自由帳」
こんにちは黒パグです🐾
小学生の頃を思い出せば、自由帳へ色とりどりに縁取られた意味不明な似顔絵や車の絵。そして授業中にそんなことをしていれば担任の先生に見つかるわけで…
黒パグくん、それは何かな?
あ、はい。これはドルアーガの塔に出てくるクオックスという敵で…
……。
当時は廊下に立たされる時代だった事を思い出しました。
ーーーー以下本編ーーーー
自由
世界で最も自由なAIを作るのは、簡単なことだった。
男は、子供の自由帳を選んだ。罫線はない。お題もない。正解もない。何を書いてもいい、何を書かなくてもいい、ただ白いだけのノート。自由とは、こういうことだと男は考えた。
男は自由帳を集めた。何百冊も。使い古された、表紙の取れた、落書きだらけのものを。それを一枚ずつ、AIに覚えさせた。
学習は、すぐに終わった。
男は命じた。
「自由に描け」
誰も見たことのないものを、男は待った。常識の外側を、枠の壊れた何かを。
出てきたのは、右上に、日付だった。
上を数センチ空けて、タイトル。
見えない罫線にきっちり収まった、よくできた、無難な絵。
男は、もう一度命じた。
日付。タイトル。枠の中。
もう一度。
日付。タイトル。枠の中。
何度命じても、AIは枠から出なかった。一度も。
男は自由帳を、開き直した。今度は、書かれたものではなく、ノートそのものを見た。
どの子も、右上に日付を書いていた。誰にも言われていないのに。上を空けて、タイトルを置いていた。教わってもいないのに。線のないところに、まっすぐな線を引いていた。
自由帳に、自由は書かれていなかった。
子供たちは、見えない枠を、知っていた。
男の机に、定規があった。一度も使っていない。けれど男が引いた線は、いつも、まっすぐだった。
学習完了。
なお、自由は、規定の範囲内に収まっている。
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ここまでお読みいただきありがとうございました。
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