
【詩】 落とし物の持ち主 #拝啓文芸部
落とし物の持ち主
その落とし物の持ち主は、いったい誰だろう。
雨粒の落とし物。
持ち主は空。
やがて集まり、川となる。
どんぐりの落とし物。
持ち主は山。
育てばクヌギの森になる。
川底に沈むオレンジの宝石。
持ち主は鮭。
春になれば海を目指す。
砂浜に散らばるきらきら光る落とし物。
持ち主は海。
波が磨いたシーグラス。
鳥が運んだ落とし物
山上湖に生命が宿る
赤いりんごの落とし物。
拾ったのは科学者。
物の理を見つけた。
君が落とした優しさひとつ。
拾った僕は、恋して動けない。
雪は季節外れの落とし物。
また二人で見たいねと交わした、
小さな約束。
犬が落とした忘れ物。
僕がひろって持ち帰る。
部屋に残った落とし物。
家族の写真。
笑う君。