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夢の中では、なかなかトイレに辿り着けない

    私、夢の中でトイレに行くことが多いんです。

    当然誰でも行くでしょ、と信じてるんで、恥ずかしげもなく夢での中でのトイレ事情について語ろうとしてるんですが。
    行きますよね?
    うんうん。そうですよね。
    え?夢の中でトイレなんて行かない?
    なんてこった。

    まぁどちらにせよ、私は書くんですけどね。
    だから、これ開いちゃったあなたは、読むしかないです。


    小学生の頃は。
    夢の中でトイレ行きたくなってもね、何の問題もなく、すぐトイレに行けました。
    そして夢の世界は強制終了です。
    そう。
    本当に「出て」しまうからです。
    問題発生です。

    体の感覚が先か、脳が先か。
    どちらがどちらを覚醒させるのか分かりませんが、びょーんと飛び起きて、現実世界のトイレに走ります。

    幸い、
    「一度寝たらほっぺをつねっても叩いても起きないような子」ではなく、ご機嫌でアヒルちゃんのおまるに座り、ゆーしゅーな成績でトイトレ課程を終了後は、布団に地図を描いた経験もない
    (当時の母談)
    ということで。

    私の脳と体はたぶん、「夢の中のトイレ欲求が本物かどうか」を察知し、即対応する能力を、自負し始めたんだと思います。

    そうだな、それの能力値を、私のトイレポイント(TP)と名付けよう。

    いこまは レベル13に あがった!
    さいだいTPが 7ポイント あがった!

    中学、高校あたりになると。
    夢の中で、トイレに行きたくても、なかなかトイレに辿り着けなくなりました。

    あるときは、トイレの場所を尋ねても、バスに乗って15分くらいかかるところだと言われる。

    またあるときは、トイレを見つけて中に入ろうとすると、夜の露天風呂への細い山道のようなところに出て、いくら進んでもトイレが見えてこない。

    そのうち、私の夢の中のトイレは、辿り着く距離よりも、その様相自体がおかしくなっていく。

    せっかく見つけたトイレが、本格的な茶室のような、低くて小さい入り口で入りづらい、いや、もはや人間には入れないサイズ。

    序盤の茶室様式は、まだマシな方でした。

    岩山で、スイカぐらいの岩に埋もれたトイレのドアを、雨の降りしきる中掘り出さなくてはならないトイレ。
    冒険映画の、敵の魔法で洞窟に閉じ込められ、必死に出口を塞ぐ岩を取り除こうとしている序盤シーンのような、「壮大なアドベンチャー」感。

    そうかと思えば。
    単純に、床は何かわからない気持ち悪い液体の水たまりになってるわ、ドアはギーギー言ってちゃんと閉まらないわ、壁との隙間は大きいわ、のような「心理的に嫌なだけトイレ」も。

    大人になるにつれ、「壮大なアドベンチャートイレ」よりも「心理的に嫌なだけトイレ」が増えていくのは、クリエイティブを追求したい一人としては、抗いたいところではありますが、無意識化では、どうすることもできません。

    病院の検査用のような、無機質で広いトイレ。
    ドアの代わりにカーテンしか仕切りがなく、しかもそのカーテンは、トイレの個数分用意されていません。

    次々と入ってくる人たちと、そのカーテンの奪い合いです。
    まぁ登場人物はありがたいことに大人な対応ができるタイプなようで、戦意むき出しで力ずくで奪うわけではなく、静かな心理戦のような奪い合いです。

    仕切りがアコーディオンカーテンバージョンのこともありました。
    今回はちゃんと隙間なく締まります。
    でも。
    個室というには広すぎて、よく見ると便器は2つありました。
    当然、私がカーテンを閉めた後も、もう一つ空いているという認識で、普通に人が入ってきました。

    その世界では、見ず知らずの人前で用を足すのが普通なのでしょうか?
    私には、まだその勇気がありませんでした。

    そんなトイレを夢見ているうちに (略し方に語弊はありますが…)、私の脳と体は、さらに進化を遂げたのです。

    そう。
    ついに夢の中で用を足し始めたのです。
    そして驚くなかれ。
    子どもの頃のように現実世界に連れ戻されることはありません。
    多少変なトイレに苦戦しますが、入ることに成功し、他人の目をかいくぐり、私は確かに、用を足すのです。
    夢の中だけで。

    これ、私、かなり快挙ではないかなと思っているんですよね。
    夢の中で、現実世界に問題を持ち込むことなくトイレに行ける。

    もちろん本当にスッキリはしていないので、夢の後半、また違うトイレに行ったりもします。
    一度で飽き足らず、「変なトイレおかわり」です。

    何気に楽しんでいる私がいます。
    私の脳と体の夢の中トイレスキル、TPカンストしたのではないでしょうか?

    そんな私にも、懸念はあります。
    「アルジャーノンに花束を」を読んだことがある方なら、私の気持ちも分かるかも知れません。

    これ、脳の老化と共に、子どもの頃のように、体が制御出来ずに「出て」しまうようになるんじゃないのかな。
    たぶん、いったん「現実世界に引き戻されて、トイレに走る」段階を挟むだろうけど。
    その後、「もう飛び起きることもなくそのまま地図の作成をしてしまう」最終段階に移行するのでは?

    そんな懸念が、たまに私の頭をよぎります。


    そんな矢先。
    雪の影響で朝方の気温が氷点下だった、この3日ほど。

    私は毎日、夜中や明け方にトイレに起きました。

    夫は私より少し上年下ですが、日中でもトイレが近い人で、普段からわりと就寝中でもトイレに行くんですね。
    でも私はほぼ行ったことがなかったんです。

    なんてったって、夢の中でトイレに行ってますから。

    そんな私が、です。
    3日連続。
    一度もトイレに行く夢を見ることなく、単純に目を覚まし、トイレに行きたいなと感じ、現実のトイレに行ったんです。

    私、かなり動揺しています。

    え?これ、何のフェーズ?
    レベルアップなの?それともダウン?

    私の夢のトイレライフを返して!
    まだ変なトイレコレクション、コンプリートしてないんですよ?

    ねぇ!
    起きたらちゃんと現実のトイレ行くから!

    あぁ、トイレの神様がいるのなら。
    願わくば、明日は今までどおりの私に戻してください…






     
     
    関東で暮らす関西人。 短くて小気味いい文章に憧れる長文書き。 私というピースはどこにもピタッとハマりにくいなと感じ続けた人生で、ようやくしっくりくる夫と娘に出会えた気がする。 最近登場の減ったアイコンとサムネのクマは自作:イクマちゃん (命名:パルサー君)

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