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読めない円盤が、押入れにある

    2007年のブログに書いた“未来永劫”を、19年後に答え合わせする

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    2007年のブログに書いた“未来永劫”を、19年後に答え合わせする

    押入れの奥に、もう二度と再生されないDVDが眠っている。

    VHS、CD-R、昔の外付けハードディスク。家のどこかに、同じようなものがいくつもあるはずだ。「大事だから残しておこう」と思って入れたはずなのに、いつのまにか、それを読む機械のほうが先に消えた。

    データは消えていない。もう読めないだけだ。

    俺は、2007年の段階で、それに薄々気づいていたらしい。当時のブログを読み返したら、こんなことを書いていた。

    DVDに保存しておけば、未来永劫いつでも見れる!ということに若干の疑問を抱いていたのだが・・・国産のDVDで、一般的な保存条件で10年を目安に劣化が始まるのだという。海外製の安価なものだと、数ヶ月で劣化が始まる場合があるのだ。

    「未来永劫いつでも見れる」だと?

    そっちより先に、プレーヤーが消えることになるとは、思ってもいなかった。

    しかも厄介なのは、その後の俺が、DVDに映像を焼く側になったことだ。

    仕事の合間に、幼稚園や少年野球、高校野球の卒業記念映像を作っている。試合で泣いた顔、卒園式の歌、保護者の笑い声。撮ってきて、編集して、DVDに焼く。家族にとってはただのデータじゃない、その時間そのものだ。ちゃんと残したつもりのものが、いつか「見られない思い出」になる。それを焼いて渡しているのは、俺だ。

    当時のブログには、こうも書いてあった。

    ワープロで作ったデータを、今自分のパソコンで読み出すことはできない。DVDプレーヤーで、ビデオテープやカセットテープを再生することもできない。今後、大事なデータ等は時代に合った方法で保存していくしかないのだろうな。とりあえず、次世代機はブルーレイディスクだろうか?

    「とりあえず、次世代機はブルーレイディスクだろうか?」

    19年経った今、答え合わせをすると、ブルーレイの円盤そのものはまだ存在している。消えたのは円盤のほうじゃない。それを再生するプレーヤーのほうだ。家にブルーレイプレーヤーがない家庭が、いつのまにか普通になっていた。

    今、俺は卒業記念映像をDVDとブルーレイの2枚組で納品している。車の中ではまだDVDで見る家庭が多いからだ。ブルーレイ一枚では、届かない再生環境がある。「未来永劫」と書いていた2007年の俺は、まさか19年後に2枚組で対応することになるとは、思っていなかっただろう。

    ラジカセの録音ボタンを押して、カセットに直で録っていた頃から、フロッピー、VHS、CD、MD、DVD、ブルーレイ、外付けハードディスク、クラウド。全部リアルタイムで通過してきた。そのたびに「これで安心」と思って、そのたびにまた次の器がやってきた。

    今の主流はクラウドだ。形がない、触れない、落としても割れない。サービスが終わることがあり、パスワードを忘れることもある。保存していた本人がいなくなった瞬間に、誰にも開けない金庫になることもある。

    最近、納品の方法を見直そうかと考えている。若い世代はクラウドやYouTubeの限定公開で十分だと言う。年配のお父さん、お母さんたちは「やっぱりDVDがいい」と言う。メモリースティックを使ってもらうにも操作の説明から始まるし、YouTubeも視聴のやり方を一から伝える必要が出てくる。

    俺はまた決められずにいる。

    2007年の俺は「時代に合った方法で保存していくしかないのだろうな」と書いていた。19年経って分かったのは、その「時代に合った方法」が、思ったよりずっと早く入れ替わるということだ。

    押入れの奥のDVDも、昔の外付けハードディスクも、ログインしていないクラウドも、一度開けてみたほうがいい。中に入っているのは古いデータじゃなく、あの頃の声と、顔と、生活の気配だ。

    先月、Dropboxの容量がいっぱいになった。AIと相談しながら、外付けハードディスクを同じもの2台、ミラーリングで買った。片方が壊れても、もう片方が生きている。今度こそ安心だと思った。

    変わったのは、器の名前だけだった。


    あなたの家にも、再生できないまま残っているものはありますか。VHS、MD、CD-R、昔の外付けHDD、古いスマホ。よかったら返信で教えてください。

    「新聞には載らない話」では、気仙沼から、こういう小さな話を届けています。 無料で読めます。続きはプロフィールのリンクから。

     
     
    宮城・気仙沼でカラオケレンタル業を営んでいます。プログラムは書けませんが、AIと一緒に業務アプリを作り、毎月の集金で運用中。その実録と、地方の商売の話を書きます。エッセイはSubstack『新聞には載らない話』で。 https://ikazukin.substack.com

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