
ドストエフスキーの『悪霊』、ほぼネタバレ無し
この世の最高峰『悪霊』
私は今までいろんな本を読んできた。
その中で群を抜いて傑作と言えるのが、ドストエフスキーの『悪霊』だ。
ドストエフスキーの作品は五大長編小説を含めて、ほとんど読んだが、『カラマーゾフの兄弟』や『罪と罰』と比べてみても『悪霊』が最もすごい。
そして、他の作家の作品と比べてみても、やはり本作が最高であると思う。
1,000冊ぶんの価値を超える
読書家が、本を1,000冊、10,000冊読んでも、本作を読んでいないのなら、誠にもったいないと言わざるを得ない。
文豪と呼ばれる人はたくさんいるが、やはり、ドストエフスキーは別格であり、彼の作品の中でも、本作は別格なのだ。
『悪霊』のなにがすごいのか
本作は、革命結社の活動を通して人々の心の深層を描いた作品だ。具体的な出来事もすごいが、その周辺の人々の情念や虚無の描き方がすごい。
ニコライ・スタヴローギン
名前が難しいが、彼が異質な魅力を持つ。
彼は、知性と美貌と腕力と血縁と経済力を持つ、すべてを持つ者だ。しかし、心の中には虚無があり、その虚無が時にブラックホールのようにあらゆるものを飲み込み、時に、あらゆる奇行を生む。
彼は良い椅子に座ってのんびりするような男ではない。
スターウォーズ456のダース・ベイダーよりも、現場に赴く。
よく、彼は「悪魔的超人」と評される。
彼は悪魔的だ。だが、彼は、明確な悪意や野心を抱いて人を傷つけるわけではない。
むしろ、彼自身が苦しみ、彼はわずかな言葉しか言わない。
本作の第2の主人公でありながら、登場する場面は少ない。それにもかかわらず、その存在感は全編を通して絶大である。ちなみに第1の主人公は、ステパン・ヴェルホヴェンスキーという男だ。彼がこの怪物を作ったという見方もできる。
1周目は理解できなかった
私は本作を初めて読んだとき、最後に本を閉じて、「結局、なんだったの?」と思った。
本から放出されるオーラ
私は初めて本作を読んだとき、内容がよくわからなかったが、書き連ねられた文字列から強い力と深い闇を感じた。「もう一回最初から読んでみよう」と思うことになんのためらいもなかった。
この本だけあればいい
もし私が「あなたが所有する全ての本を捨てなさい。ただし一つの作品だけは手元に残しても良い」と言われたら、迷うことなく本作を残す。本作があれば、一生読書に困ることはないかもしれないとさえ思えるほど、本作は濃い。
噛めば噛むほどいろんな味が永遠に生まれてくるガムのような本だ。