新しい季節はなぜか切ない日々で
9月は毎年決まって気分がすこし落ち込む。
私にとっては風物詩みたいなもので、今更驚くようなことはないし、またきたか、くらいの気持ちでいる。
でも、何をするにもちょっとブルーな思考が邪魔をしてくるし、それが、書く文章や短歌にも直に影響してきて嫌だ!
こうなる理由はきっと単純で、夏という陽気な季節に乗じて、向き合わなくてはいけない現実を誤魔化すかのように詰め込んできた予定が一気に落ち着いたから。夏そのものにも少し疲れがきたから。
あとは、昼夜逆転の生活になってしまって午前中に日光を浴びていないから。
結局、人間はホルモンの奴隷である、ということに自覚的な今のうちに、きちんと生活基盤を整えなくてはならないと思う。それなのに、きちんと夜のうちに眠ることができないし、一向に部屋を片付ける気が起こらない。
こうして書き起こすと、ただ自分が怠惰なだけな気がしてきて余計に、なんだかなあ、って気持ちになる。
こう反芻思考に陥るとネガティブになるだけなので、昨日、良かったこと、楽しかったことを思い出してみる。
昨日は居酒屋のバイトだった。ここ最近はバイト漬けの日々だ。
大将と2人で店を回す日だった。土曜日だからと気合いを入れていたのに客足が少ない。
あとから聞いたら、土曜はいつも暇なんだよ、だそうだ。
17時に入ってから開店作業が落ち着いて、17時半、18時、18時半と、暇な時間が続く。
しびれを切らして、テーブル席に座ってお客さんに配る用にA4紙に10枚分印刷されたクーポンをハサミで切っていた。
店の有線で、スピッツのロビンソン、のロックアレンジバージョン?平成風の女性ボーカルのカバーが流れた。
なんだこれ、と思いつつ、ハサミでクーポンをチョキチョキ切る。
しかし、ロビンソンって改めて良い歌詞だなあ、この不思議なカバーアレンジでもすっと入ってくるなあ、そういえば、私が今まで出会ってきたスピッツ好きな人は、優しくて素敵な人ばかりだったなあ、私もスピッツを聴く人になりたいなあ、スピッツって何曲あるんだろう、いまから全曲履修できるのかなあ、クーポンを切りながら曲を聴いていると色々思考が膨らむなあ、曲を聴くのにいちばん適しているのはクーポンを切っているときかもしれないなあ、
と、思ったあたりで最初のお客さんが来た。
いらっしゃいませ!と慌ててテーブルの上のクーポンと、クーポンにならなかった紙くずたちを片付ける。
最初のお客さんは、店でもいちばんいいウイスキーのハイボールを頼んでいった。
大将が、バックヤードでリッチだな、と私に小声で言ってきて、そうですね!とこっそり笑った。
そのあと、2人目に来たお客さんは常連さんで、いつも来るたびにハイボールをたしなみながら静かに本を読んでいるので、いいなあ、と思って見ている。
何をお読みになられているんですか?と、話しかけたい衝動によく駆られるが、邪魔をしてはいけないと思って、なるべく小声かつ静かにフードとドリンクを置いている。
2人のお客さんを見ていながら、私もこう、安居酒屋でひとり、各々の時間の中で晩酌を楽しむ大人になりたいな、と思っていた。
よほど余裕があったので、居酒屋では普段はやらない、氷をグラスに入れたあとのステアをしっかりやって気持ち丁寧にハイボールを作っていた。でも、居酒屋では要らない工程なので、大将に気づかれない程度にやった。
そのあと2人のお客さんも帰ってしまってまた暇になったあとで、もう1人のお客さんが来た。
どうやら大将の馴染みのようで、軽く声をかけていった。その人はスマホで野球中継を見ながら、緑茶ハイを飲んでいた。
やはり暇なので気持ち程度丁寧に緑ハイを作っていたり、バックヤードで残りのクーポンを切ったりしていると、大将が、あの人、俺の高校の同級生なんだよと言った。お話しなくていいんですか?とたずねると、いいや、今は営業中だから、と返ってきた。
しかし、その後もあまりにも客足がないので、とうとうそのお客さんの横に大将が座り、乾杯をしはじめた。
高校の思い出話に花が咲いたようで盛り上がっている。私も、40年来の友達がいるっていいですねえ、なんて話の輪に入ったり、やはりクーポンを切っていたりした。
大将とお客さん、2人とも3杯くらいお酒が進んできたあたりで、大将が、今日はもう終わりにするかー、と言った。
私も風邪気味なので正直助かったし、そのあとサークルの同期でAmong Usをやる予定があったので都合が良かった。
あと、お腹が空いていた。
ここのバイトはまかないが無料で出る。
最近の私は1日の食費をどれだけ低コストで抑えるか、食費をどれだけ趣味に充てられるか、ということに注力しているので、すごくありがたいし、大将の作ってくれるまかないは美味しいのでいつも楽しみにしている。
私はバイトの日は何も食べない、なんなら前日から少し食事を抜いて臨むので、それはもうよく食べる。
大将もそれを見て、千和さんすごく幸せそうに食べてくれるよね、それを見ると私も幸せな気持ちなんですよ、と言ってくれるので、調子に乗って120%くらい食べてしまう。
おばあちゃん家で食べ物が延々と出てくるような感覚で、毎回少し苦しくなって歩いて帰る。でも、幸せだ。
私は1.5日分の食事をまかなうことができ、大将は喜ぶ。すごくWin-Win!
その日も豪勢なまかないを食べながら、私も大将とその同級生のお客さんと乾杯をして、少しの談笑をして、良い時間を過ごした。
私の周りのおじさんは、ありがたいことに良い人たちばかりだ。
気前のいいおじさん万歳!
最近はみうらじゅんとか好き。マイブーム。
そのあと、同期とAmong Usをやる時間にも間に合い、家でゲームを楽しんだ。
こう細部に目を向けてみたら、私の毎日って結構楽しいのかも。
この文章を書きはじめたときのセンチメンタルな気持ちが落ち着いた。
書くって大事だな。改めて。
昔より自分の機嫌をとるのが上手になって嬉しい。
ルララ宇宙の風に乗る♪