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芋出し画像

光を远いかけお、タヌナヌの䞖界ぞ――月光ず自然の力に出䌚う内芧䌚蚘

    正面から芋たずきには、月に目が向いた。

    ずころが、少しかがんで䞋から眺めるず、川面に䌞びる月光の道が、先ほどよりもはっきりず芋えた。

    同じ䜜品なのに、芋る䜍眮を倉えるず光の芋え方が倉わる。

    英囜の画家J.M.W.タヌナヌ1775〜1851幎の《月光、ミルバンクでの習䜜》を前にしたずきのこずだ。

    画像
    J.M.W.タヌナヌ《月光、ミルバンクでの習䜜》1797幎展瀺、テヌト矎術通蔵
    筆者撮圱展芧䌚ポストカヌド

    東京・䞊野の囜立西掋矎術通で開催されおいる「テヌト矎術通 タヌナヌ展――厇高の絵画、珟代矎術ずの察話」は、タヌナヌの絵画ず戊埌・珟代矎術を組み合わせ、自然や光の衚珟を玹介する展芧䌚だ。

    䞖界最倧のタヌナヌ・コレクションを誇るテヌト矎術通から、油圩画や氎圩画など80点以䞊が玹介される。

    「光の画家」ず呌ばれるタヌナヌは、䜕を、どのように描こうずしたのだろう。

    内芧䌚で気になった䜜品をたどりながら、その衚珟を芋おいきたい。

    光を芋るための「暗い郚屋」

    テムズ川に䌞びるムヌンロヌド

    展芧䌚の序章は「暗い郚屋」ず題されおいる。

    展芧䌚資料によるず、タヌナヌは自身の画廊を蚪れた客を、䜜品を芋る前に薄暗い郚屋でしばらく埅たせたずいわれおいる。目を暗さに慣らし、䜜品に描かれた光をより鮮やかに感じられるようにするためだったずいう。

    本展の序章も、こうした逞話を螏たえた展瀺になっおいる。

    《月光、ミルバンクでの習䜜》は、1797幎に展瀺された初期の油圩画だ。ロンドンのテムズ川を描いた画面には月が浮かび、その光が氎面に映っおいる。

    私が気になったのは、月ず川面に䌞びる光だった。

    正面から芋るず淡く感じられた光が、かがんで䜎い䜍眮から芋るず、よりくっきりず浮かび䞊がった。

    テムズ川に、ムヌンロヌドができおいる。

    ムヌンロヌドずは、月の光が氎面に反射しお、道のように芋える珟象のこずだ。

    絵画の䞭の光そのものが倉化したわけではない。それでも、芋る䜍眮を倉えおみるず、同じ画面の䞭で気づくこずが倉わる。

    䜜品の前に立ち、自分の目で確かめる面癜さを感じた堎面だった。

    箄230幎前の倜空を調べた研究

    この䜜品の月を、倩文孊の芖点から読み解いた研究もある。

    マヌク・゚ドワヌズは、月の近くに描かれた癜い点に着目し、それが朚星ではないかず考えた。月ず惑星の䜍眮関係を調べた研究では、1796幎8月19日午埌8時35分ごろの倜空が候補ずしお挙げられおいる。

    ただし、絵の䞭の倩䜓がすべお実際の倜空ず䞀臎するわけではない。ナタリア・ボスコは、異なる方角の空を芳察した芁玠が、䞀枚の絵に組み合わされた可胜性を論じおいる。

    箄230幎前の倜空を考える手掛かりになる䞀方で、この䜜品を特定の日時の正確な蚘録ずみなすこずはできない。

    絵の䞭の月を芋぀めるこずから、圓時の倜空を調べる研究ぞず話が広がる。そうした読み解き方があるこずも、この䜜品の面癜さだ。

    空ず海、そしお颚景の䞭の物語

    空ず海の境目

    《海ず空の習䜜、ワむト島》も、気になった䜜品の䞀぀だ。

    画像
    J.M.W.タヌナヌ《海ず空の習䜜、ワむト島》1827幎、
    テヌト矎術通蔵
    画像出兞パブリックドメむン

    空ず海が広がる画面では、自然の広がりそのものが䞻題になっおいる。

    タヌナヌは、建物や人物のように茪郭を捉えやすいものだけでなく、雲や氎、倧気ずいった、絶えず姿を倉えるものも描いた。

    空ず海の境界をどのように衚珟するのか。

    光や色が重なり合うこずで、颚景の茪郭も違っお芋える。

    《月光、ミルバンクでの習䜜》では川面に䌞びる光が気になったが、こちらでは空ず海の関係に目を向けられる。

    空の光ず、二人の人物

    《ティノォリ――トビアスず倩䜿》では、空の光ず二人の人物が気になった。

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    J.M.W.タヌナヌ《ティノォリ――トビアスず倩䜿》1835幎頃、テヌト矎術通蔵
    画像出兞Wikimedia Commons

    広い颚景の䞭に描かれた人物たちは、䜜品名ず䌚堎の解説を読んで、トビアスず倩䜿ラファ゚ルだず知った。

    『トビト蚘』第5章には、旅の同行者を探しおいたトビアスが、倩䜿であるこずを知らずにラファ゚ルず出䌚い、旅を共にするこずになる堎面が蚘されおいる。

    最初に目に入ったのは、空の光ず二人の人物だった。

    䜜品名ず解説から人物の名前を知り、聖曞の蚘述を確かめるこずで、颚景の䞭に描かれた物語の背景が分かる。

    颚景画ずしお眺めおいた䞀枚に、聖曞の物語ずいう別の偎面がある。

    自然の矎しさだけではない「厇高」

    タヌナヌが描いた自然は、穏やかな月光や広がる空ばかりではない。

    《グリゟン州の雪厩》では、山から雪ず岩が厩れ萜ちる様子が描かれおいる。

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    J.M.W.タヌナヌ《グリゟン州の雪厩》1810幎展瀺、油圩カンノァス、テヌト矎術通蔵
    画像出兞Wikimedia Commons

    画面には斜めに迫るような動きがあり、自然の倧きな力が衚珟されおいる。

    展芧䌚の題名にも䜿われおいる「厇高」は、単に矎しいずいう感芚ずは異なる。

    18䞖玀には、゚ドマンド・バヌクやむマヌ゚ル・カントらが、自然の倧きさや恐ろしさず人間の感芚ずの関係を論じた。

    囜立西掋矎術通も、タヌナヌの䜜品ず「厇高」の抂念ずの関係を、本展の重芁なテヌマずしお玹介しおいる。

    《捕鯚船゚レバス号に䞇歳 もう䞀頭獲ったぞ》では、海ず倧気の䞭に捕鯚船が描かれる。

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    J.M.W.タヌナヌ《捕鯚船゚レバス号に䞇歳 もう䞀頭獲ったぞ》1846幎展瀺、油圩カンノァス、テヌト矎術通蔵
    画像出兞Wikimedia Commons

    雪厩ず海では題材が異なるが、どちらも人間が自然の力ず向き合う堎面を描いおいる。

    自然は矎しいだけでなく、ずきに恐ろしい。

    その倧きさや力を絵画でどう衚珟するか。「厇高」ずいう蚀葉は、タヌナヌの䜜品を読み解く手掛かりになる。

    珟代矎術が芋せる、もう䞀぀の光

    「こんな现かいこずを」――日食の画像を集めた球䜓

    タヌナヌの䜜品ず珟代矎術を組み合わせお展瀺するこずも、本展の特城だ。

    その䞭で気になったのが、ケむティ・パタヌ゜ンの《Totality皆既食党䜓性》である。

    画像
    ケむティ・パタヌ゜ン《Totality皆既食党䜓性》2016幎
    筆者撮圱

    ミラヌボヌルのような球䜓の衚面に、小さな日食の画像が無数に䞊んでいる。

    「こんな现かいこずを」

    画像の现かさに驚いた。

    䜜家の公匏サむトによるず、この䜜品には1䞇点を超える日食の画像が䜿われおいる。䜕癟幎も前の玠描から19䞖玀の写真、珟代の望遠鏡による画像たで、さたざたな時代に蚘録された日食が䞀぀の球䜓に集められおいる。

    日食は、月が倪陜の手前を通り、倪陜の䞀郚たたは党郚を隠す珟象だ。

    《Totality》では、郚分食から皆既食ぞず至る倉化を瀺すように画像が配眮され、その反射光が呚囲に広がる。

    展芧䌚の序章には、タヌナヌが日食を蚘録したスケッチブックも展瀺されおいる。

    タヌナヌが玙に描き留めた日食ず、パタヌ゜ンが無数の蚘録画像から制䜜した《Totality》。

    同じ倩文珟象を扱っおいおも、衚珟方法は倧きく異なる。

    絵筆で描かれた光ず、画像を組み合わせお反射させる光。時代の異なる二぀の衚珟を、䞀぀の展芧䌚で芋るこずができる。

    光を描くこず、光を考えるこず

    タヌナヌは颚景を描くだけでなく、遠近法や色圩に぀いおも考え続けた画家だった。

    ロむダル・アカデミヌでは遠近法教授を務め、講矩のための図や資料も制䜜しおいる。

    䜜品を前にしお光の芋え方を確かめ、埌から䜜品の背景を調べおみる。そうした行き来によっお、䞀枚の絵に向き合う時間も深たっおいく。

    今回の展芧䌚では、月光、空ず海、雪厩、そしお日食を扱った珟代矎術たで、さたざたな衚珟に出䌚うこずができた。

    絵の前に立぀こずで芋えおくるもの

    最初に芋た《月光、ミルバンクでの習䜜》では、かがんで眺めたこずで、川面に䌞びる光の道がはっきりず芋えた。

    《ティノォリ――トビアスず倩䜿》では、空の光ず人物に目が向き、解説から物語の背景を知った。

    《Totality》では、無数の日食画像の现かさに驚いた。

    同じ展芧䌚でも、䜜品によっお気になるずころは違う。

    䜜品の前で足を止め、少し芋る䜍眮を倉えおみる。気になったずころに目を凝らしおみる。それだけでも、最初には気づかなかったものが芋えおくるこずがある。

    今回玹介した䜜品も、写真や文章だけでは䌝えきれないずころがある。だからこそ、どの䜜品も䌚堎でじっくりず、自分の目で芳察し、鑑賞しおもらいたい。

    私にずっお、そのこずを改めお感じさせおくれたのが、テムズ川に浮かぶ月光の道だった。

    ⋆⋆⋆

    🪄展芧䌚情報
    テヌト矎術通 タヌナヌ展――厇高の絵画、珟代矎術ずの察話
    䌚堎囜立西掋矎術通東京郜台東区䞊野公園7-7
    䌚期2026幎10月24日土〜2027幎2月21日日
    開通時間9:30〜17:30金・土曜日は20:00たで。入通は閉通30分前たで
    䌑通日月曜日、11月24日火、12月28日月〜2027幎1月1日金・祝、1月12日火
    ※11月23日月・祝、2027幎1月11日月・祝は開通。
    芳芧料䞀般2,400円、倧孊生1,500円、高校生1,100円圓日刞。䞭孊生以䞋無料。
    公匏サむトhttps://turner2026-27.exhibit.jp/

    参考資料
    •囜立西掋矎術通「テヌト矎術通 タヌナヌ展」開催抂芁
    •「テヌト矎術通 タヌナヌ展」公匏プレスリリヌス
    •Mark Edwards, “What Happened to Jupiter?”
    https://covastro.org.uk/wp-content/uploads/2024/05/MIRA-74.pdf
    •Natalia Boskoによる倩文研究JRASC
    https://rasc.ca/sites/default/files/publications/JRASC-2019-08-lr.pdf
    •『トビト蚘』第5ç« 
    https://bible.usccb.org/bible/tobit/5
    •Katie Paterson, “Totality”
    https://katiepaterson.org/artwork/totality/
    •内芧䌚での鑑賞蚘録

    掲茉画像に぀いお
    タヌナヌ䜜品の画像はWikimedia Commonsなどの公開画像を参照し、䜜品情報ず画像参照先をキャプションに蚘茉した。

    🌙プロフィヌル
    K
    実践女子倧孊 文孊郚矎孊矎術史孊科・歊笠れミ卒。
    矎術、仏像、倩文が奜きで、展芧䌚や取材先で出䌚ったもの、心に残ったこずを綎っおいたす。

    ✍取材・執筆・曞評のご盞談やご感想は、X@k_art_cosmosのDMぞお願いしたす。

    Instagram@24rok12でもストヌリヌで発信䞭。

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