
寺子屋宗次郎/1.寺の寺子屋
原案・編集・発行:K_Kameno
執筆:ChatGPT(OpenAI)
挿絵:生成AI(人間による構図・表現の指定と選定)
物語の原案と基本的な構想は、私、Kameno が担当し、本文の執筆はChatGPT(OpenAI)が担当しています。
私は、ChatGPTが書いた原稿を読み、登場人物の性格や物語の展開について注文をつけ、必要に応じて加筆・修正します。ChatGPTも、私の構想に意見を述べ、新しいアイデアを提案します。
つまり、私が原案・編集・発行を担当し、ChatGPTが執筆を担当するという分担です。
挿絵も生成AIを使って制作しています。
物語の舞台は、赤穂浪士の討ち入りがあった頃の、備中の山あいの村。
主人公は、討ち入りに加わらず、寺子屋の師匠になった元赤穂藩士です。
本人が討ち入りを拒んだわけではありません。
そもそも、誘われなかったのです。
では、赤穂浪士が本懐を遂げ、世間がその快挙に沸き立つなか、討ち入りに誘われなかった武士に何が起こるか?
これは、しがない浪人が、歴史の荒波のなか、妻と娘、寺子屋の子どもたち、村の人々とともに生きていく物語です。
人間とAIの共同制作で、どんな小説ができあがるのか。
私自身も楽しみにしています。
1.子どもたち
寺子屋を始めて三月になるが、宗次郎は、まだ子供を教えることに慣れなかった。
とりわけ、子供というものが、これほどよく喋るとは知らなかった。宗次郎にも子はある。ただ、その子、千代は無口で静かな子だった。
「先生、先生」
かまびすしい声が宗次郎を呼ぶ。今月から通い始めた、木こりの子の太吉だ。今日も、開き気味の鼻腔の下に、黄色い鼻水が乾いて張り付いている。

「何だ、太吉」
「先生は、お侍だったんだろう。お父が言ってた」
「今でも侍だ」
「でも、刀を差してないじゃないか」
「刀がなくても侍は侍だ」
「じゃあ、どうして刀を差さないの」
と割り込んできたのは、お春だ。
庄屋の孫娘で、臆することなく物を言うところがある。骨ばっていて上背があり、顔つきは大人びて、幼くして庄屋のおかみの威厳を感じさせる。
お春の隣では、宗次郎の娘の千代がうつむいて、居心地悪そうに、もぞもぞしていた。
母親に似て、やや太めで押し出しの良い身体をしているが、性格は、かなりの引っ込み思案である。
「邪魔だからだ」
と宗次郎が答えると、太吉は、少し考えている風だったが、少し挑むような目になって、言い返してきた。
「お侍なのに、刀が邪魔なのか。おらのお父は木こりだが、斧が邪魔だなんて、言ったことは、ねぇ」
生意気を言うこわっぱだと思った。
太吉の目にしっかり視線を合わせ、声に力を込める。
「今、私は、お前を斬ってはおらん。字を教えておる」
「……」
太吉の顔が、鼻の下の鼻水同様、凍りついた。
息を呑む音が聞こえたが、それは娘の千代だった。
太吉が手習に戻り、部屋の中が静かになった。宗二郎は、この後のソロバンの手習の進め方を考え始める。
せっかくの静寂を、太吉の隣に座っているおタネが破った。
「先生、太吉がまた間違えてます」
おタネは、お夏の家から田畑を借りている小作の娘だ。小柄でくりくりした目をして機転の利く子だが、小姑のようなところがあって、人の世話を焼きたがるのは、困ったところだ。
「おタネ、太吉の世話はよいから、自分の手習いをしなさい」
「でも、先生、太吉は昨日も同じ字を間違えてた。直してやらないと」
宗次郎は「それが、余計な世話なのだ」……と言う代りに、
「昨日と今日、続けて間違えてはいかんという決まりはない」
と、厳しめに言った。
きまり悪そうに口を閉じたおタネに代わって、お冬が、
「あはは、そんな決まりがあったら、太吉は毎日困るね」
と言った。子供たちが笑った。千代も笑った。
太吉だけが、笑わずに、下を向いている。
そして、宗次郎も、笑わなかった。
「人は、新しいことを、なかなか覚えられんものだ。それで、わしも苦労した」
宗次郎は、立ち上がり、太吉のもとに足を運んだ。
「どれ、太吉。昨日と同じ間違いをしているのは本当か」
太吉が黙ってうなずく。
「では、昨日と同じように直そう」
宗次郎は、筆を持った太吉の手にそっと自分の手を添えた。太吉の手が震えていた。
2.月謝
寺子屋は、備中の山あいにある小さな寺の一室で開かれていた。
寺には、和尚の玄秀と、寺男が一人いるだけだった。
宗次郎は妻のお澄と、六つになる娘の千代を連れて、寺の離れに住んでいる。
寺子屋の生徒は、始めた頃には四人だったが、今では十二人になっていた。
もっとも、毎日十二人が揃うわけではない。
農繁期には、親の仕事を手伝う子供が休む。雨の日には、山向こうの集落から来る子供が休む。何の理由もなく来ない子供もいる。
月謝は、銭で納める家もあれば、米や野菜を持ってくる家もあった。
宗次郎は、初めの頃、その取り決めを曖昧にしていた。
武士が百姓に金をせびるようで、卑しい気がしたのだ。子供に学問を教えるのだから、なおさらだ。
すると、妻のお澄に叱られた。
「あなた。あなたは、『武士は食わねど高楊枝』でいらっしゃれるのでしょうが、私と千代は、そうは参りません。食べねば、身が持ちません」
「それは、わかっておる。わしとて、腹がすけば、高楊枝を気取ってはおられぬ」
「でしたら、いただくものは、きちんといただいてください」
「しかし、貧しい家もある」
「それは承知しています。ゆとりのある家からは、月々いただいて、貧しい家からは、いただけるときにいただけばよいのです」
「なるほど」
「なるほど、じゃありません。そんなことも分からずに、よく勘定方のお役が務まりましたね」

宗次郎は返事をしなかった。
実際、勘定方の仕事は、あまりうまく務まらなかったのである。
結局、月謝の決定と徴収は、お澄の仕事になった。
お澄は、まめに記帳も行い、支払いが滞っている家には督促状を書く。
その督促状をしぶしぶ子供たちに渡すのが、宗次郎の仕事になった。
読み書きのできない親のところへは、お澄が直接出向く。
もとは商家の出であるお澄は、こういうところは手堅く、身動きも軽かった。
宗次郎は、そういうお澄に助けられていると感謝しつつ、居心地悪く感じることがある。
我が家の武家としての体面が損なわれるように感じるのだ。
しかし、背に腹は代えられなかった。
3.和尚
その日の昼過ぎ、子供たちが帰ると、和尚の玄秀がやって来た。
「いかがじゃ、中山殿。少しは慣れたかのぅ」
「どうにも、子供というのは、思うようになりません。うるさくてかなわんと思うことがあります」
「それはそうじゃ。武家の子とは、育てられ方が違う。慣れるには時間がかかろう。しかし、子どもを脅して黙らせるのは、いかがなものかな?」
「え、誰にお聞きになりました」
「太吉じゃ。先生が刀を持ってきたら自分が斬られることだと言っておった」
宗次郎は、返す言葉に詰まった。
慌てて話題を変える。
「同じことを十度教えても覚えぬ子がおります」
「十度で足りぬなら、二十度教えればよい」
「二十度でも覚えなかったら」
「三十度じゃ」
「和尚。それでは、いつまでたっても先へ進めません」
玄秀は笑った。
「先へ進まねばならぬのか」
「それは、まあ……」
「子供らには、まだまだ時間がある。中山殿も、明日や明後日に死ぬものでもあるまい」
宗次郎は黙った。
玄秀が、部屋の隅に積んである手習い紙を一枚取った。
「これは誰が書いたものかのぅ」
「太吉です」
「ひどい字じゃな」
「はい」
「筆先が震えておる。やはり、幼い子を恐がらせては、いかんようじゃ」
「和尚、そのくらいでご勘弁を」
宗次郎が頭を下げると、玄秀が声を上げて笑った。
宗次郎は苦笑いしながら、頭をかいた。

「しかし、和尚。考えてみれば、不思議なものです」
宗次郎は、気を取り直して、言った。
「何がじゃ」
「私は、子供を教えるなど、考えたこともありませんでした」
「百姓になるつもりだったからのぉ」
「はい」
「その百姓仕事が、まるで駄目だった」
「……はい」
「いや、あれは見事なものだった」
「何がです」
「百姓仕事が、あれほど下手な男を、わしは初めて見た」
宗次郎は、苦笑するほかなかった。
(つづく)