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仕事でAIを使えと言われた人へ。「プロとして」、より効く依頼文の作り方|要約・文章整形・叩き台づくり

    導入

    最近、職場で「AIを使いましょう」と言われる場面が増えた。
    ・・・違う、いくらなんでも増えすぎだァ!汗

    だが、そう言われても実際のところ困る人は多いと思う。

    事務屋の僕へのご相談ごとのラインナップにも「#AI」みたいなやつが増えた。多分、この3ステップが社内フロアで起こっている感じがする。

    1. とにかくAIを使えと言われる。

    2. わからないなりに使っている感も出さなければならない。

    3. でも、実際に画面を開くと、何をどう聞けばいいのか分からない。

    結果として、どこかで見つけた「神プロンプト」を貼ってみる。

    • 「あなたはプロの編集者です」

    • 「一流の経営コンサルの目線で回答してください」

    • 「エキスパートとして答えてください」

    もちろん、何も書かないよりはマシなこともある。だが、こうした言葉を入れたからといって、毎回こちらが欲しい答えが返ってくるわけではない。

    ・・・うん?なぜかって?

    理由は簡単だ。

    AIに「プロとして」と頼んでも、そのプロが何を見ればいいのかまでは伝わっていないからだ。プロたる所以、どうプロなのか、という部分が曖昧なのだ。

    この記事が目指すこと

    この記事では、AIに何かを頼むときの考え方を、できるだけ実務寄りに整理してみる。

    この記事の主題は、プロンプトを配布することではない。
    最後に少し置いておくが・・。

    前提として、プロンプトは万能の呪文ではない。

    ここで扱うのは、AIへの依頼文を少しだけ外れにくくするための考え方だ。
    個人的に、最終的にはプロンプトは自分自身で気兼ねなく書けたら良いじゃない!って思ってる。

    特に、仕事で使いやすい次の3つに絞る。

    1. 文章を要約する

    2. 文章を整える

    3. 雑多なメモから、文章の叩き台を作る

    いわば、AIとのキャッチボール、「ワンショット・ワンキル」の精度を上げるための小さな道具だ。

    一回で完璧な答えを出させる、という意味ではない。
    だが、最初の一投目が雑だと、その後の会話もずっと修正作業になる。
    ・・・それこそ産業革命どころか、残業革命一歩手前になる。それは回避したい。

    だからまず、一問目の投げ方を整える。

    この記事を読んでほしい人

    • AIを使えと言われているが、毎回何を聞けばいいか分からない人

    • 社内でAI関連の何かしらの事例発信を求められている人

    • 「要約して」「整えて」と頼んでも、返ってくる答えが薄いし浅いと感じている人

    • すげぇプロンプトなるものを貼ってみたが、いまいち自分の仕事に合わない人

    • 文章やメモを、もう少し仕事で使える形にしたい人

    • AIに丸投げするのではなく、最初の依頼文を自分で組めるようになりたい人

    逆に、AIで高度な自動化をしたい人や、専門的なプロンプト設計を学びたい人向けの記事ではない。

    僕、そういう人じゃない。ゴメン

    さて。ここでは、まず仕事でよくある「要約」「整形」「叩き台づくり」に絞って取り上げることにする。


    AIは「空気を読む」というより、渡された文脈に反応する

    少しだけ仕組みの話をする。

    ChatGPTのようなAIの背景には、Transformerという仕組みがある。
    Transformerは、文章の中でどの情報をどれくらい重く扱うかを計算しながら、次に出す応答を組み立てるための重要な技術だ。

    つまり、何が言いたいか。
    AIは、人間のように空気を読んでいるわけではない。あくまでも、こちらが渡した言葉、文脈、材料、条件を手がかりにして応答を作っている。
    だから、手がかりが少なければ、返ってくる答えも一般的になりやすい。

    • こちらが何をしたいのか。

    • どの文章を材料にするのか。

    • 誰向けの出力なのか。

    • どんな観点で見てほしいのか。

    • どんな形で返してほしいのか。

    こうした情報が入っていれば、AIはそれを手がかりに作業ができる。

    つまり、AIへの依頼文は、単なる命令ではない。
    その場でAIに仕事をしてもらうための、「簡易的な作業台」のようなものだ。

    逆に、作業台の上に材料も、目的も、完成形も置かれていなければ、AIは「たぶんこういうことかな?・・・わっかんねぇけど汗」と広く浅く、無難に返すしかない。

    当たり障りない一般的な回答は、だいたいそうやって生まれる。

    変な話だけど、人間同士の会話や指示だしにも近い。

    • 目的や役割が明確ではないと、立ち往生する。

    • 「プロの自覚を持て」と言われても、どういう自覚が足りなかったのかが分からなければ、明日の行動にはつながらない。

    AIも同じだ。
    そのコミュニケーションこそが、プロンプト、である。

    「プロとして」は、肩書きであって作業指示ではない

    AIに役割を与えること自体は悪くない。
    でも最近、僕が社内で見るのは、役割を与えているつもりで、実際には肩書きだけを渡しているケース。

    たとえば、

    プロの編集者として、この文章を整えてください。

    これは一見よさそうに見える。
    だが、まだ足りない。

    なぜなら、「プロの編集者」と言っても、編集者が見る場所はいくつもあるからだ。

    • 誤字脱字を見るのか。

    • 一文の長さを見るのか。

    • 論理の飛びを見るのか。

    • 読者が途中で止まりそうな場所を見るのか。

    • 筆者の主張が強すぎて、読者が引きそうな場所を見るのか。

    • 社内向けに角が立つ表現を直すのか。

    • note記事として、冒頭に読む理由があるかを見るのか。

    全部違う。ぜぇーんぶ。

    つまり、「プロの編集者」は肩書きであり、名札に近い。
    名札だけでは、どの仕事をしてほしいのかまでは分からない。

    AIに渡すべきなのは肩書きそのものではなく、作業条件だ。

    ・どこを見てほしいのか
    ・何を良い出力とするのか
    ・何を避けてほしいのか
    ・どういう形で返してほしいのか

    肩書きは、あくまで入り口にすぎない。
    本当に必要なのは、役割を作業に分解することだ。

    ワンショットの精度を上げる5点セット

    AIに一発目から外しにくい依頼をするなら、最低限、次の5つを入れると安定しやすい。

    1. 目的
      何のために使うのか。

    2. 素材
      何を材料にしてほしいのか。

    3. 役割
      AIにどの立場で見てほしいのか。

    4. 観点
      特にどこを見てほしいのか。

    5. 出力形式・制約
      どんな形で返してほしいのか。何をしてほしくないのか。

    たとえば「要約してください」だけだと、AIは何のための要約なのかが分からない。

    • 上司に共有するためなのか。

    • 会議前に論点を掴むためなのか。

    • 自分のメモとして残すためなのか。

    • 反対意見を探すためなのか。

    • 文章の冗長さを削るためなのか。

    目的が違えば、「良い要約」の定義も変わる。

    AIへの依頼は、短ければいいわけではないし、長ければいいわけでもない。
    わざわざ箇条書きにしなくちゃいけないとか、深く考えなくていい。

    大事なのは、必要な手がかりが入っていて、「AIに渡せている」ことだ。

    1. 文章を要約したいとき

    まずは、多分いちばん使う場面。

    悪いわけではないが、この考え方だと少し弱い依頼はこれだ。

    この文章を要約してください。

    これでも要約は返ってくる。
    ただし、何のための要約なのかが分からないため、出力はかなり一般的になりやすい。

    僕が仕事で使うなら、こうする。

    以下の文章を、忙しい人が短時間で内容を把握できるように要約してください。
    目的は、文章全体の論点と、次に確認すべき点を把握することです。
    出力は「一言まとめ」「要点3〜5個」「判断・確認が必要な点」の順で整理してください。
    原文にない推測は足さず、不明な点は「確認が必要」と書いてください。
    【本文】
    ここに文章を貼る

    この依頼では、AIに「要約者」という役割を与えているだけではない。

    何のために要約するのか。
    何を重視するのか。
    どの形で出すのか。
    何をしてはいけないのか。

    そこまで渡している。

    仕事における要約は、ただ単に内容を短くする作業ではない。
    使う人が次に判断できる形へ圧縮する作業だと僕は思っている。

    2. 文章を整えたいとき

    次に、文章の整形。

    よくある依頼。

    この文章を読みやすくしてください。

    これでも整う。勿論。
    だが、「読みやすい」が実際ユーザーにとって何を意味するのか曖昧だ。

    「いい感じに整えてください」だと、AIはだいたい無難な文章にする。
    無難でOK!って人も勿論いる。わかる。

    だが、もし踏み込むとするなら、どのように読みやすいのかを指定する。
    例えば、スピーチ原稿だって、実際に「喋りやすい」文章の方がいい。
    文は文でも、口輪筋に配慮されてるやつが出るんならそっちの方がいい。

    初見の読者が引っかからない文章なのか。
    社内向けに角が立たない文章なのか。
    スピーチで読みやすい文章なのか。
    noteらしく書き手の温度感が残った文章なのか。

    欲しいものが違えば、依頼も変えた方がいい。

    以下の文章を、意味を変えずに読みやすく整えてください。
    目的は、初見の読者が途中で引っかからずに読める状態にすることです。
    見てほしい点は、一文の長さ、主語と述語の距離、同じ意味の繰り返し、抽象的で伝わりにくい表現です。
    出力は「修正後の全文」「主な修正点」「まだ迷う箇所」の順で出してください。
    原文にない主張や情報は追加しないでください。
    【本文】
    ここに文章を貼る


    この依頼では、AIに「何を編集とみなすか」を渡している。

    文章を整えると言っても、やり方はいくつもある。

    短くする。
    柔らかくする。
    論理を通す。
    読み手に合わせる。
    社内向けに角をとる。

    ここを指定しないまま「整えて」と頼むと、AIは安全な方向に寄せる。
    すると、文章はきれいになるが、なぜか薄くなることがある。

    THE・無難。

    AIに文章を整えさせるときは、何を残したいのかを決めておく必要がある。

    3. 雑多なメモから、記事の叩き台を作りたいとき

    最後に、少し応用寄りの使い方。

    自分の中に言いたいことはある。ただ、まだ文章になっていない。

    頭の中にあることをそのまま話すと、順番も飛ぶ。

    • 同じことを何度も言う。

    • 途中で別の話に寄る。

    • 結論が後から出てくる。

    そして無理やり文章化すると、あら不思議、めっちゃ簡素なものになる。
    内容が、いナイヨー・・・。違和感が代わりにご出勤・・・。

    自分はよくこうなる汗

    だが、AIを使うようになって、この問題はかなり解消した。

    この現象、文章の前段となる「言いたいこと」の材料としてはかなり自然だし、そもそも材料が無いよりはマシだと思う。
    問題は、それをそのまま文章にしようとすることだ。

    ということで、弱い依頼。

    以下のメモを記事にしてください。

    これだと、AIは勝手に一般的な記事へ整えようとする。
    その結果、こちらの言いたかった違和感や温度、論点が消えることがある。

    もう少し丁寧に頼むなら、例えばこうする。

    以下は、私が話したメモです。まだ文章として整っていません。
    まず、このメモから「主張」「背景」「具体例」「読者に渡せる考え方」を分けて整理してください。
    目的は、文章の叩き台を作ることです。
    読者は、AIを使えと言われているが、何をどう頼めばいいか分からない会社員です。
    特に、話の中心、読者に関係がある部分、個人的な愚痴に見えすぎる部分、最後に読者が持ち帰れる小道具を見てください。
    出力は「中心主張」「想定読者」「見出し案」「本文の流れ」「削った方がよい話」の順で整理してください。
    まだ本文は書かず、まず構成だけ出してください。
    【メモ】
    ここに話した内容を貼る

    ここで大事なのは、「いきなり本文を書かせない」ことだ。

    話した内容が散らかっている段階でいきなり本文化すると、AIが勝手に平均的な文章へ整えてしまう。それはそれで読めるだろうが、肝心の書き手の核が消えることがある。それは悲しいし、AI臭の原因となる。

    だからまず、整理させる。

    主張は何か。
    読者は誰か。
    使える具体例は何か。
    削るべき余談は何か。

    ここまで整理してから本文にする。AIに文章を書かせるというより、話したことを文章にできる状態まで運ばせる。

    役割とは、人格ではなく「見る場所」の指定

    ここまで見てくると、AIに役割を与える意味が少し変わって見える。

    役割とは、AIに人格を与えることではない。
    また、AIを急に賢くするキーフレーズでもない。

    役割とは、AIに「どこを見てほしいか」を伝えるための指定だ。

    ◆編集者として見てほしい。
    ただし、誤字脱字ではなく、読者が途中で止まりそうな場所を見てほしい。

    ◆要約者として見てほしい。
    ただし、短くするのではなく、判断に必要な論点を抜き出してほしい。

    ◆レビュアーとして見てほしい。
    ただし、何でも否定するのではなく、実務上の抜け漏れと反論可能性を見てほしい。

    このように、役割は肩書きだけでは足りない。
    ・・・というか肩書きはただのラベルにしか過ぎない。
    役割は、観点とセットで初めて機能する。


    コピペ用:ワンショット依頼の基本形

    最後に、どの用途にも使える基本形を置いておく。
    空欄を埋めるだけで使える。

    以下の【素材】を、【目的】のために整理してください。
    読む人/使う人は【読者・相手】です。
    あなたには【役割】として、特に【見てほしい観点】を確認してほしいです。
    良い出力の条件は【評価基準】です。
    出力は【出力形式】でお願いします。
    【避けてほしいこと】はしないでください。
    不明点は推測せず、「確認が必要な点」として分けてください。
    
    【素材】
    ここに文章・メモ・資料を貼る

    ポイントは、「役割」だけで止めないこと。

    • 役割に加えて、見てほしい観点を書く。

    • 評価基準を書く。

    • 出力形式を書く。

    • 避けてほしいことを書く。

    これだけで、AIの返答はかなり外れにくくなる。

    もちろん、これで毎回完璧な答えが返ってくるわけではない。
    AIは万能ではないし、最終判断は人間がする必要がある。

    それでも、最初の一投目が整っているだけで、仕事の捗りは違うはずだ。
    少なくともAIを使って「よかった」と言えることが増える。

    (・・・そして、「事例」に昇華させて発信ができる。)

    投げる前のチェックリスト

    AIに依頼する前に、次の項目だけ確認したい。

    □ 何のために使うのか、を書いたか
    □ 何を材料にするのか、を渡したか
    □ 誰が読む/使うものか、を書いたか
    □ AIにどの役割で見てほしいか、を書いたか
    □ その役割に、具体的な観点を添えたか
    □ どんな出力なら良いのか、を書いたか
    □ 出力形式を指定したか
    □ やってほしくないことを書いたか
    □ 不明点を推測させないようにしたか

    AIにうまく聞けないとき、足りないのは純粋な言葉数ではない。
    プロンプトチックな書き方でもない。

    多くの場合、足りないのは、AIに渡す作業条件だと思う。
    「プロとして」と頼む前に、何を見てほしいのかを渡す。

    それだけで、AIとの一問一答は少し変わる。


    おわりに

    AIを使うこと自体は、これからますます「当たり前」になっていくのだと思う。ただ、「使え」と言われることと、実際に「使える」感覚には距離がある。

    その距離を埋めるのは、派手な神プロンプトではない。
    自分が何をしたいのかを整理し、AIに渡せる形にすることだ。

    AIへの依頼文は呪文ではない。実際のところは、業務内容の説明に近い。
    もうこの点を考えると人間だと思って接してもいいと思う。

    • 肩書きではなく、見る場所を渡す。

    • 雰囲気ではなく、目的と条件を渡す。

    • 丸投げではなく、作業台を整える。

    まずは要約、整形、叩き台づくり。
    この3つだけでも、依頼文の作り方を変えると、かなり使い勝手は変わるはずだ。

    CTA

    この記事では、AIへの依頼文を「要約」「文章整形」「叩き台づくり」の3つに絞って整理しました。

    もし実際に使ってみて、
    「この場面でも使える型がほしい」
    「要約より、メール文面や資料作成で困っている」
    「自分の仕事だと、どう頼めばいいか分からない」
    というものがあれば、コメントで教えてください。

    反応があれば、次回以降で用途別の依頼文テンプレとして整理していきます。

    明日からの仕事の活力に笑


    事務屋の小道具店では、noteで小さく売るための導線、無料部分、価格設定、AI活用を、実際に作りながら整理していきます。
    思想よりも、手を動かすための観察ログと小さな道具を置いていきます。


     
     
    Kaiです。Intentusは、この場所の看板です。 AIと壁打ちしながら、仕事・創作・日々の違和感を考え、試し、他の誰かも歩ける形にして残しています。 完成品だけでなく、そこに至る寄り道も残す観察と実験のログ。 .......もはや漂流記かもしれません。(基本平日の投稿です!)

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