
嘘で塗り固めてみようか、嘘しか言わない人間になろうか。
僕は今までバカ正直だった。
嫌いな人に対しては「俺はお前のこと嫌いだよ。」と言うこともあった。
やりたくないことに関しては「やりたくないな。」と言っていた。
もちろん常にそうだったわけではない。
僕は自分を偽ると疲れるのだ。
「人前ではこういうキャラでやっていこう。」という方針を決めて、いい人を演じていた時期もあったが、あの時期はほんとに疲れていた。
うっかりメッキが剥がれると友達から「え、お前ってそんな感じだったっけ。」とか言われてしまう。
よく見てるなぁ、めんどくせぇ。
自分を抑え込んで生きてきて損してきた僕は、28歳ぐらいから人間関係に関する方針をかなり変えた。
言わねばならないことを言い、言いたいことを言うように心がけた。
そして、思ったことや感じたことをストレートに表現することや、感情を発露することの気持ち良さに気づいた。
だが、再び揺り戻しが始まった。
僕の人生はこれの繰り返しな気がする。
これからは、嘘で塗り固めていこうかと思う。
だが、これまでと同じやり方ではない。
目的が違う。
昔の僕は、自分の弱点を人に知られたくないから、自分を隠していた。恥ずかしがり屋で負けず嫌いだった。
だから、自分を良く見せることが嘘の目的だった。
今回は違う。
より洗練された攻撃のために僕は自分を偽ろうと思う。
理詰めで相手を責め立てるようなストレートでバカ正直な方法はもうやめる。
意味のない暴力を志向する。
他人は僕が考えていたとおり、卑怯だった。
でも、僕はそれを信じたくなかった。
人を信じたかった。
だから、僕は僕なりの誠実さをもって、情理を尽くして語りかけてきた。
だが、その思いは「独りよがり」の一言で一蹴された。
瞬間的な激怒。そのあとの冷静さ。
無害に見えて、存在感もない人になろうと思う。
そうしているうちに僕の中の攻撃性は弱まるかもしれない。それならそれでいい。
でも僕はたぶん変わらないと思う。
最後に。
「正直者は馬鹿を見る。」というのは本当だ。
正直は、勤勉さや愛情深さを超えた最上級の美徳であると思うが、人類には、正直者が得をするような世界を実現することはできないと思う。
そんな世界は人類の知性の限界を超えている。
人類は火星に移住することができるかもしれない。
だが、正直者が得をするような世界を実現することはできないと思う。