
待つ時間(短編小説)(シロクマ文芸部)
今回「シロクマ文芸部」のお題に沿って物語を作ってみました
二回目の参加となります
拙い小説ですが、ご覧いただけば嬉しいです
10年離れた地元は
色々とお店が変わっていた
おばあちゃんがやっていた駄菓子屋は
落書きのされたシャッターで閉められ
学校帰り良く溜まっていたコンビニは
相変わらず秩序が無い原付バイクで埋め尽くされていた
いつもの待ち合わせ場所、君の姿はそこにあった
お待たせ、待った?
んーん、バイト長引いて、ちょうど今来たよ、おかえりなさい
そっか、良かった、ただいま〜、なんか呑む?
うん、コンビニでお酒買って呑も
よし、賛成
バイトって今日は某中華料理屋ですか
そだよ、え、匂いする?
んー、チャーハンにエビフライに中華スープってとこかな
ねぇ賄い当てるのやめてもらっていい?当たってるし
あ、合ってた?じゃあご褒美として今日はそっちの奢りかな
そこは社会人パワーでお願いします!
学生め、仕方ないな
私も来年から社会人ですよ嫌だぁ
今みたいなダボ服は着れなくなりますねぇ
うるさい、あー、スーツ買わないとなぁ
スーツ姿、見てみたいかも
機会があればね
無さそうすぎる
そだね(笑)
そんなたわいもない話をしながら
コンビニの前で日を跨いだ
呑み終わった君の缶と僕の瓶を抱え
君のチーズの抜け殻を僕の陽気にばんざいしたじゃがりこの容器に詰め込む
深夜2時のコンビニ
パトカーを見ると自然と目を逸らす時間帯
こうして半年に1度話すのが楽しみだった
あ、私彼氏できたんだ
みたいだね、インスタ見たよ、おめでと
うん、ありがと、だからもう2人で会うのはしばらく出来ないかも
そっか、仕方ないね
でも、また帰ってきたら連絡して、待ってる
うん、分かった
じゃあね、おやすみ
うん、またね、おやすみ
手を振って別れたあと、もう一度君の方を見る
君ももう一度こちらを振り向く
大きく手を振り、また歩く方向を向く
僕は一人、空っぽになった心を大事に抱えて歩く
コンビニのゴミ箱にまとめて捨ててしまえばよかったのに
捨てられない僕を知っててか
君は最後、待ってるという一言で
空っぽの心にコーティングを施した
もう壊すことも、捨てることもできなくなってしまったこの空っぽの心は
嫌という程僕の中で存在感を示した
このまま待ち続けても、君で満たされることは無いのだろう
それでも僕は、きっと静かに磨き続ける
君という塗膜は、嫌になるほど美しく輝いていた
たまらなく美しく、そしてたまらなく...
僕は片方だけのイヤホンをもう片方取り出し、ボリュームをあげた
僕の中の負の音楽をかき消す様に