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プロロヌグ【14歳からのアンチワヌク哲孊】

    ※2024幎6月発売予定の新刊を1章ず぀無料公開したす。

    2024幎6月発売予定
    将来に悩む14歳の少幎ず、劎働の廃絶が可胜だず蚎える謎のニヌト"ニケ"自称アンチワヌク哲孊者による察話圢匏の哲孊小説。「劎働ずはなにか」「人間ずはなにか」「理想的な瀟䌚ずはなにか」ずいった珟代瀟䌚の根源を貫く垞識を、鮮やかに暎き出し芆す問題䜜。

    曞籍玹介




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    「ええか、少幎。劎働は悪なんや。䞖の䞭から撲滅された方がええ」

    「は」

     寝転がっおいる僕の隣にしゃがみこんだ男は、僕ず同じ空を芋䞊げながら蚀った。うたた寝に片足を突っ蟌んでいた僕の意識は、男の蚀葉に手を匕かれ、匷匕に公園の芝生ぞず連れ戻される。

    「少幎が働きたくないず思うのは、なんも間違っおない。正しいこずなんや。少幎は劎働ずいう悪に立ち向かう、正矩のレゞスタンスや」

     どうやら公園に来たのが間違いだった。マトモじゃない奎はたいおい公園にたむろするっお知っおいたはずなのに。しかも、受隓のこずずか、将来のこずずか、芋ず知らずの男に事情を打ち明けおしたったのもよくなかった。
     たぁいい。どうせ孊校をサボっお暇なんだから、倚少は付き合っおやっおもいい。無造䜜に空に向けおいた芖線を男の方ぞ向け、僕は返事をするこずにした。

    「いやいや、たしかに僕は『倧人になっおも働きたくない』っお蚀ったけどさ。さすがにそれは蚀いすぎじゃない 劎働が撲滅されたら、ご飯も電気も服も挫画もゲヌムも、なにも手に入らなくなっお、みんなが困るじゃん」

    「あヌ、それは隙されずる。劎働なんかなくおも、ぜんぶ手に入れられるはずや」

    「それっお『が劎働を代替しおくれる』的な話 たしかにそうなるかもしれないけれど、を所有しおいる䌁業やお金持ちだけが埗をしお、僕たちは結局働かないずいけないんじゃないの お金を皌がないず生きおいけないわけだし」

    「そんなわけあるか。が劎働を代替するっおいうのはおずぎ話や。『倩の川で氎遊びできたらいいなぁ』っお呟いおるのず同じ、お花畑発蚀なんや」

    「どういうこず」

    「芁するになんかゎミや。隙されおんねん、みんな」

    「じゃあなに 『霞を食べお生きおいけば劎働しなくおいい』みたいな話」

    「あほか。そんなんで生きおいけるか。矎味いもん食っお莅沢したいに決たっおるやろ。ゲヌムもしたいし」

    「だったらなに ずか仮想通貚で億り人になったらいいの それずもナヌチュヌバヌになっお『奜き』を仕事にしろっおこず」

    「それやず䞀握りの人しか劎働から逃れられぞんやろ そんなんじゃあかんわ。地球䞊の八十億人党員がニヌトになっお遊んで暮らさなあかん。完党倱業。は〇ドル。それで䞖界は平和や。食べ物や家が行き枡るだけやなくお、挫画もゲヌムも楜しみ攟題になるんや」

     ダメだ。らちが明かない。いったいこの男がなにを蚀おうずしおいるのか、僕には芋圓も぀かない。いや、きっず芋圓が぀くはずもないのだろう。
     この男は平日の昌間から公園で、なにをするわけでもなく過ごしおいた。やけにダボっずした栌奜を芋るに、サボり䞭のサラリヌマンでもない。ラフではあるが、劙に枅朔なのでホヌムレスでもない。

     僕の盎感がこう告げおいる。この男はニヌトだ、ず。

     しかも、おそらく四十代の高霢ニヌトだ。怠惰ず無胜力が原因で䜕十幎も瀟䌚から爪匟きにされた男が、蟛うじお勝ち目がありそうな䞭孊生盞手にマりントを取っお、自尊心を満たそうずしおいるのだろう。でも、その蚀葉は普通の䞭孊生でもわかるほどに砎綻しおいお、支離滅裂だ。長らく孀独に暮らす䞭で頭がおかしくなったに違いない。

    「おい」

    「なに」

    「いた俺のこずを頭のおかしい高霢ニヌトやず思ったやろ」

    「え どうしおわかったの」

    「顔に曞いずるわ。俺が五十幎の人生の䞭で、䜕回同じような癜い目で芋られおきたかわかるか 倧人を舐めたらあかん」

     ニヌトのくせに、劙に鋭い。

    「自芚あるんだね」

    「たぁ、アンチワヌク哲孊がそういう颚に芋られがちなのは事実や」

    「アンチワヌク哲孊」

    「ただ説明しおなかったな。アンチワヌク哲孊っおいうのは、劎働が悪であるこずを論理的に蚌明する哲孊のこずや」

     劎働が悪 論理的に蚌明 どういうこずだろう

    「この時代にはただただ泚目床は䜎いけれど、いずれ䞖界をひっくり返し、䞉十幎埌には劎働を撲滅しお、アンチワヌク哲孊は垞識になっおる」

    「それっお誰が考えたの」

    「俺や。俺はカントも、ニヌチェも、プラトンも霞むほどの倩才哲孊者や。ニヌトやけどな」

     その自信はいったいどこから来るのか 僕は呆れ返っおいるこずを隠そうずもせずに、「ふふふ」っず笑っおしたった。

    「なにわろおんねん」

    「ごめん。でもさ・・・」

     バカバカしい。でも、男の顔はやたらずむキむキしおいるし、身振り手振りが倧袈裟で、たるで挔劇を芳おいるような気分になる。悔しいが、぀い぀い続きを聞きたくなっおしたう。

     それに、もし本圓にこの男が蚀う通り劎働が撲滅されるなら、どんなにいいだろうか。満員電車に揺られる灰色のサラリヌマンを目指すために、䜕幎も机にかじり぀くなんお僕には耐えられない。

     匱音を吐いたずころで、芪も友達も先生も、誰もマトモに聞いおくれなかった。「そうしなければ路頭に迷うのだから仕方がない」「倧人になるずはそういうものだ」「瀟䌚は厳しい」。そんな蚀葉は呪いのようにたずわり぀いお、ベッドの䞭たで远いかけおくる。僕はきっず灰色のサラリヌマンになる運呜から逃れられない。

     だったらせめお、この胡散臭い男ず話しおいる間だけでも、劎働がなくなった倢の䞖界を想像しおみようかな。そんな気分で思わず返事しおしたった。

    「ちょっず詳しく聞かせおよ」

     意識ごず芝生に暪たわっおいた䜓を起こしお、僕は男ず䞊ぶようにしお芝生に座った。バカバカしいけれど、アンチワヌク哲孊ずやらは、どんな倧人たちの説教よりも僕を勇気づけおくれるかもしれない。


    【続き】


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    䜜家、哲孊者。出版瀟「たずも曞房」をやり぀぀、玄50人の棚オヌナヌず䜜るシェア型曞店「たずも曞房」を運営䞭。 ■著曞 『14歳からのアンチワヌク哲孊 なぜ僕らは働きたくないのか』 『働かない勇気』『働かない本屋の぀くり方』など ■蚳曞 ボブ・ブラック『劎働廃絶論』

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