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Photo bydear_broom3611

献血が趣味、そう言いたい人生だったO型女

    【O型が足りません。ご協力お願いします!】

    献血センターの前にこんな貼り紙がしてあった。
    私はO型だ。できるものなら協力したい。
    献血に憧れて20数年。
    献血歴は、まだない。血管が細すぎて玉砕しているのである。
    なにせ採血の時は子供用の針を持ってこられ、血管を探すのに最低30分かかる。
    こんな調子なので、献血用の針が入らないのだ。

    最初に挑戦したのは高校1年生の時、文化祭に献血車が来たので、勇気を振り絞ってチャレンジしてみた。看護師さんが私の腕を見て申し訳なさそうに声を落とす。

    「ごめんね。血管が細くて採血用の針がやっとみたい。献血用の針を刺したら潰れちゃうかも……」

    そんなことがあるのか、と私は肩を落としパックジュースを渡され立ち去った。
    帰宅し、両親にその事を話した。
    「運動すればいい」
    と父が言う。そうなのか。ちょうど高校の時間割は週4で体育の授業が入っている。

    それから体力がないなりに歩けるところは歩くなりして有酸素運動をしてみた。

    そして、成人して献血センターデビューをする。
    採血まではなんとか終わる。そして、問診室で問診の先生から告げられた言葉は、高校時代、文化祭の時の看護師さんの言葉と同じだった。

    『血管 太くする方法』

    と、何回検索したかわからない。

    そして、表示された運動、筋トレ、血管を太くする方法を何年も、何年も実践していた。
    一向に成長する気配のない血管。
    献血が趣味、そう言いたい人生だった。

    今はジュースとお菓子目当てに献血に行く夫の横で、羨む。
    「奥様もいかがですか?」
    と言われ、チャレンジするも太くならない私の血管は、未だにお役に立てていない。

    O型に産まれたのだ。一度くらいはこの血をお役に立てたい。
    今日も血管を太くする努力としてフィットボクシングをする。
    血管は成長しなくても、健康にはいいはずだ。

    夕方、ふと夕方のニュースに目を移す。献血を広める活動をしているというお姉さんが出ている。
    いわく「サウナより献血のほうが整う」そうだ。そんな感覚を味わってみたいではないか。
    にこやかに飲み物片手に献血をしている彼女は、聖女だ。輝いている。
    私もコーヒー片手に献血がしたい。夫の付き添いで息子と待合室で待っているだけの状態から卒業したい。
    一度でいいから採血室で献血をしてみたい。献血ができなくなる年齢まで足掻くつもりだ。

    献血が趣味と言いたい人生だったで終わらせないために。
    いつか来ると思いたい献血デビューの日に向けて、今日も私は画面に向かってパンチを繰り出す。

     
     
    創作と日々のエッセイを書く、限界母系物書きクラゲ|著書『短い恋のはずだから』『書くと、たゆたう』|コーヒーは燃料。言葉は呼吸。 ☕️活動一覧☕️ https://lit.link/iru_nagisa Amazonアソシエイトプログラム参加中

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