
チャートパターンのお勉強(番外編):対数チャートで長期チャート分析
こんにちは😊
以前、なかなか馴染みのない対数チャートの概要を紹介しました。(できればこの記事を読んでからこのあとに進んで下さい!)
最近おじさんはチャートパターンの連載をしていますが、「基礎編その2」の中で「チャートパターンは長期の分析には使えない」ことと「長期の場合は対数チャートで分析するのがおすすめ」ということを紹介しました。
今日はチャートパターンの紹介をちょっとお休みして、対数チャートによる長期チャート分析を紹介したいと思います😊
対数チャート
株価の対数チャートは、縦軸が対数目盛りになっています。対数チャートの特徴は「パーセンテージ」でチャートが表現されていることでしたね🥸。

比較図を見てみましょう。
左側の通常グラフでは売上高が順調に伸びているように見えますが、「成長率」という尺度で見ると、2年目から3年目が100%(2倍)の成長率だったのに、4年目から5年目は33%の成長率に鈍化しています。
同じように順調に伸びているように見える右の対数グラフでは、毎年一定の成長率で増えていることが分かります。これが対数グラフの特徴でした。
株価を長期で見ると、企業の成長率、金利といったさまざまな率=パーセンテージが複利効果で株価に織り込まれています。ですから、長期で株価を分析するときは対数チャートが望ましいのです😉
短期では複利の効果が表れてこないので通常チャートと対数チャートの差はほとんどありません。対数チャートはあくまでも長期で評価する際に使うグラフです。
長期トレンドを見てみよう
バフェット爺さんでおなじみのバークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway Inc.:BRK.B ※)のチャートを見てみましょう。現在、主な銘柄の長期トレンドはリーマンショック後の2009年以降のチャートを見るのが一般的です😎
※バークシャーの株にはA株とB株の2種ありますが、一般的なB株で見ていきます。チャートは週足です。

きれいな右肩上がりの成長株であることが分かります。バークシャーの株価を対数チャートで見るとどうなるでしょうか。

印象はかなり変わってほぼ一直線ですね。これは約15年の間、バークシャーの株価が一定の成長率で上昇してきたことを意味しています。すごい😱!
つまり、バークシャーの株価は「株価上昇率が一定」という「かなり強いトレンド」を持っていることがわかります。上の通常チャートではわかりませんよね🥹
対数チャートの表示はチャートツールによって方法が異なりますが、TradingViewの場合、右下の「L」ボタンを押せば自動的に対数チャートが表示されます。

これが長期トレンドを対数チャートで見る効果です。繰り返しですが、長い時間軸では、インフレ率、企業の成長率、金利といったさまざまな率=パーセンテージが複利効果で株価に織り込まれていきますので、成長している企業は株価が一定の率で上昇していくのが理想的です。
短期のチャートパターンと違って、大口投資家の動向や一時的な出来高の増減はほとんど影響を及ぼしません🤔
短期と長期のチャート形状の違いを理解して、トレンド分析することが大切です。長期で株を保有するならこの視点は外せませんよね🥸
ではトレンドをどのように見るのかというと、短期のチャートパターンのようなものはありませんから、非常にシンプルです。

対数チャートでは「一直線になれば成長率が一定」ですから、
・直線より傾きが小さければ成長率が低下
・直線より傾きが大きければ成長率が上昇
という判断ができます。たったこれだけです😉
株価の下落の際はこの反対で、対数チャートで直線状に株価が下落していたら株価の下方成長率が一定ということになります。
慣れが必要なのですが、上のグラフを通常のチャートで見ると下のようになります。
通常チャートで直線状に順調に株価が上昇しているように見えても、成長率で考えると鈍化しているということです。ここが直感的に分かるようにならないといけませんね😣

トレンドを分析してみよう
では具体的にどのように分析するか、手法を紹介します。
一番簡単なのは対数チャートで直線を引いてみることなのですが、チャートは変動していますから直線の引き方が難しいと思います。ですので、帯(バンド)を使って分析するのが分かりやすい方法です😉
おじさんはTradingViewのインジケータを使っています。すべてのチャートツールに装備されているとは限りませんが、このような対数チャートでトレンドバンドを示すインジケータがありますので使用してみてください。
バークシャーの対数チャートでリーマンショック以降の長期トレンドバンドを示すと次のようになります(標準偏差は2σ:95%をカバー)。このインジケータは自動的にトレンドを判定して描画する機能を持っていて、下部に示されているとおり、トレンドの強さを6段階(弱 1~5 強 特に強いとUltra)で判定します。長期間でかなり強いトレンドを持っていることが分かりますね🤩

現在はこのバンドの上限側(抵抗線)に達しています。ということは、このトレンドを15年ぶりに突破してさらに成長する可能性もありますし、バンドの抵抗線に達して下降圧力が増してくる可能性もあるわけです。
もう少し詳しく分析してみましょう。
15年のような長期では、トレンドバンドの中で上に行ったり下に行ったりと、数年単位の中期トレンドがあることが読み取れますね。
以前Xで紹介したGMMA(複合型移動平均線)という方法を使うとどこにトレンド変換点があるのか簡単に傾向が読み取れます。青色の短期EMA帯と橙色の長期EMA帯が交差するところが中期トレンドの変換点です。

トレンド判別方法は色々ありますのでお好みの方法でよいと思いますが、バークシャーの数年単位のトレンドバンドを対数チャートで見てみるとこんなふうになります。

長期のトレンドの中に別のトレンドがいくつも含まれていることがわかりますよね😊 (1時間足のようにもっと細かい時間で見ればさらに細かいトレンドが含まれています。)
例えばですが、現在のバークシャー株は「2009年からの強い株価成長トレンドが継続しており、さらに2022年後半からは中期でより強度の高い株価成長トレンドを持っている」と言えます。そして「中期トレンドの成長が続けば長期トレンドを突き抜けて新トレンドになる可能性もあるものの、逆に長期トレンドの抵抗線で反発して中期トレンドが下落に転じる可能性もあるという分岐点にいる」という見方ができます🤔。
2022年以降の中期トレンドだけ抜き出して、日足の対数チャートで拡大したのが下の図です。

この中期トレンドでもバンドの抵抗線に達していますから、バークシャーの株価は注目度が上がりますね。今回は省略しますが、出来高の動きも重要ですから、売買のタイミングはフジコ法のようなテクニカル手法を併用して分析するのがおすすめです😊
参考までに、最近のS&P500の長期・中期トレンドのチャートを載せておきます。S&P500は中期トレンドの下限(支持線)を突破してしまったので、この後どうなるのか、これまた注目です!😉

ピッチフォークを使ってみよう
対数チャートを使ったトレンドの分析方法はご理解いただけたと思います。ここからはさらに細かい分析方法の一つを紹介します🥸
「ピッチフォーク」は3つの平行なトレンドライン(上限、下限、中央)をチャート上に描いて、価格のトレンドやサポート・レジスタンスを特定する手法です。
3つの線は、次のとおりです。RLやSLはチャートパターンで学びましたね。
中央線(メディアンライン):トレンドの基準
上限線(抵抗線/レジスタンスライン):中央線の上に引かれる上昇トレンドの上限を示す抵抗線
下限線(支持線/サポートライン):中央線の下に引かれる下降トレンドの下限を示す支持線

ピッチフォークを使用すると、トレンドの進行方向や価格の反転ポイントを視覚的に把握することができて、特に対数チャートを使った中長期のトレンド分析と相性が良いので、ぜひ使ってみてください😉
ピッチフォークには種類があって、オリジナルはアンドリュース・ピッチフォーク(Andrews' Pitchfork)といいます。おじさんは、改良型のシフ・ピッチフォーク(Schiff Pitchfork)をおすすめしますので、今回はシフ・ピッチフォークを紹介します。関心があれば、他の種類も調べてみてください。
※ TradingViewではピッチフォークはデフォルトの機能に含まれていますので、今回はインジケータの説明はしません。画面左側の「ライン描画」のグループに含まれています!
ではさっそくバークシャーの株価チャートにピッチフォークを描いていきます。ピッチフォークはトレンドの変換点を結んで作成しますが、話が脱線しすぎてしまうので詳しい描き方は割愛します。ネット上に詳しく説明しているサイトがたくさんありますので調べてみてくださいね(リンクはFX関連の例です)。
現在の中期トレンドが形成される前のトレンド変換点として、図のようにA~Cを選びます。

TradingViewではシフ・ピッチフォークのアイコンをクリックして、A→B→Cの順にチャート上でクリックすればピッチフォークが完成します。超簡単です😅笑。この図では支持線と抵抗線に0.382・0.618・1.00の3つのフィボナッチ数を選んでいますので中央線を挟んで3本ずつの線が引かれています。(フィボナッチ数1.00がB点とC点の幅に相当します)

トレンドバンドからはトレンドの上限に達していると思われたバークシャーの株価ですが、実はピッチフォークで見ると0.382の支持線に支えられて動いていて抵抗線からはかなり離れてトレンドの中央を進み続けていることがわかります。もちろん断言はできませんが、この結果であれば、当面はこのままのトレンドが続きそうだと分析するのが一般的です🤔
仮に、今日がトレンド変更点になって株価が下落を始めると仮定してみると、A~C点は下の図のようになって、新しいシフ・ピッチフォークを描くことができます(ピンク色)。
このようにすると、2つのピッチフォークが重なっている境界付近に株価が進んでいったとき、今までのトレンドのままなのか、トレンドが変換するのか、注意深く監視することができますね!😉
この複数のピッチフォークを使う方法は中長期トレンド判定の方法として効果的です(不思議ですがかなりの確率でトレンド判定できます)。下落が始まるとどうしても「また上がるかも」というバイアスがかかってしまいますから、このような客観的な数値分析で判断するのは有効ですよ😊

S&P500の中期トレンドを使ったピッチフォークはこんな感じです!

まとめ
対数チャートを使った長期分析の手法について解説しました。
この手法はもともとおじさんの師匠から教わった方法で、最近は海外の投資家さんがやっている方法を参考にしてシフ・ピッチフォークを複数使う手法を導入しています。近年ですとハーモニックパターンのような比較的新しい手法もありますが、これらは短期トレードには向いているものの長期では使えないと思います。紹介した方法は特に長期で成長している成長銘柄のトレンド把握には有効な手法だと思います。
対数チャートは通常チャートではよく分からないトレンドが見えてきますので、ぜひ活用してみてください😊
ではまた!😊
おまけ
今回使用した対数トレンドを示すインジケータは、Echeさんの「長期トレンド検出」という、自動でトレンドを検出するインジケータのコードにおじさんがコードを書き加えて改造したインジケータです。今回紹介したように複数表示すれば色々な時点のトレンド検出が自動でできます。変更点は次のとおりです。
オリジナルは最新の株価を含むトレンド線しか書けませんでしたが、任意の位置でトレンドバンドを引けるようにしました。(パラメータ設定の「Histrical Backdate」の数だけローソク足を遡って、その時点を最新としてトレンドバンドを引きます。)
対数チャートで使用してください。
トレンド強さの表示を、1~5とUltraの6段階に変えました。
日本株に適合するように設定数値を修正しました。
標準偏差の幅を整数値だけでなく小数値でも変更できるようにしました。
(1σ=68.3% 2σ=95.4% 3σ=99.7%が一般的ですが、1.65σ=90%のような設定も可能です。デフォルトは1.65σにしてあります。)
Echeさんはオープンソースの方針ですので、おじさんもこのインジケータのコードを無償でご提供します😊。いつもと同じく1週間程度でインジケータ配付ページに移動します。
ぜひ試してみてくださいね。
※配付終了しました。配付ページでDLできます。

[注意]
コードの変更は自由ですが、無断流用・再配布は絶対にやめてください。