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【連茉小説】「愛の歌を君に2」#13 嵐の球堎ラむブ

    前回のお話12はこちら

    前回のお話

    麗華が所属しおいた音楜事務所が「音楜性の䞍䞀臎からブラックボックスは解散し、リオンだけが゜ロデビュヌするこずになった」ず嘘の発衚をした。くわえお、リオンを含む新人を玹介するための音楜フェスを急遜開催、よりによっおサザンクロスのラむブ日にねじ蟌んできた。それを受けお新曲の曞き䞋ろしを智節に呜じるショヌタ。そのテヌマは「愛」。悩んだ智節は麗華の協力を仰ぐためデヌトに誘う。䞀方その頃、拓海も愛ある䞖界を歌った曲「サンラむズ」をラむブの最埌で、「手話で歌いたい」ずショヌタに提案する。

    37麗華

     ラむブ日が近づくに぀れ、アリヌナで行われる音楜フェスの宣䌝が過剰なたでに行われるようになった。特に目を匕くのがテレビCM。「来堎者党員に、お奜きなアヌティストのグッズを䞀぀プレれント」ず謳うたうだけならただしも、「同日同゚リアで行われるむンディヌズバンドのラむブ䌚堎ず間違えないよう、ご泚意ください」ず衚瀺するのはさすがにやり過ぎだず思う。

     ただ、心配しおいるのはあたしだけで、拓海ず智くんはむしろ「勝手に宣䌝しおくれおラッキヌじゃん」などず喜んでいる。

     ――あっちは自分たちが「本物プロ」で俺らは「停物アマ」だず蚀いたいんだろうが、そう蚀わなきゃいけないくらい、向こうは焊っおるんじゃねえかな

    「僕もそう思う。蚀わなきゃ知らなくお枈むものを、お金をかけおたで蚀っおるんだからね。  ほら、たた流れた」

     ――  ぀ヌおも、さすがに芋飜きたな。
     流行をチェックするため音楜番組を芋るのが習慣であるあたしたちでも、番組よりの方が長いんじゃないかず思うくらい頻繁に、それもフェスの宣䌝ばかりされたら萎なえる。

     拓海がチャンネルを倉えるず、ちょうど䞀週間の倩氣予報が流れおいた。それを芋おたた䞀぀、頭を悩たせる。

    「台颚、来ないずいいね」

     南の海䞊にある熱垯䜎気圧は数日以内に台颚に倉わるず予想されおいる。どんなに念入りに準備しおも、屋根無し球堎でのラむブを予定しおいるあたしたちにずっお最も厄介なのは雚。亀通機関が麻痺しない限り雚倩でも決行する予定だが、客足を考えるずやはり晎れおくれた方がありがたい。

    「た、台颚が来たずなれば向こうだっお圱響は受ける。条件は同じだ。氣にしすぎないこずだよ」

     ――なあ、それならいっそ、歌の力で最高の倩氣になるよう祈るっおのはどうだ
     同じ楜芳的でも拓海の提案は珟実離れしおいた。しかし、死にかけた圌が今ではこうしおピンピンしおいるこずを思えば、祈りの力で倩氣を操るこずも䞍可胜ではないのかもしれない。

    「そうね。あたしたちの想いが届けばきっずいい倩氣になるはず。信じたしょう」


    ◇◇◇

     しかし、そんなやりずりも空しく台颚は発生し、倪平掋偎の地域に颚雚をもたらしおいる。幞いにしおここは降らない予報だが、匷颚による亀通機関ぞの圱響は出おいる。実際、颚に匱い路線のいく぀かは埐行運転䞭で、手䌝いを頌んでいた匟の元同僚が数名、遅れお珟地入りするず聞いおいる。

     前半のラむブ開始は正午だが、たどり着くのが困難な状況で来おくれるファンがどれほどいるのか。それ以前にこちらの準備が間に合うのかも若干怪しい。球堎の最寄り駅には、時間前にもかかわらず、あちら偎のスタッフらしきベストを着た人が数名立っおいお、自分たちのラむブに誘導しようずしおいるずの情報も耳にした。幞先はあたり良くない。

     匟のスマホに、元同僚から「到着たでもう少しかかる」ずいうメヌル連絡が入ったずき、ぞろぞろずダグアりトに入っおくる䞀団が芋えた。幎は四十代埌半くらいだろうか。いかにもミュヌゞシャンですずいう栌奜の男たちは拓海ず智くんを芋぀けるなり手を䞊げた。



    38拓海

     それは、ラむブハりス「グレヌトワヌルド」に出入りするバンド仲間だった。俺も智節も、急な出来事に目を䞞くする。

    「手䌝いは頌んでなかったはずだが  」

    「兄さんたちの勇姿を間近で芋るには手䌝いにくるしかないっおみんなで話しおたんだよ。あわよくばオレたちもバック挔奏に加えおもらおうっお腹なんだけどさ  。手䌝いの人数は倚い方がいいだろう」

    「いいも䜕も  。この匷颚で予定しおいた人数が集たっおいないんだ。手䌝いは倧歓迎だよ」

    「だず思ったんだ。ラむブの準備なら、玠人しろうずよりオレらの方が慣れおる。すぐに手䌝うよ」

    「助かる。ありがずう」

     集たっおくれたのは叀くから付き合いのある䞉぀のバンド。掻動拠点はいずれもこの蟺りだったはず。地元だからすぐに駆け぀けられたずいうわけか。本圓に有り難い。

     ――  そう蚀えばショヌタの姿が芋えないが、誰か知っおるか こんなずきこそ秘策を出しおきそうなものなのに。

     圌らの背䞭を芋送りながら手話で問いかけるが、智節も麗華も銖を暪に振る。

    「それが、ひず蚀『甚事がある』ずメヌル連絡があっただけでそれっきり音沙汰がないんだ。あい぀のこずだから䜕か考えがあっお行動しおいるずは思うけど  」

    「ここにいないショヌタさんを埅っおいたらこっちの䜜業が滞っおしたうわ。やるこずは決たっおるんだし、バンド仲間が来おくれたなら圌らに指揮を執っおもらいたしょう」

     ――そうだな  。

     二人の蚀葉に玍埗した俺はショヌタを探すのをあきらめ、ステヌゞの蚭営を芋守るこずにした。


    

     初秋でもただただ日差しが暑い時期。予定ではグラりンドに日よけのテントを蚭けるこずになっおいたが、颚であおられる危険があるため蚭営は無しになった。野倖ラむブでは良くあるこずだず、慣れた様子の仲間たちが的確な指瀺を出しおいく。その結果、路䞊ラむブに毛が生えた皋床の極めおシンプルなステヌゞが出来䞊がった。

     ――せっかく広い䌚堎を抌さえたのに、これじゃあ俺たちが目立たなすぎじゃねえかな あっちの瀟長が芋たらきっず笑い転げるに違いない。
     満足そうな仲間の姿を尻目に、俺は手話の分かる智節に愚痎をこがした。

    「仕方がないさ。開催できるだけマシだず思わなきゃ。それに、僕らが目立぀必芁はない。ギタヌの音ず歌声が届けばいいんだから」

     ――それはそうなんだけど  。

     歌声を響かせられる智節はそれができるからいいだろう。だが、俺にはその声が出せない。声を倱ったこずは埌悔しおいない。だが、せっかくのラむブなのだから煌きらびやかなステヌゞに立っお「手話うた」いたかったな、ずは思う。䞀応、カメラで撮圱した映像を巚倧スクリヌンに映すこずにはなっおいるが、スクリヌン越しでどれだけ想いが届くかどうか  。

    「倧䞈倫、届くよ。君の想いは」
     たるで心の声を聞いたかのように智節が蚀った。以前にもこんな事があったが、慣れおいない俺はたたしおも恐怖を芚えた。

     ――  俺はただ䜕も蚀っおねえぞ

    「蚀わなくたっお分かるさ。䜕しろ  。僕には君の声がちゃんず聞こえおいるからね」
     驚く俺に小さく笑いかけ、智節は続ける。

    「正確には、聞こえる氣がする、だけどね。ただ、意識を集䞭させればあの時――『星空の誓い』を収録した時――のように、本圓に君の声が聞こえるず確信しおいるんだ。それを叶えるには倚分、このシンプルなステヌゞの方がいい。  僕はもう䞀床君の声が聎きたい。だからこのラむブ、䜕がなんでも絶察に成功させる぀もりだよ。ラむバルに勝぀ためじゃない。僕らのために、だ」

     ――そんなに期埅されたんじゃ、聎かせない蚳にゃあいかないな。俺の声はお前に預けた぀もりだったが、今日ばかりは返しおもらうずするか。

    「ああ、い぀でも返すよ。  さお、僕らもそろそろ準備をしよう。ラむブの時間が近い」


    

     未だ颚は匷く吹き、揚げられた囜旗が力匷くはためいおいる。

     氣付けばラむブ開始たであず数分。ダグアりトから空きの倚い芳客垭を芋お「こんなもんか」ず思い぀぀も、俺らの人生ではおそらく過去最高の芳客数。䜕千ずいう目がこちらを芋るこずを想像するだけで歊者震いがする。

     適床な緊匵感に包たれおいる俺に察し、智節はこの空氣に飲たれおいるようだった。それに氣付いた麗華があい぀の手を握る。

    「こんなに汗かいおたら、ちゃんず匟けないよ   緊匵しおるの」

    「  正盎に蚀うず、ドキドキしおる」

    「あたしもよ。だけど、緊匵それすらも楜したなくちゃ」

    「確かに。ファンがいなかったらこの緊匵感を味わうこずもなかったんだもんな」
     智節は䞀床深呌吞をし、萜ち着きを取り戻した。

    「レむちゃん。今日は二人で䜜った曲でこの䌚堎を䞀぀にしよう。あの日、拓海の呜を救ったずきのように」

    「ええ。でも、今回は二人じゃない。拓海もいるわ。ね、そうでしょ」
     麗華は俺がしゃべれなくおもちゃんず䌚話を聞いおいるず知っおいる。問いかけられた俺は錻を鳎らした。

     ――その前に俺の「サンラむズ」でここにいる党員を泣かせちゃうけどな。

     冗談でも䜕でもなく、俺の「手話うた」を芳た者聎いた者はきっず感涙するず確信しおいる。ちなみに前半は「サンラむズ」、埌半は麗華たちの共䜜曲がラストを食り、聎衆を魅了するこずで決着しおいる。

     そこぞ、今回叞䌚進行をお願いしたナヌゞンずセナがやっおきお声をかけられる。
    「じゃあ、俺らは䞀足先にステヌゞに䞊がりたす。  呌んだらすぐ来お䞋さいよ」

    「もう あたしも䞊がるんだから、そんなにガチガチにならないの ほら、行くよ」

     セナに肩を揉みほぐされたナヌゞンは「よし  」ずひず蚀぀ぶやき、セナず䞀緒にグラりンドの䞭倮に蚭眮されたステヌゞめがけお飛び出した。



    39智節

     二人の姿が芋えるなり倧歓声が䞊がる。ナヌゞン セナ ず声揎も飛ぶ。その人氣は僕ら以䞊かもしれない。しかし二人は、今日は自分たちがゲストだずわきたえおいるようで、声揎に応えるのは最小限に留め、早速叞䌚の仕事を始める。

    「お埅たせしたした 皆さん、今日はサザンクロスのラむブにお越し䞋さりありがずうございたす りェブ䞭継でご芧の皆さんも、カメラの前での芖聎ありがずうございたす。本日は二郚構成でお届け予定です。長䞁堎ですが、皆さん最埌たで぀いおきお䞋さいね」

    「感動曲をたくさん甚意しおるから、ぜヌったいに最埌たで聎いおっおよね   っおこずで、早速登堎しおもらいたしょうか。サザンクロスの䞉人、ステヌゞにおいでヌ」

     セナに手招きされた僕たちはギタヌを匕っ提げ、ステヌゞに駆け寄る。

     僕らに向けた黄色い声揎が耳に届く。空垭からも声がしおいるのではず思うほどに、たくさんの声揎が僕らの背䞭を抌す。䞀人ひずりの顔は芋えない。だが、圌らの目は、耳は、こちらに向いおいるはず。やるこずは普段のラむブず䜕ら、倉わらない。

     ステヌゞ䞊でギタヌを玠早くアンプに繋ぎ、音が出るのを確かめたのち、レむちゃんがマむクの前に立぀。

    「最初から盛り䞊がっおいきたしょう たずはこの曲。『マむラむフ』」

    

    曇り空を抜け あすぞず続く道
    心の箱に秘密をしたおう
    新しい䞖界ぞ さあ

    きのうの圱にさよなら
    䞻圹は僕 党力で進め

    倢を描こう 最高の未来
    僕の䞖界を䜜るのは僕
    䞖界は心で䜜られるから  

    

     サザンクロス再結成埌、初めお拓海が曞き䞋ろした曲。非垞に爜やかで、若いころのサザンクロスを思い出させるこの曲はラむブのスタヌトにぎったりだ。

     そう、この歌詞にあるような最高の未来を実珟させるために僕らは䞀幎間、掻動しおきた。そしお今たさに僕は、心に描いた通りの、いや、それ以䞊の䞖界にいる  。

     䞀幎前、小さなラむブむベントで匟いたずきにはレむちゃんを恚みながら挔奏しおいた僕が、䞀幎埌にこんな舞台に立っおいるなんお誰が想像しただろう 死に別れるず思っおいた拓海が隣にいお、未だこうしお䞀緒にギタヌをかき鳎らしおいるなんお、倢でもなけりゃ説明出来ないようなこずが今、目の前で起きおもいる  。人生、どう転ぶか分からないものだ。

     あの日は早く終わっおほしいず、そればかり考えお匟いおいたっおいうのに、今はい぀たでも続いお欲しいず思う。積極的にバックコヌラスを歌ったり、アドリブで匟いたり  。僕は、今この瞬間を存分に楜しんでいる。

     拓海が死を芚悟したずき「もう䞀床麗華のバック挔奏が出来たら死んでもいい」ず蚀った、その氣持ちが分かったような氣がする。この䞉人で匟けるこずは、僕にずっおも至犏の時だ。


    

     ラむブは滞りなく進み、残すは、セナずオヌナヌのピアノ曲ず拓海の「サンラむズ」だけだ。最初の予定ではグランドピアノを蚭眮するこずになっおいたが、「こっちの方がリオンの心を打぀のでは」ずいうセナの発案により、リオンが残しおいった電子鍵盀キヌボヌドに倉曎された。

     僕らがステヌゞから降り、代わりにセナずオヌナヌが立぀。いきなり珟れた幎茩の男性を芳たファンからはどよめきが起こるが、二人はそれに反応するこずなく静かに怅子に腰掛ける。座ったのを確認し、叞䌚のナヌゞンが曲玹介をする。

    「これからお聎きいただくのは『グレヌトワヌルド』。どこかでこれを聎いおいるであろう匟のために、セナが心を蟌めお挔奏したす。では、どうぞ  」

     促された二人は、目を合わせるず同時に䞀぀のピアノを匟き始めた。数秒聎いただけで鳥肌が立぀ほどの迫力。ざわ぀いおいた聎衆も䞀氣に聎くモヌドに倉わり、䌚堎に響くのは二人の挔奏だけになる。

     それはたるでそよ颚のようであり、川のせせらぎのようでもあり、時に嵐のようでもあった。セナの、リオンに察する想いはきっずこの匷颚に乗っお圌の元に届いおいるこずだろう。

     氣付けば、枩かいしずくが頬を流れおいた。歌詞こずばがなくおも想いは䌝わるのだず思い知る。僕は目を぀ぶり、圌らの想いを耳だけで感じるこずに専念した。

     四分ほどの挔奏はあっずいう間に終わった。誰もがもっず聎きたいず思ったのだろう、自然ずアンコヌルが送られる。それに応えたのはオヌナヌで、今の䌚堎の雰囲氣にぎったりな即興曲をさらっず挔奏し、再び喝采を济びた。自分が匟けばおいしいずころを持っお行っおしたうぞ、ずいうオヌナヌの蚀葉がよみがえる。確かにその通り、オヌナヌは䌚堎の芖線を独り占めしおしたったのだった。

     ――くそぉ。オヌナヌ、さすがだなぁ。だけど、最埌の最埌は俺がおいしいずころを持っお行くぜ  。

     拓海が意氣蟌みを新たにし、ステヌゞに飛び出そうずした、たさにその時  。

     突颚が吹き、盎埌に巚倧スクリヌンの映像が消えた。芳客垭からはどよめきず悲鳎が同時に聞こえ、蟺りは隒然ずなる。グラりンドには砂塵が舞い、ナヌゞンずセナが慌おお電子鍵盀キヌボヌドの撀去を始める。

    「  䜕が、起きた」
     突然のこずに頭が混乱するが、非垞事態が発生したのは間違いない。

    「ラむブ䞭継を䞀旊䞭止した方が良さそうね」

    「ああ  。早くカメラマンに指瀺をださなければ」
     レむちゃんの蚀葉に同意し、ステヌゞに駆け寄ろうずしたずき、ダグアりト内にいた圌女の匟のスマホが鳎った。電話に出た圌は䜕床か頷くず僕に電話を差し出した。

    「ショヌタさんからです」

    「ショヌタ  」
     奪うように電話を受け取る。
    「おい、こんな時にどこをほっ぀き歩いおる こっちは突然巚倧スクリヌンが消えお倧倉  」

    『こちらの方が悲惚ですよ。すべおの電気系統が萜ちおアリヌナ内は真っ暗闇ですから。どうやらこの䞀垯で停電が発生したようです。詳しいこずは調査䞭ですが、おそらく匷颚の圱響で電柱が倒れたか、飛来物等で電線が切断されたのでしょう』

    「停電   それじゃあラむブはどうなる」
     慌おふためく僕を尻目にショヌタはくすくすず笑う。

    「  な、なにがおかしい」

    『倩はあなた方に味方したようです。自分が思い描いた最高のシナリオを実行する準備がいた、敎いたした』

    「えっ  」

    『今からそちらに急行したす。  サザンクロスずブラックボックスの共挔ラむブ、ここからが本番です』

    「はぁ   䞀䜓どういうこずだよ  」
     問いかけたが、通話はすでに切れおいた。


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    ※芋出し画像は、生成で䜜成したものを加工しお䜿甚しおいたす。

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