
二年連続の営業損失で、再建の議論を始める。大王製紙が基準を置き、中国の工場の一部を売却
2年連続の営業損失で、再建の議論を始める。大王製紙は2023年5月にこの撤退基準を導入した。中国事業が2期続けて大幅な赤字を計上すると、再建の議論から始め、2025年3月に中国の工場の一部(ベビー用紙おむつの工場)の売却を決めた。同社は、この判断を「この仕組みの適用を通じてなし得た」と説明している。
基準の主な内容は以下の通り(同社の統合レポートによる)。
・再建の議論:例えば2年連続で営業損失になったときに始める
・撤退の検討:改善が見込めず、事業を続ける合理性も失われたと判断したときに移る。数字だけでは判断しない
・確認:各事業と海外法人が基準の収益性を下回っていないかを、経営企画部が年に1回確かめる
同社は再建案を投融資委員会で検証し、再建には大規模な投資と長い回収期間が要ると見て、売却を選んだ。紙おむつは外部へ委託して販売を続け、生理用品の工場は中国に残した(報道による)。
これは単に「赤字の工場を売った」という話ではない。見直しを始める時期を、担当者の判断から数字へ移したということだ。
赤字の事業を持つ部門は、自分から見直しを言い出しにくい。基準があれば、言い出すのは数字になる。同社は基準の主眼を撤退ではなく再建に置き、事業部に経営企画と経営管理本部を加えた。ただし、基準が決めるのは議論の始まりまでである。同社は、投融資委員会などの議論から決定まで時間を要することが多かったとして、2025年に委員会を経営会議の下に置き直した。
重要なのは、見直しの議論を、誰かが言い出すのを待たず、数字が条件に達したら始まる形にしておくことである(基準の全文は未公開)。
日本企業が中国で利益の出にくい事業を持つなら、次の2点を確認したい。
① 見直しの条件にする数字を、誰が、年に何回確かめるか。
② その条件を過去の赤字に当てはめたとき、実際の議論より早く始まっていたか。
あなたの会社の中国事業は、どの数字が何期続いたら、再建か撤退かの議論を始めることになっているだろうか。
中国の変化を、あなたの次の一手に